電話
《天野川》
もう難しく考える必要はない。あいつらが俺を殺しにくる。……何故殺しにくる?あいつらが信者だからだ。……何故信者になったか?求めるものがあったからだろ。
「…へへ、なら、」
俺は携帯を取り出す。
あいつらが求めるモノ見つけてやるよ。
俺は、あいつに電話をかけようとして、
プルルル、プルルル、
「……タイミング良く着信が、……姫?」
俺は通話ボタンを押す。
「姫そっちは大丈夫か⁉︎」
「……川君、」
どこか弱々しげで小さな声は今にも消えてしまいそうだ。
「どうした!何があった!」
「……あのね、……私は、……川君と友達になれて本当によかった。」
「……は?」
「川君が私を見つけてくれた時、私を認めてくれた時、私と友達に、……なってくれた時、本当に本当に嬉しかった!」
「…おい、なんだよ。」
なんでいきなりそんな事を言うんだよ!
「……だから、何がなんでも、どんな事だろうと、……たとえ、………………また一人になってしまうことになっても。……私は」
「おい!姫!」
一人になる?……なんでそんな事を言うんだよ!
「川君を守るよ!」
「おい!お前はもう一人じゃない!」
だから、
「……ありがと。」
「姫!」
通話が切れた。
「…………。」
急いで掛け直すが、でない。
「……友達だろうが、」
プルルル、プルルル
「っ!!姫!」
「……悪い、俺だ。」
「蒼夜か!おまえ、今どこだ⁉︎お前も大丈夫なのか⁉︎」
「……ああ、大丈夫さ、俺は吸血鬼だからな。」
「そうか、…………蒼夜?お前、どうした?」
なんだ?こいつが自分から吸血鬼なんていうなんて。
「……川、悪い、どうやら俺はお前と一緒に卒業は出来そうにない。」
……は?
「……おい、蒼夜、今そっちで何が起こっている。」
……耳をすますと何かを殴る音、悲鳴が、……壊れる音が常に響いている。
「……俺は勘違いしていたのかもな。光を浴びて、音を聞いて、景色を見て……幸せを感じて。……俺は、生きていると。」
「答えろ!蒼夜!今どこだ!」
「……俺は、……生きてちゃいけない。……光なんて浴びちゃいけなかったんだ。」
「それを!お前が決めるな!いいから場所を言え!」
「……じゃあな、川。楽しかった。」
「蒼夜!!」
通話が切れた。
………何なんだよ。どいつもこいつも。
プルルル、プルルル
また⁉︎……今度は圓城からか!
「どうした圓城!」
「……川君、好きです。愛してます!」
「マジでどうした圓城⁉︎」
何があった!なんでデレた⁉︎
「すみません。ただ、……どうしてもこの気持ち、伝えておきたくて。」
いきなりで訳ワカンねぇが、
「……お前は大丈夫なのか?」
「はい、……体に問題は……特にないです。」
「そうか、よかった。」
圓城は無事か、
「ですけど、……ひとつ、お願いしたいことがあるんです。」
「……なんだ。」
「…私を褒めてくれませんか?」
「……は?」
「ですから、名前をよんで、今までよく頑張ったなって言って欲しいんです。本当は頭を撫でてもらいながらがいいんですが、……無理なんで、声だけでも、聞きたかったんです。」
「……なんで?」
デレてるのか?
「今まで凄い頑張ってきたんです!そして、今、……それが終わるからです。」
……いったいなにがあったんだよ、
「……。」
「……お願いします。川君。」
「……。」
「……いいじゃないですか。別に減るものでもないし。」
「……たしかにそうなんだが、」
急になんだ。
「……これが、最初で最後かもしれないんです。今、聞いておきたいんです。……記念に、お願いします。」
……なんだよ、なんか嫌な予感がするぞ。
「…どうしても、今じゃなきゃダメか?次にあった時にでも。」
「私の人生でもっとも大事な時です!そして、もっとも大事な人に今、褒めてほしいんです!」
「…圓城。……あのさ、」
「……もう!ケチ!!」
「なんだよ、そんな怒んなよ。」
「……いいですよ。……言ってくれないなら……。」
「おい、圓城。」
「……バーカ。」
通話が切れた。
「……。」
なんだったんだ。
姫も蒼夜も圓城もなんかおかしかった。
……助けを頼むか。
俺は電話をかける。