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クレープ屋にて

今年最初の投稿だー!

「かーまーじくーん!!!!」

家の外からの声のはずなのに、近くで叫ばれているような音量だ。こんな恥知らずで非常識な事するのはただ一人

「うるせぇ!!本気で近所迷惑だ!吉高!!」

「鎌地の声もうるさいよ」

何故か腰に手をあてて仁王立ちをしている吉高が家の前に立っていた。その顔は普段通りやたら人の腹部を熱くさせるドヤ顔だった。

「あっはは!声だけでわかるとはさすがだな!」

「そんな原始的な方法で人を呼び出すのはお前ぐらいだろうと思ったからな」

「あぁ!君の家のインターホンはやたらとわかりにくい場所にある!毎回探すのがめんどくさいからな!」

「いい加減覚えろよ何回目だよ家くるの・・・何の用だ」

「空ちゃんがその後どうなったか心配でな!鎌地君が勝手に呪いをといていないかも不安でな!」

「安心して、呪いは解いてないよ」

吉高の顔が明るくなった。

「しばらくコイツを家においたら解いてもらうから。よろしく」

「なっ!鎌地君は私を見捨てるというのか!!」

「あぁ勝手に死んでろ」

「何て薄情な奴なんだ!!」

「うるせぇそんなくだらない事のために家きたのかよ。俺はもう行くぞ」

俺は吉高を後ろに置いてスタスタと早歩きで家を出ていった。

「くだらない事とは何だ!私にとっては死活問題だ!!」

茜とは違った意味でうるさい吉高が後ろからついてくる。

「なんなの?結局一緒に行くの」

「悪いか」

「男のツンデレ気持ち悪いだけだよ」

「ぶん殴るぞ・・・っていうかお前はどこまでついてくるつもりだ」

ちゃっかりと背中に張り付いていた空を無理やり振り落した。

「痛いー」

あんまり痛くなさそうにこちらをにらんだ。

「痛いじゃねーよ。いや、それよりお前握力すごいな!ここまでずっと張り付いてたのか!?」

「乙女のパワー」

そう言ってまたもや肩に飛びついた。

「何、意味わかんない事言ってるんだ。また振り落すぞ」

「待て!さすがにそれは非人道的だと思わんか!?児童虐待だぞ!」

そう叫びながら吉高が走りよってきた

「大丈夫だ。コイツ丈夫だから」

「いくら丈夫でもやっていい事と悪い事があるぞ!このドS!」

「むーっ!やり返す!!」

声と同時にももにすごい衝撃がはしった。

「痛ーっ!!」

思わず目に涙が浮かぶほどの痛みだ。小学生の少女どころか完全に人間を超えた脚力に感じた。

「足技では負けないよ」

地面に倒れこんだ俺を満足げに上から見下ろした。そういう趣味は全くもってないのだが。隣の吉高が一人で歓声をあげながら拍手してるのと相まってかなり腹が立つ。

「気のせいか?かなり辛辣になってないか空ちゃん」

「なんだ吉高の前ではぶりっ子しないのか」

「ぶりっ子じゃなくてかわいい子モードって言ってよー!」

いや、意味合いとしては全く変わらなと思うのだが。

「かわいい子モードは疲れるからね利益がありそうな人にしかやらないよ」

それは遠回しに俺と吉高にはかわいこぶっても利益がないと言っているのか

「ほう!つまりこっちがありのままの空ちゃんなのだな!私達にはありのままをみせてくれるのだな!」

「ポジティブだね」

「ここまでくればわかるだろ。コイツは典型的なウザキャラだ」

「君さっきからすごく失礼な事ばっかり言ってない?」

「お前に言われたくねーよ。」

「ところで鎌地君。さすがに空ちゃんを学校に連れていくのはどうかと思うぞ」

そんなの俺だって思ってる。

「空、キャラメルあげるから家に戻れ、な?」

「そんな数百円の物質で帰るほど安い女じゃない」

コイツ、本当に腹が立つな。

「メロンパン」

ふるふると無言で首を横に振った。

「肉まん」

ふるふると首を振り続ける

「はぁ・・・君は全っく女心というものがわかっていないな!」

吉高が腕を組み偉そうに行ってきた。

「空ちゃん。クレープはどうだ?ケーキでもいいぞ?」

空の目が輝いた。

「メロンパンと何が違うんだよ」

「全然違う!そんなコンビニで買えるようなもの全くそそられないではないか」

「クレープ買ってくれるの?」

「あぁ!こいつがな!」

「ふざけんな」

頭を思いっきりはたいた。


その後、クレープ(生クリーム増量)で手を打ち、空はなんとか家へ戻ってくれた。


しかし、俺が思ってた以上に、空はクレープを楽しみにしていたらしい。

なんと校門の前にまで迎えに来た。

「あれ?一人?もしかして君、吉高以外に友達いないの?ぷぷぷー」

「そんな事ねぇよ。ただ。お前がこんなところまできたおかげで友達減りそうだわ。」

実際校門前で男子高生を幼女が待っているんあだ。人が通るたびに視線が刺さる。

「・・・その唯一の友達の吉高はいないの?」

きょろきょろと辺りを見回しながら空が言った。

「勝手に唯一にするな。なんで吉高と一緒に帰ってこないといけない」

「恋人って一緒に帰るものでしょ?」

少し理解するのに時間がかかった。

「いつ俺とアイツが恋人になった。」

「あれれ?付き合ってないの?」

「誰があんな変態女」

アイツと恋人だなんて考えた事もない。アイツに付き合ってられる男は中々いないと思うぞ

「変態女とは失礼な事を言うな!」

すると、やたらでかい声で見覚えのある女が隣に来た。

「吉高だー」

「やぁやぁ空ちゃん」

「それに、私は空ちゃんと雪路君と帰るつもりでいたのだが」

「何でだよ」

「鎌地君が奢ってくれるというからな!」

「お前に奢るなんて一言も言ってないぞ」

「え、何、男の癖に女の人に払わせる気?しかも美人に」

「美人だなんて照れるなぁ!」

「あ、喋らなければの話ね」

「はっはっは!そっくりそのまま空ちゃんに返すぞ!」

確かに二人と外見だけは本当にいいからな。外見だけは。もう一度言うと外見だけ

「こんなかわいい二人とデートできるんだよ?むしろボクたちにお金払ってほしいぐらいだよ」

「変態とガキとデートしたって、俺何一つ得しないぞ?」

俺が言い終わったのと同時に空の蹴りが膝に入った。崩れ落ちたところを首根っこをつかみ、空はそのまま歩き出した。

「もう少し歩いた先においしいクレープ屋があるんだ。やや高いが、今回は雪路君のおごりだからな!」

「!行く行く!」

「本当お前ら・・・」

怒りと呆れがこもった溜息を吐いた。

「そういえば、校門で待ってた時茜とお友達に会ったよ」

「鈴鹿ちゃんか?」

「そうそう、あのおどおどした子」

「あの二人は仲がいいもんな!」

「あぁ。あの二人の仲の良さは異常だ」

引きずられながら俺は言った。

「鈴鹿もそっち系の人なの?」

「嫌。アイツは普通だ」

「あんな気が弱そうな子があんな押しの強い子と一緒にいて大丈夫?」

「・・・アイツ、鈴鹿にはセクハラしないからな」

「ふーん」

これ以上は興味ないとばかりの返事が返ってきた。

「ところで、空。俺は一体いつまで引きずられていればいいんだ」

「だって逃げそうだし?」

「よし!ではこういうのはどうだ!?」

吉高が意気揚々と俺の左手を握った。

「はぁ!?」

「空ちゃんは右手をもってくれ!」

「・・・うん!」

空は首根っこを話してから、腕の袖を限界まで伸ばして、服ごしに俺の右手を掴んだ。

菌扱いされてるのは傷つくが、左にはべっぴん(うるさい)右手には美少女(毒舌)という夢のような組み合わせに何も言えなくなった。

「ははっ両手に花だな!」

そういうの自分で言っちゃうところはどうかと思うが、確かにその状態に違いない。確かに男だったらこの状態から逃げようとは思わないだろう。左手と右手から伝わる違う温度を感じながら思った。

「・・・この状態でクレープ屋まで行く気か?」

「ダメなの?」

「ダメっていうか、逆にいいのか?」

「気持ち悪い!」

空はそう言って手をひねった。

「いててて!ちょっと理不尽すぎないか!?」

そんな事を言っている間にクレープ屋についてしまった。ちゃんと店の前に座れるタイプだ。

俺は財布から千円札をだし吉高に渡した。

「さっさと買ってこい」

「やったー!行こう空ちゃん!」

吉高はあっさり俺の手をはなして、空と供にクレープ屋に行ってしまった。

俺はとりあえず、椅子に座って二人を待つことにした。

ふと隣を見ると、ベンチにはカップルが座っていた。

きっと毎朝死んでいたり、無理やり奢らせて来たり毒を浴びさせる彼女ではないんだろうな羨ましい。

カップルは静かながらも楽しそうにクレープを食べていた。

お、男性の方、かなり葵好みの男じゃねぇか。メガネでインテリな雰囲気だが、大柄で筋肉もかなりある・・・って俺は何見てるんだ!

葵に毒された・・・と若干落ち込んだが、もう一度カップルを見た。

あれ?

もう一度カップルを見た。

んん?

さらにもう一度カップルを見る

なんだ?すごい既視感が・・・

今度はカップルの女の方を見てみた。

んん?

もう一度見た。

んんん!?

最後にもう一度見た。

「葵!!!」

思わず立ち上がってしまったのも加わって、吉高、空、店員さん。そしてカップル二人の冷たい視線が俺につきささった。

しかし、よく見ると、カップルの女の方だけ完全に目を反らしていた。

「葵、知り合いか・・・?」

男の方が葵の顔を覗き込んで言った。葵は無言で頭を横にふる。そこまで否定されると腹立つ。

「あの、人違いじゃありませんか・・・?」

男の方が遠慮がちに言った。すると、服の袖をちょいちょいと引っ張られた。

「君、頭に梅干し入ってんじゃないの?なんでこの女の人が葵に見えるの?」

クレープを持った空が冷たい声で言った。

「嫌だって」

俺が葵に顔を向けると葵はさっきよりさらにつよく頭を横に振って男の影に隠れた。

「落ち着け。」

肩にポンと手が置かれた。そこで少し冷静になる。そういえば言ってたな、アイツ性別詐称してるって・・・

確かに頭にカチューシャをして、茜の服を着ている。ミニスカートに化粧までして、完全に女の姿をしていた。

いや、隠したい気持ちはあるが、他人のフリはなくね!?

すると、葵が男の腕を掴み立ち上がり逃げていってしまった。

「あぁあ実の弟に逃げられちゃったね」

「・・・気づいてたのか」

「気づいてさらに気も使ったよ。君と違ってね」

そう言って空はベンチに座る。

「なんだ、本当に葵君だったのか。随分完成度の高い女装だな」

吉高は気づいていなかったようだ。

「君は本当に女心っていうのがわかってないね」

「アイツは男だぞ?」

「そういう話じゃなくってさぁ・・・」

「雪路君は人の心に鈍いからなぁ」

「帰ったら怒られちゃうぞ~」

「何でお前はちょっと嬉しそうなんだよ」

家に帰るのが憂鬱になった。


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