7対1
《姫星織彦》
今、全力で逃げ回っていた。私は運動神経は良かったから早々には追いつかれず信者達も1人また1人と見えなくなった。だが、
「うわー!!」
「「待ちなさーい」」
仕草は女性だが肉体はボディービルダーのような二人の信者達だけは私の速度に余裕でついてきていた。
「あーん、なんで逃げてる子ってあんなに可愛いのかしら?」
「はぁ!はぁ!そうね!ヤバイわ!興奮してきちゃった!」
「前もこんな事あったわよね?」
「ええ!逃げ惑うホストのナンバー2を一週間追い回して捕まえたときでしょ!」
「あの時は楽しかったわよね!」
「……。」
……こ、このままじゃ、逃げきれない!追いかけてくる二人の?性は女性らしい走り方で地面を抉るかのような速度で駆けてくる。
「くそ!すみませんが倒します!」
「やだ!押し倒すだって!」
「ちょっと!それは私に言ったのよ!」
二人は一瞬睨み合い、すぐこちらに壮絶なウインクをしてきた。
「「いつでもカモーン!!」」
「なんて戦いにくいんだあああ!!!!」
数十分後、
「はぁ、はぁ、……やっと倒した。」
服は破れボロボロ、体の至る所に赤い痕が残っていた。
凄まじい戦いだった。殴っても投げてもまったく構わず服を脱がしにきてキスをしてくるだけ。……相手がまともに戦ってきていたら間違いなく負けていた。
「…あと、5人もいるのか。」
逃げ回っていた所為で散り散りになった信者達だったが騒ぎ過ぎたせいでまた集まってきていた。
「……あら、捕獲班がやられてるわ。……しかも満足そうに。」
「やり切った感が凄いわね。……ここからは私達の出番かしら?」
「そうね。私達、接待班が。」
「「「「がんばります!!」」」」
四人の見た目少女達が姫星の体に抱きついた。
「っ!邪魔しないで!僕は川君を助けに行くんだ!」
「そんな事言わないで私達と楽しくおしゃべりしましょう!」
「そうそう!うわっ!近くで見たらこの子本当に綺麗な顔してる。」
「本当だ!ねぇねぇ、化粧品とか使わないの?色々教えてあげるよ?」
「絶対にモテるよ!やろうやろう!」
「もう!離してください!」
「「「「ダーメ!」」」」
こっちの方がもっと駄目なのに!……まともに話を聞いてたら永遠に終わらない無駄話に付き合わされる。それなら、…………
「わかりました。話をしましょう。」
「「「「やった。」」」」
「ただし、会話に嘘を入れないでください。……もし、それを気づかれたら僕を離してください。」
「えー、……わかったわ。」
「なんか面白そう!早くやろう!」
「どうやって嘘を判断するの?」
「自主申告じゃない?」
10分後、
「……嘘ね。」
「ああん!なんでわかるの!」
「これで全員の嘘がばれちゃった。」
「悔しい。」
「もっとおしゃべりしたかった。」
「すみません。……また今度でよければ話を聞かせてください。」
「「「「絶対よ!!」」」」
「……はい。」
……あと1人。この人ははっきりいって格が違う。
「あらあら、あの子達はまだ青いわね。」
大人の魅力を漂わせ、立っているだけで圧倒的な存在感を感じる。
「……通してくれませんか?」
「私と少しお喋りしてくれたらね。」
明星綺羅、この人はやばい。