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なにが恋愛だ

作者: 克己ウカル

恋だ愛だと言うのは勝手だけど。




「…あたし、山田のこと好きになっちゃったかも」


 ……また始まった。


 体育の後の着替えの時間。女子だけの空間。ほとんどの子がそれぞれのグループでおしゃべりを楽しんでる。そうじゃない、いつも一人でいる子もいるけど。



「えーー由美が山田をっ!?」


「なんでなんで?」


「てか、いつのまに?」



 よくいちいちはしゃげるなぁ。


 そのたった一言で、彼女達のまわりの空気が甘い好奇心を含んだ浮ついたものへと変化した。その様子はまるで、甘いお菓子にむらがる蟻みたいに見える。


 吉田さん、ちょっと前には渡辺が好きって言ってなかったっけ?

 つか、関係ない私にも丸聞こえなんですが。



「なんか、最近気になるんだよねー。授業中とかつい山田のこと見ちゃうし。気が付くと山田のことばっか考えてて…」


「きゃ〜それって恋じゃん!」


 恋、ねぇ……。



 私がツミと話しながら着替えてる間も吉田さん達の話はどんどん進んでく。山田を気になりだしたきっかけとか、ひととおり吉田さんの話が終わると次は他の子の恋バナにバトンタッチしていった。

 ……さて、着替えも終わったし早く教室に戻ろう。



「あ、愛太(あいだ)さん。愛太さんは好きな人いないの?」



 と、思ったらいきなし吉田さんのグループの小野さんに話をふられた。たまたま吉田さん達の近くにいたからか、ついてない。

 まさか無視するわけにもいかないから仕方なく私は答える。



「……いないよ。そーゆーの興味ない。あと名字で呼ばないで」


「あ、忘れてた。ごめんね奇憂(きう)ちゃん」


「えーそーなの?意外。奇憂ちゃん彼氏いそーなのに」


「ねー」


「でも、興味ないって何で?」


「あ、じゃぁ積海(つみ)ちゃんは?」




私もいないよーとツミが答えてそこで吉田さん達との会話は終了した。






「女の子って何であんなに恋バナが好きなのかなぁ」


 放課後の帰り道。

 すこしだけあきれたよーに私が言うと隣を歩くツミが苦笑いした。

 これは私の口癖みたいなもんだから。


「なんでだろーねー。恋した人にしかわからない楽しさがあるのかも。わたし達は恋したことないもんね」


 そう。

 私とツミは恋をしたことがない。

 今まで一度も。

 私にいたっては男子にときめいたことさえなかった。


 だから、私は恋を知らない。恋がなんなのかわからない。

 だけどきっとそのせいじゃない、と思う。

 そもそも彼女達の、女子の言う恋っていうのが、私には恋だとは思えないのは。


「ツミはあれが恋だと思うの?」


「んー……、」


 恋だとは思えなかった。

 みんな好き好き言うわりにはすぐ冷めてすぐに他の男子を好きになる。


 そういうのって、バカみたいだ。


 こんな事ほかの女子に言ったら大騒ぎして面倒臭いことになるだろーから言わないけど、ツミになら言っても大丈夫。

 ツミは私の親友だから。



「私にはあれが本当の恋だとは思えないよ」



 女子の恋バナが私は嫌いだ。

 ちなみに少女漫画も嫌い。あの恋するのが当たり前って空気に激しく疑問を感じる。

 歌の歌詞がラブソングばっかなのもイヤ。

 なんでみんなそんなに恋愛したがるの?

 世の中には恋人が多すぎる!


 小学校も中学校も変わらない。

 夢みる乙女のような表情で恋を語る女子達を見てると、しらけた気分になるのと同時になぜか無性にイラついた。

 どうせみんな本当の恋じゃないくせにって。




 でも、じゃぁ、本当の恋って何なんだろう。




「……でも、絶対に恋じゃないとは、言いきれないと思う」


その言葉になぜかハッとして、私はツミの顔をとっさに見つめた。


「ん?どしたのキウ」


 いつもと同じツミの笑顔。


「ううん、何でもない」


 そのとき、一瞬感じた違和感は気のせいなんだって、そう思ってた。















 それから数日後。

 その日、私は朝一で出さなきゃなんない理科のレポートがあっていつもより1時間以上早く学校に来てた。

 無事レポートを提出して、HRまでの時間が何もすることがないから、バスケ部の朝練を見に私は体育館に行くことにした。正確に言うとツミに会いに。

 ツミは一年生の時からバスケ部に所属してる。はっきり言ってツミはバスケが下手だったりする。ボールをとろうとすれば何故か相手の頭にチョップをかまし、ボールを持てば相手チームの人にパスをする。だけどツミはバスケが大好きで、朝練には毎日かかさずにでる。練習も休んだことは一度しかない。ツミは努力家なのだ。そのかいもあって、中二になって最近は前より大分上手くなってきてるらしい。私はそんなツミを尊敬してる。


 入り口のところから体育館の中をのぞいてみる。






 ツミと、一人の男子が話してた。


 嬉しそうに、本当に嬉しそうに話すツミの顔はまちがいなく恋する乙女の表情だった。






 その光景を見た瞬間、ツミに見捨てられたような気がした。


 同時に、ツミのしてるらしいその恋っていうものに、強く興味がわいた。




 私も、知りたいって、ツミのしている恋っていうのがどんなものなのか知りたいって、私も恋が知りたいって思った。





読んでくださってありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです。


奇憂の恋バナ嫌いとそれに関する考えはほとんどまんま私の思ってることです。小・中学生の恋バナって本気に見えないんですよね(小・中学生の方気分悪くされたらごめんなさい)自分の年齢がその年頃だった時からずっと思ってました。でも最近は小・中学生でも本気で恋愛したりしてる人もいるのかなーと思います。



どうでしたでしょうか?

前作よりはまともにできたと思うのですが。

でもこれも文章やら流れやらが下手で納得がいかなすぎる……。

最初の女子中学生が恋バナしてるとことかもっとリアルに、生々しく書きたかったのに。

だけど書いててめっちゃ楽しかったです!


そのうち続編書くので、良かったらそちらもご覧ください。



しかし、恋愛小説っていうと読む気がしません。

(※恋愛小説は好きです)

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― 新着の感想 ―
[一言] その一言でってゆぅところらへんの表現が大好きです☆空気が変わるとことかそれを蟻に例えるところとか♪私はそうゆぅ幻想的のような表現が好きだからなんですけど。そこの表現は上手いなぁ〜と思いました…
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