表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界に行く時に必要なモノは

作者: 手羽先丸

処女作です

「ここは……?」


修学旅行の途中、京都に行くバスに乗っている時に俺を含むクラス全員と担任の教師とバスの運転手は急に黄土色の光に包まれた。


今、眼に映るのは山吹色のドレスを来た美女。俺の予想では女神様と思われる趣味の悪いドレスを着た美女は予想通りの言葉を発した。


「あなた達にはこれからゲルボルクという世界に行ってもらいます。これはもう変える事が出来ません」


予想通り過ぎて何も言えない俺とは違い、異世界転移ものの小説を読んだことのないであろう34人いるクラスの男女7人は混乱した様子で女神様に質問、というより分からない事を質問口調でぶつけている。

その質問の答えから分かったことは


ーー山吹色の趣味の悪いドレスを着た美女は予想通り女神さまであること。

ーーこれから召喚されるのはゲルボルクという世界のモツエレア王国の王都モツエレアの王城の地下3階にあ る召喚の間であること。

ーー召喚される者一人一人に欲しいモノを1つ、女神様の出来る範囲で与えること。

ーー女神様を欲しいモノにすることは出来ないこと。

ーー2つの意味があるモノにしても、女神様が片方の意味だけのモノを与えること。

ーーゲルボルク共通語は理解出来るようにして、鑑定(弱)は全員に付けてくれること。

ーー制限時間は1時間でその間は自分のゲルボルクでのステータスを見ることが出来ること。

ーー制限時間よりも速く欲しいモノを決めてもボーナスはないこと。


ーー女神様は下着を履いていないこと。


この8つである。

ついでに、もう制限時間欲しいモノを考える時間は始まっていて残り時間は57分である。速く欲しいモノを決めても良いことはないのでゆっくり考えよう。

俺のステータスは


田中たなか 魔逝蹴流まいけるLV.1

職業:魔斧士LV.1

HP:120

MP:66

適正属性:炎

スキル

〈斧術LV.1〉〈格闘術LV.1〉〈炎魔術LV.1〉〈身体強化LV.1〉〈危険察知LV.1〉

加護

女神マリネンティアの加護〈ゲルボルク共通語理解,鑑定(弱)〉

称号

異世界からの来訪者〈アイテムボックス〉


ーーである。


まず、職業の魔斧士は魔剣士の斧版だろう。炎魔術のスキルがあるし。

スキルは……炎魔術以外は前衛用だ。痛いのは嫌なんだが。

加護は女神の言っていたスキルが付いている。あの女神はマリネンティアという名前なのか。

称号にはテンプレのアイテムボックスが付いている。

HPは普通だろう……タブン。MPはかなり不吉だ。早くMPを増やさねば。


顔を上げると

ーー残り時間47分32.37秒と表示されている。


残り45分と少し。その短い時間で欲しいもモノを考えなければならない。

日本より遥かに過酷なゲルボルクという異世界で生き残る為に、俺は何を望むべきなのだろう。


強いスキルーーはスキル無効とか来たら詰むし、強い武具も盗まれそう。

かといって強い身体を求めても暗殺などの奇襲の一撃必殺には弱いだろう。不死の体は拷問とか実験体とかのイメージが強すぎる。使い魔とかは裏切りが怖いし、俺が強化されない。知識があってもスキル的に無理である。


ーー残り時間41分54.32秒。あ、5432だ。でも思ったより時間がない。


女神様の下着が欲しいと願っても貰えない。女神様自身も貰えない。どうしよう。

仕方がないのでこれまでの知識(ラノベの内容)を思い出しながら考える。


ーー残り時間30分00.00秒と表示されても何も思い浮かばない。


いっそのこと15分ぐらい前に却下したスキルとか武具とか強い身体にするか。その方が良い気がしてきた。使えそうなスキルや武具を考えているとき、ふと前を見ると


ーー残り時間14分46.31秒と表示されていた。


ヤバい、スキルも武具も知っているのが多過ぎて考えが纏まらない。

もう既に欲しいモノを決めたクラスメイトもいるみたいで暇そうに残り制限時間を見ている奴さえいる。暇そうに制限時間を見ているクラスメイトの1人である親友は何にしたのか、クラス一番の美貌を持つ少女の職業は聖女なのか、中年のバス運転手はどんなスキル構成なのか。何となく意味もないことを考えていると


「残り時間は1分です」


と女神様が言ってきた。

全然いい案がないままいつの間にか時間が過ぎていた。


ーー残り時間0分50.00秒

ーー残り時間0分42.46秒

ーー残り時間0分36.91秒

ーー残り時間0分21.38秒

ーー残り時間0分14.37秒

ーー残り時間0分04.16秒

ーー残り時間0分00.02秒


「終了です」


俺にとっては死の宣告、しかしもう欲しいモノを決めた奴にとっては新たな人生の始まりに聞こえただろう。

周りが次々に欲しいモノを女神様に伝えているのを聞くと、スキルが1番多いが、才能を望む教師や、嫁を望む勇者(バカ)など望むモノは様々だった。俺はバスの席が後ろだったからか女神様から遠めの場所にいたので最後の方みたいだ。


しかし順番はすぐ回ってきた。


「あなたの望むモノは何ですか?」


女神様が聞いてくる。

その問いに対し俺は今考えついた答えを言う。


「俺はーー幸せな平均寿命ぐらいの人生が欲しいです」


女神様は少し驚いたような表情をするとすぐに微笑んで

「悔いのない答えは出たみたいですね。それとこのドレスは他の女神からの貰い物です。趣味が悪いのは私ではないですよ」


と言ってきた。どうやら女神様は何でもお見通しらしい。

感想貰えたらとても嬉しいです。部屋で小踊りしだすかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品が面白いと思う方は、こちらもどうぞ〜 《https://ncode.syosetu.com/n5333ee/》
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ