表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

01 気がつくと冒険者たちの荷物番になっていた私

TRPGを元にした世界でのんびりまったり冒険してみたくなりました。

大好きなネタを打ち込んでいこうと思います。

「みんな頑張れー」


 ドーム型の結界の中で私は旗をふりながら応援する。いやね。音とか遮断されるから、こうでもしないと応援にならないんだよね。


 私の目の前、10メートルくらい離れているだろうか、街道を少しそれた先の原っぱで男女の入り混じった冒険者たちが魔物と戦闘していた。ちなみに私のいるところは道の脇、ちゃんと通行人の邪魔にならないようにしています。


 剣士のランドさんに騎士のリードさん、僧侶のニーナさんと魔術師のウェスさん、それからシーフ兼踊り子のプリム。みんなオークトロールなんて大物相手にガンガンいってる。相変わらず凄いなぁ……

 

 ほんのり視界が青みがかっているのは結界の壁の色のせいだ。私が守ってるのは安全地帯と物資。つまり今の私は荷物番。


 チェスカ・ノーヴァ、16歳。本当は魔術師のつもりだったのだけど……

 とある拘りで結界師として有名になってしまった駆け出し冒険者である。






「皆さんお疲れ様でーす」


 戦闘が終わって戻ってきたメンバーにチェスカは笑顔で濡れおしぼりと水筒を渡す。


「うわぁ、ありがとう♪チェスが入ってきていいねぇ。こんなの初めてだよぅ」


 ニカーと愛くるしい笑顔で喜ぶのは小人妖精のプリムだ。小人妖精はいつまでも子供のような背丈の種族で手先が器用で歌も上手い。妖精たちはこの種族特性を生かして踊り子やシーフになる者も多い。人懐っこい性格でもあるので、なにかと徳をしがちな種族だ。可愛いは正義。


「あ、チェスちゃん。マジックポーション取ってくれないかしら。そう、その鞄よ。鞄ごとちょうだい」


 ニーナさんの目線を辿るとクリーム色の肩掛け鞄があった。荷物番をしていたので、皆の荷物は全部、私の後ろにあるのだ。


「はい。これですね」


「ありがとう」


 ああ、その笑顔が眩しいです。

 ニーナさんは金髪の優しげなお姉さんだ。歳は20代前半くらいだと思う。このたおやかな見た目で戦闘ではごついメイスを振り回すのだ。おそらく怒ると怖い人じゃなかろうかと私は推測している。


「おーい。俺も俺も。俺の荷物も取ってくれ!」


 でっかい大男がずぃっと身を乗り出してきて、私は思わず仰け反った。


「チェスカはもう結界解除しているじゃないですか。それくらい、自分で取れますよ?」


「そうなのか?いやーすまん。俺、魔力0だから見えねーんだわ。あはは」


 この大雑把な感じの大きな人がランドさん。20代半ばか、後半かな?茶色の髪を無造作にひとつにまとめて頬には大きな傷。見た目は恐いけれど、口を開けば良く笑うし面倒見のいい兄ちゃんって感じ。

 ところどころ金属で補強したハードレザーアーマーと大剣を装備していて、力でごり押しするタイプの剣士だ。

 そうそう、私をパーティに誘ってくれたのはランドさんだ。あの時は大変だった……

 あの時と言ってもまだ3日前だけど。


 私は遠い目をしながら、ランドさんに大きなバックパックを渡した。重いので魔法で少し浮かして持ち上げる。


 それを見てリードさんが苦笑した。騎士のリードさんもランドさんと同じくらいかな?正直、人の年齢を当てるのはとても苦手だ。だって、見た目より若い人や逆に歳なのに若い見た目の人ってごろごろいるもの。薄茶色と緑の目のイケメンで物腰も丁寧な人だ。冒険者で騎士ってどういうことだろうって密かに疑問に思ってる。

 フルプレートアーマーにランスと大盾で戦闘するので、初めて見たときは感動したもんだ。パーティのリーダーはいないって聞いたけど、リードさんがリーダーでいいと思うのだけどな。


「いえいえ、別に荷物を取るくらいいつでも……ってウェスさんそれ私のマジックポーション!」


 信じられない!私の荷物を勝手に開けたのが、魔術師のウェスさん。


「別にいいだろ?お前どうせ大して魔力使わねーんだし」


 私より少し年上くらいのウェスさんはとにかく口が悪くて、なんだか私にには当たりが強い。見た目も魔術師らしく黒ずくめの真っ黒野郎。

……同じ魔術師だからかな?天才ってくらい魔術を使いこなすウェスさんなのに同じパーティに二人も魔術師がいるのはやっぱり嫌なのかも。


「ウェス!それは横暴ですよ。チェスカはきちんと荷物を守ってましたし。」


 うんうん。マジックポーションは私物だし、もっと言って下さい。


「荷物番とか別にいらねーし。こうしててもいつまでたってもレベルなんて上がらねーだろ」


 リードさんの注意にもウェスさんは涼しい顔をしている。おや?軽く口論になってきた。


「ねー?そろそろ行こうよぅ」


 それに飽きたらしいプリムが変な躍りを踊り始めた。笛を吹きながらステップを踏んで跳ねている。

 小人妖精は子供っぽい性格で陽気と聞くけれど、プリムって何かにつけて踊ってる気がする。

 うーん、カオス。


「あー。なんだ。うちは大体こういうノリだから」


「はぁ」


 慰めてくれているのか、頭をげしげし撫でつける?ランドさん。いやそれ撫でるというよりどつくって感じです。やめて脳が揺れる……

 あ、ニーナさんチョコ食べてる。いつの間にかニーナさんはシートの上で腰を下ろしてお茶をしていた。


 なんだか皆、自由だなぁ。


 この賑やかなパーティに入ったのはほんの3日まえなので、私はまだ全然皆のことが分かってない。


 私はまだレベル2の魔術師なんだけどさ。この人達は皆、20越えてるんだよ。それって最低でもBランクパーティじゃない?本当にこのパーティで上手くやっていけるのかなぁ?


 私は密かに不安になったのだった。

冒険者の日常を書きたいなーと。

TRPGは昔ソード・ワールドのリプレイが大好きでした。

ルールブックなどは持っていないのでなんちゃってTRPG世界です。

よろしくお願いします。

誤字をちょこっと修正しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ