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16恋 中島雄也は知ります

少しでも読んでいただけると幸いです!

16恋


      中島雄也は知ります


 あの日から恋神こいがみ中島なかしまは必要最低限の会話しかしなかった。元々恋神自体、その場に合わせて会話はするが自分からベラベラ喋る様なタイプではないため、中島からアクションがなければ会話は成り立たない。つまり、会話をしなかった理由は、主に中島にあるといえる。


 「なぁ恋田れんだ。お前中島と何かあったのか?」


 松田と杉八木が、中島がちょうど居ないタイミングで恋神に尋ねる。


 「勉強を3日ほど前に教えたんだ。アイツバカだから。けど、まるでやる気を出さなかったから少し怒った。それが原因だと思う」


 本筋の理由とは違うが、決してズレているわけじゃない。事実先日の勉強会が理由でギクシャクしているのだから。


 「アイツが怒られたくらいであーなるとはなかなか思えない。恋田、他の原因は考えられないのか?」


 杉八木が鋭い質問を投げるが、恋神が動じることはない。首を横に振って、ただ否定するだけだった……。



 土曜日の朝。彼の自室の机の上には教科書とノートが無造作に積んであった。

 彼とは、中島雄也である。


 「ハーーァ。ぁ、」


 彼はあの日から、彼なりに何とか勉強しようとしていた。しかし、今までロクに勉強をしてこなかった人間が急にやるのは難しく、やはり本腰が入ってはいなかった。


 「やーべ。筆記用具机の中だ」


 二学期が始まった9月上旬。外はピークが過ぎたとは到底言えないほどの暑さだった。


 校舎内の出入りは、原則制服着用のため、汗が噴き出ることを覚悟して、中島は長ズボンの制服で学校へ向かった。

 学校へ到着すると、やや重たいリュックを靴箱の前で下ろし、一度ワイシャツと自分の肌の間に空気を入れるようにして涼む。ちなみに筆記用具を取りに行った程度で中身の入ったリュックを持ってきた理由は、単純に手提げが散らかった中島の部屋から出てこなかったからである……。


 「暑かったぁ。陽の当たらない所は天国だなぁ」


 聞いても誰も得しない独り言を呟いて、中島は自分の教室へ向かった。

 途中、2人の教員とすれ違ったため軽く会釈し、いよいよ教室の横開きの扉を開ける。すると、窓側3列目に彼女は座っていた。


 「んっ、、」


 綺麗だと、中島は思った。


 「真山さん、、」

 「っ、あ、な、中島君! おはようございます」


 窓側の席に座っていたのは、真山だった。


 「おはよう。今日土曜日なのに、なんで学校に居るの?」

 「えーっと、弟のお友達が家に遊びに来てて、少し賑やかだったから学校で勉強することにしたんです」


 家が騒がしいから逃れてきたのだと言う。確かに真山の性格上、ガヤガヤした所じゃ集中できなさそうである。おそらく人の少ない所を好むだろうし。


 「そうなんだ。そりゃ大変だな」


 自分の机の中に手を突っ込み、ペンケースを掴んだ。後は教室を後にし、家に帰るだけなのだが……。


 「ぇ、」


 真山と中島の席はそこまで遠くない。そして、中島は視力がいい。だから見えてしまった。土曜の教室には誰も来ないと踏んでまくっていた袖。それが故に露わになった真山の白い手首の真ん中に、かなり深く切ったことがが容易に推察できる横一文字の傷が……。


 「………………そういうことだったのか」


 その傷を見て中島は理解できた。学力は低いし、決して地頭がいいわけでもない。しかし今回は頭がちゃんと働いた。恋神があの時、「同じ轍は踏ませない」と言った理由を。恋神は真山と以前から関わりがあった。その過程で真山の事情を知って、少しでも傷つけてしまう危険性を取り除こうとしたのだろうと。


 「じゃ、じゃあ俺は家帰るわ。お互い勉強頑張ろうな」

 「は、はい。あの、この前は部屋を使わせていただきありがとうございました。お互いに頑張りましょう」

 「おう」


 短い会話の中で、中島は何度も鼓動を高鳴らせただろうか。きっと時間経過が恐ろしいほどゆっくりに感じただろう。

 学校の敷地から出ると、すぐに携帯を取り出し、連絡先一覧に入っている『恋田神大』をタップ。電話をかける。


 「……………もしもし恋田」

 

 『中島。どうしたの?』


 いつもと何も変わらない恋神の声色に、中島はここのところ会話できなかったから安心した。


 「…………勉強、また教えてくれないか。今度はちゃんと頑張るから。真山さんと、ちゃんと向き合うから」

 

 『……………わかった。明日から再開だな』


 「いや、もし予定がないなら、今日からでも再開したい! 頼む‼︎」

 

 『よし。今から中島の家に行く。勉強道具を用意しておくように』


 そう言って、恋神は通話をやめた。それを確認すると、すぐに中島は教室へ駆け戻る! そしてまだ教室で勉強をしていた真山に声をかけた。


 「真山さん! 今から恋田も入れて3人で勉強しないか⁉︎」

 「こ、この前みたいにってことですか?」

 「うん。どうかな」


 真山は少しの迷いもなく、即答した。


 「わかりました。是非」

 「よっしゃ!」


 まだまだ残暑の続く9月上旬。

 暑さに負けない中島の恋路が進む……。

読んでいただき、ありがとうございました!


 喉を、痛めてしまいました。情けない新社会人でございます。どれくらい痛いかというと、食事が喉を通るたびに痛いくらいです。やはり食事は幸せの一つなのですね、ろくにできないと気分が悪いです……。


 最近気温が上がり、それに伴って物語の中の恋路も暑くなって来ました。恋神とデスランの勝負の傍らではありません。真山と中島の恋路の傍らに恋神とデスランの勝負があるのです! 以上! 次回も2週間以内の投稿を心がけます‼︎ よろしくお願いします‼︎

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