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預言者の話3

「まぁ、それもついでで、私を止められる人間に出会う事が本来の目的かしら。」


「……世界征服の出来るレールがお前には見えてるということか?」


「いいえ、はっきり言って不可能よ。時間、人材、お金に方向性。足りないものだらけだから。……だけど、朝倉と手を組めば見えてる未来以外の方法があるかもしれないし、何より少しくらい私の思い通りにならない事がありそうじゃない?」


「……。」


「貴女も天才なんだけどね。……想定の範囲内なのよ。まぁ、要は貴女じゃ役不足だから新たな出会いを探すためってとこかしら。」


「……。」


「……他に聞きたい事はないかしら?……そろそろ彼が死んでいる頃だと思うし、貴女も死んでもらおうかしら。」


「……待て。……それは川の事か?」


「ええ、貴女が寝ている間に彼に電話したの。……貴女を助けたければ6:00までにここまで来なさいって。」


「な!目的は私だったんだろう⁉︎何故川を!」


「……凡人と足並みをそろえていると天才も凡人と変わらないから。最初は彼といるせいで貴女が天才としての能力を発揮出来ないでいる可能性があったから邪魔者として消そうと思ってたの。」


「なら今はその必要はないはずだ!」


「そうね、貴女がどちらにしろ使えないと分かったのだから彼にちょっかいをかける必要はなかったのだけど。……少し、試してみようと思ったのよ。」


「……何をした。」


「……私の未来では彼がここに来るための道でトラックが事故を起こし子供が1人死ぬレールがあるの。」


「……!!」


「トラックの運転手は長距離移動でかなり疲れているみたい、でもかなりのスピード走ってるわね。当然ね、今日は運転手の息子の誕生日、何が何でも早く仕事を終わらせて帰らなければならないみたいだから。」


「……。」


「そして、その道は少し緩やかなカーブ、スピードが速くても曲がり切れる程度の。それでも普通ならギリギリで子供がいる事に気付けたはずの場所、最近出来た大きな看板さえなければ。……立て方が悪いんでしょうね。曲がり切った瞬間に見えるその看板は非常に目につくの、目が一瞬離せなくなるくらい。……下に子供がいる事に気づけないくらい。」


「……。」


「そしてその子は看板の下に出来た蟻の巣に夢中……子供の趣味が理解できないけど。まぁ、偶然に偶然が重なりここで事故が起きるわ……私が彼に電話した数分後に。」


「……。」


「……もうわかってると思うけどそのレールに彼を乗せてみたの。貴女を利用してね。」


「……。」


「私の未来では子供は助かるわ。……彼が子供を庇って犠牲になってね。もちろん彼が助かる可能性も一応あったのだけど、……貴女を助けに向かった時点でなくなったわ。」


「……。」


「…今の時刻は5:57。車に潰されて瀕死のはず、……でもまだ生きてるわ。」


紅夕日は携帯をスピーカーにして圓城の近くに転がす。


「……もし、彼が電話に出れば、話をすればいいわ。彼との最後の会話になるだろうし、邪魔はしないわ。」


「……。」


プルルル!プルルル!プルルル!


「……。」


プルルル!プルルル!プルルル!


「……。」


プルルガチャ、……はぁ、はぁ、……紅か。


「……。」


はぁ、まだ……時間じゃ、はぁ……ない……はずだ。はぁ…はぁ…圓城は……無事だろうな!


「ッッ!!!」


すぐに、はぁ…はぁぐぅぅ!!行く!から!…はぁ…待ってろ!


「……もういい。川。」


……圓城か!はぁ…はぁ…大丈夫か?すぐ、…行くから。


「もういい!川!お前の方こそ大丈夫なのか⁉︎」


……もち、…はぁ…今、走ってる、から……はぁ…喋り、づらいだけだ。


……嘘だ、言葉の途切れる時に聞こえる呼吸音は息切れじゃない。……喉に血が詰まってうまく話せないんだ。


「……もう、いいんだ、川。」


…はぁ…は?……何を言ってんだ。……もう、お前のとこまで……あと少しだから。


「そんな嘘、つかなくていい。」


……どうせ、最後、だからな。


「川に……ずっとずっと言いたかったことがあるんだ。」


…はぁ…はぁ…なん、だ?…今、交差点を、右に曲がったぞ。……あとちょっとだ。


「……本当は、川から言って欲しくてずっと待ってたんだが、」


…はぁ…今、…廃工場が…見えてきた。…待ってろ。


「…川!お前が好きだ!ずっとずっと子供の頃から好きだった!」


……はぁ?……ゲフッ、……はぁ?


「お前が、山下といちゃつくのを見るのが辛かった。男の姫星を優先してデートに行くのが憎かった。」


はぁ…はぁ…あの、な……


「私もお前といちゃつきたかった!デートもしてみたかった!……私をもっと見て欲しかった。」


……はぁ…はぁ…圓城……ゴホッ!


「……わかってた。お前が私を恋愛対象として見ていないのは。……川の寝ている布団に潜り込んで何でもすると言った時も、川の両手を掴んで私が泣きながら責任取ってと言った時も、部室でわたしが寝ている時も、他にもたくさんあったけど!……川は何もしてくれなかったから。」


……紅夕日が凄い哀れみの視線を向けてくるが、邪魔しないと言ったからか、なにも言ってこない。


…………。


「…それでも!私はお前が好きだった!……恥ずかしいから、……二人っきりでも素直になれなかったし、……酷い事をしてきたし、……探偵部を辞めていいとも言ったが、……。」


…………。


「川に意識してもらいたかっただけなんだぁぁぁ!!!!」


…………。


さっきから、


「川、……お、お前はわたしの事を、どう思っていたんだ?」


…………。


ずっと川の返事がない。


「さ、最後に、それくらい、聞いてもいいだろう?」


…………。


わかってる。


「くぅ!返事をしろおおおお!!」


…………。


なんでなんて。


「……ううう。……川。」


…………。


もう、


「……川。……今、どこ?」


…………。


いないんだって。



…………。







…………。







…………。








…………………………今、お前の後ろにいる。

















「…………………………メリーさん?」





「…違えよ。」





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