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重い道理。

縛られているせいで後ろを振り返れないが聞きなれた、本当に聞き慣れた声がした。


「……幽霊じゃないだろうな?……あ、足はちゃんとあるのか?」


……馬鹿なことを聞いてしまう。……顔が見えなくても分かってるのに。


「……はぁ、……当たり前だ。」


……この声を聞けば本物だって。


「あ、あ、あ、貴方。……何で生きてるの⁉︎」


紅夕日が私の後ろをありえないものを見るような目で見ている。


「………圓城を返してもらう。」


「……何故……。」


……驚きすぎだ。…………紅夕日は本当に思い通りにならない事がなかったからなのかもしれない。


「……圓城、」


「何だ。」


「……電話の話なんだが……」


「……………………………………。」


「あの、「ちょっとまて!あれはだな⁉︎お前が死ぬと思って!それなら最後に言っとこうかな?ぐらいの気持ちだったんだ!そう、出来心というやつだ!私も少し考えが甘かったというか、それにまだ学生だしな!人生50年以上あるわけだしここで結論を出すのは些か早いわけで!」…………俺は「私は縛られている状態だということを忘れるな⁉︎今、何か言われたとして対応に困るわけだ!耳も塞げないし!逃げることも出来ない!そ、それに後ろから言われても私の耳は前を向いているからな!よく聞こえない可能性があるだろ?そんな状態で、な、何をいうか知らないがちゃんと伝わらない可能性がある!そんな中で話をするというのは非効率だと思うのだ!」……お前に「私は今!疲労で意識が朦朧としている!このままでは話を聞くどころか立っていることすらままならない!さらには!頭も痛いし足が震えるし顔が熱いし心臓が2ビートを刻んじゃってます!これ以上私に負担がかかると死にます!本気で!物理的に!だから喋らないで!」…………。」


……キュッ(首を絞める音)


……ガクン。(圓城の意識が落ちる音)










「………今は何も……言えねぇよ。」



俺は圓城の前に出て、その横を通り過ぎる。


「……。」


「なんとか、時間には、間に合ったぜ。」


そのまま、紅夕日の方に歩いていく。


「……何で。」


俺を見て震える紅夕日。


「……紅。……お前さ。」


俺は紅の前に立つ。


「……なんで……なんで!そんな体で死んでないの⁉︎」


「なんでも思い通りになると思うなよ!」


……トラックに轢かれ、……ぐちゃぐちゃな体で。











《紅夕日》


「い、生きてるはずないのに!なんで⁉︎トラックに轢かれたのよ!」


…左手と左足は折れ曲がり


「出血量から見ても死んでるのに!」


…頭は割れ、腹からは骨が突き破り


「……そ、その体で、……ここまで来たって言うの⁉︎」


体を引きずってきた道にはおびただしい血の量が付着していた。


「……行くって、言ったろ?」


「…馬鹿なの!……来れるはずないのに⁉︎」


私の未来では彼はトラックに轢かれたままそこで命を落としているはずなのに。……万が一、彼がトラックに轢かれていなければ分かる!思い通りにならなかったと喜べた。………でも、これはあり得ない!見てわかる、すでに死んでるはずの体で彼は立ち、ここまで来て、……私の前にいる。


「……どうなってるの。……私の未来が外れることはあっても………………見えないことなんて・・・・・・・・・なかったのに!」


……彼が何者なのか、わからない。


「…………。」


……いいえ、違う。……朝倉の言った通りーーがないから、…………わからないんだ。


「……どうした?予言通りじゃないのか?」


「……うるさいわね!……わかったわ、圓城さんを解放するわ。それでいいかしら?」


「……ああ、助かる。だけど、それ以外にもしないといけないことが、ある。」


そう言って一歩私に近づく。


「……な、なに?私に暴力を振るうつもり?そ、その体じゃ無理じゃないかしら?」


「…違う。」


また一歩私に近づく。


「……ああ、洗脳した人たちの事?…わかってるわよ、ちゃんと洗脳は解いておくわ。……それのことでしょう?」


「それも頼むが、今は違う。」


また一歩、


「………じゃあ何だって言うのよ!」


……未来が見えない、どうするどうするどうするどうするどうするどうするどうする。この先何が起こるの?何を言ってくるの?何をされるの?わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない。わ、わたしはどうすれば!こんな事、今まで一度もなかったのに!


「……な、なんで圓城さんを絞め落としたの?」


「こんな姿、見せられないだろ?それに、」


ついに、私の目の前まで


「…………。」


「今からする事もな……。」






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