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静寂の予感  作者: 美真陽
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新緑

床の掃除は大きなホットケーキのようなロボットが開発された。

今、照明器具や棚の掃除は、大きな毛糸玉のようなロボットがコミカルな動きでこなす。カーテン、壁、窓ガラスの掃除にも、甲虫を大きくしたようなロボットが使われている。

生物と程遠い形状のロボットを好みながら、生物とは程遠い形状のロボットに愛称をつけたりするのだから、人というのは本当に不思議な生き物だ。

ユミに朝食の準備をしてもらい、ゆったりと朝のひとときを過ごせるのも、お掃除ロボットのおかげ。だから、ついつい愛称を付けたくなるのだ。

こうして、生活にゆとりが出来た。そのせいかもうじき70歳になろうとする私も半世紀ほど前と違って、若々しく40代といっても良いように見える。医療的技術にたよれば、外見は20代のままでいることも出来る時代になっていた。といっても、死は誰にでも平等に訪れた。いつの世も身内や知人の死は本当につらいものである。

祖父母、父母が亡くなって、私は寂しい毎日を過ごしてきた。けれど七年前、孫娘ひろみの誕生で私の生活にはりが出てきた。

子供の成長に伴って行われる数々の行事。これだけは何百年も続いたことを律儀に続けている。お正月、ひな祭り、お月見、大晦日それにバレンタインデー、ハロウィンとクリスマス。他にも、宮参りに始まって七五三と無事に過ごしたことを感謝しての行事が続いている。

ひろみの成長によって、自分の生活が確実に充実していくのに、我ながら驚かされてる。

孫娘の誕生が、再びゆったりと過ぎていく満ち足りた日々をもたらしてくれた。きらきらと透き通るような新緑の季節、五月のさわやかな風が、成長したばかりの若葉をさわさわ揺らしながら過ぎていった。

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