誤解からクライマックスへ
「蒼夜君、おそらく山下さんは腐れヤロー川君にアルコールか何かを無理矢理飲まされて意識もはっきりしない状態で……襲われたのかもしれません。」
「……たしかに、山下からは血の匂いのほかにアルコールの匂いがする。…川からもだが。」
「…お互い、酔った勢いだと主張するためですね。」
違う!杏奈さんが何故かアルコールを持ってきたんだよ⁉︎
「「あるわけないだろ(でしょ)。」」
くそう!自分でも否定出来ない!
「他にも、包丁を持っていることからも失敗した時は脅すつもりだったのでしょう。」
だから違う!俺は杏奈さんに痛みを与えるために!…………………あれ?なんで俺が杏奈さんを傷付けなければいけないんだ?そもそも、なんで……………………あれ?
「…催眠は解けましたか?」
……え?
「…解けたのか?」
蒼夜が圓城に尋ねる。
「たぶん。川君、今もまだ山下さんに何かしようと思いますか?」
…いや、
「男として山下さんを襲いたいとも思わないんですか?」
それは…まぁ……。
「……要観察ですね。」
ふっ!普通だろ!
「二人ともボケるのは後にしてくれ、…何をしたんだ。」
「…催眠を解く方法にも色々あります。基本的にはかけた人が解くものですがそんな時間もありそうにないのでさっきの会話中に荒療治ですが催眠を二重掛けして無理矢理解きました。」
……え?大丈夫なの?
「もし、後遺症が出ても………今はそんな事はいいですね。川君、あなたは今まで催眠をかけられていたんです。…サンタクロース事件の犯人と同じように。」
そんな事じゃねぇ!大丈夫なの⁉︎
「いつから、かはわかりません。ですが、少しずつ川君は催眠をかけられてかなり危険な状態でした。サイコパスと呼ばれる人間になるほどには。」
今は?今は俺は大丈夫なの?
「私はこんな非道な事をする人間を許せません!人の心を操って!人を道具のように使うなんて!その人はきっとそのことに対して何も悪いと思ってないんですよ!催眠をかけられた人がどうなるかとか考えてないんです!」
おい、鏡を見ろ。お前もだからな!
……それにしても
「私は、どうしても許せません!」
おい圓城、お前何で
「絶対に!絶対に!許せません!」
エンジェルスマイルの話し方なんだ?お前、
「ですから、」
圓城が携帯の電源を切った。
今、誰といるんだ?
「決着をつけましょうか。紅夕日さん。」
夕陽の沈みかけた公園に3つの影が長く伸びていた。