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金捨て人は金が欲しい  作者: アルコールは飲み物
第一章 プロローグ
1/9

1-1 リュウ6歳の受難

初投稿です。

誤字脱字がございましたらご面倒で無ければどしどしご指摘いただければと思います。

宜しくお願い致します。

金…!

金…!

金…!

金だ…!




金がいる…!!!




気が付けば男はそんな事ばかり考えていた。



牧野リュウ、20歳。


細身の身体ではあるが長身で筋肉質。


幼さを残しつつも精悍な顔立ち。まさにイケメン。のはずなのだが。


上はタンクトップ、下はニッカポッカに地下足袋という服装に加え、金髪でソフトリーゼントといういでたちのこの男は、どこからどう見てもDQNであった。



はぁ~~~………っと盛大な溜息一つ。



───リュウは雲ひとつない空を見上げた。


某軍師の名台詞を思い起こす。



(この蒼天、極みはいずこであろうなぁ…)



完全に現実逃避であった。



(ソラ姉に心配かけちまうだろうな…)



そんな事を思っていると少しセンチな気持ちになり、過去をとりとめもなく想い出していた。



(決心したのは…あれは俺が6歳の頃だったか………)




----------------------------------------





───そう、6歳のとき、俺のオフクロは病で亡くなった。


それを機に、親父は本性を現した。いや、タガがはずれたと言うのが正しいか。


元々オフクロの稼ぎに頼る無職のダメ親父だったが、巨額の保険金を手にしてからは更に酷かった。


高層マンションに引っ越し、酒を浴びるように飲む。


相変わらず無職で、完全に自堕落な贅沢生活だった。


さらには、事あるごとに俺に当たってくるようになった。


そしてそれはエスカレートする。


日常的に俺に暴力を振るうようになったのだ。



「おいリュウ!灰皿洗ってねぇのはなんでだ!?『しつけ』が必要だなぁ?」



そう言って薄汚い笑みをうかべる親父。



「え、さっきあらったばっか…」



事実、灰皿は今親父が吸い終わったタバコでしか汚れていない。


『しつけ』をしたいがために文句を言っているだけなのは明らかだった。



「嘘をつくな!嘘のせいで『しつけ』が2倍になっちまったじゃねーか?」



怒りの口調とは裏腹にニヤリと口を歪め、俺の背中に火がついたままのタバコを押し付けてくる親父。



「あああああああああ!あつい!あついよ!やめてよ!やめてよおおお!」


「うるせえな。うるせえと『しつけ』が増えるだけだぞ?」


(ぐぅぅぅう…!!ぅぅぅぅ…!)



俺は声を押し殺す。反抗など出来る年齢ではない。理不尽を受け入れるのみだ。




───またある時は。



「おらあ!メシ食うのに何分時間かけてんだ!?食うのが嫌なら吐き出せや!」



そう言って満面の笑顔で俺の腹を本気で蹴り飛ばしてくる親父。



「っ…!!……ウッ!!!………ゲェェェェェ!!!!!!!」



盛大に吐き散らしてしまう俺に対して、嬉々として追加の罰を与えてくる。


絶妙に顔や手足などの見えやすい部分を避けてくるところがまたクソ野郎なのである。


親父は巨体持ちだ。


とは言っても単に身長が高く、運動不足ででっぷり太っただけの醜い肥満体なのだが…小学生である俺に勝ち目はない。


…状況は酷くつらかった。



だが、それでもこの家に生まれてしまった事を嘆く日はなかった。


俺には、同じく親父の子である双子のソラ姉がいたからだ。



4月4日に一緒に生まれてきた俺たち。



親父の子に生まれてなかったら俺はソラ姉とは何の縁もなかったに違いない。


親父似の俺に対して、オフクロ似のソラ姉。



「りゅうー!きょうもはでにやられちゃったね!」



酷く殴られるほど、逆に明るくお茶らけた言葉をかけてくれたソラ姉。


はっきり言ってその場面にそぐわなかったと言ってもいいかもしれない。


でも俺だって暗くじめじめしてしまうのは嫌だったから、(くうきよめよ!)と思いつつもそういうソラ姉にとてつもなく救われていた。



「うるせー!こんなのへーきだし!いつかあいつぶっとばす!」



俺も多少無理はしていたが、ソラ姉のおかげで明るく言い返すことができていたのだ。



「はいはい、いつかね!ソラおうえんしてる!でもまあとーぶんかてないね?」


(だから…くうきよめよ!)



そう思いながらも、俺にとってソラ姉は同い年なのに時折オフクロのようだと思えるような暖かさがあった。


亡くなったオフクロの代わりを頑張ってくれていたのだろう。


俺がこんな環境なのに陰湿にならず、能天気かつ負けず嫌いになれたのは間違いなくソラ姉のおかげだ。



「はい、ココしょうどくしないとね!」


「べ、べつにもうヘーキだって!」



怪我の手当てをしてくれるのが何だか照れくさくなり、ソラ姉の太陽のような笑顔を横目でチラリと盗み見る。


……俺はそのとき知ってしまった。


そうやって俺の怪我の手当てをしてくれているソラ姉の手が震えていたのを。




それはもしかして俺の事を守れない悔しさから?


それとも親父に対する恐怖から?




何故だか分からないけどその時は涙が溢れそうになって、俺は必死でこらえた。




今さら聞けないので今となっては真相は分からないが、その時は子供心なりに決心したものだ。



(ソラねぇにしんぱいかけないようにしないと!なにがあっても、ソラねぇも、おれじしんも、まもれるようにつよくなってやる!)



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