吸血鬼二人
《音楽室》
「馬鹿な馬鹿な!!何故もう来れる⁉︎まだ3分も経ってないのに!それだけじゃない。何故僕がこの男の侵入に気づかなかった⁉︎」
「川の笛の音のせいだろ?」
「くっ⁉︎何処までも余計な事をするやつだ。…だが、所詮人が1人増えただけ、さっさと殺せばいい。」
吸血鬼は蒼夜に飛びかかる。…正直、見えたのはそこまでで、何をしているのかわからなかった。
…速すぎて。
「…最強と呼ばれてるのは知ってたけど…ここまでか。」
よっこいしょと。俺は壁にもたれかかる。
吸血鬼の動きが見えないというのは暗いせいもあり縦横無尽に動き回っているせいもある。…言い方悪いが人間大のハエだ。
それに比べて蒼夜は立っているところからほとんど動かず、手だけが凄い速さで動かしている。…しかも、それで俺と山田さんの方に行かないように制しているようだ。…納得いかない格好良さだ。
「人間でありながら!その強さは何だ!この…化物め!」
「…そういうな。俺はーーーーーだ。」
「…は?」
吸血鬼の動きが若干止まる。
「よっ。」
その一瞬の隙に吸血鬼の腹に横蹴りを当てる。
ズダンッ!!
まるで水切りのように吸血鬼が地面を跳ねながら壁に激突する。
「グッゥ⁉︎」
「これで、終わりだ。」
「まだだ!この程度の傷!」
蒼夜が何かを投げた。
…ん。あれは⁉︎
「麻耶、川、目を閉じろ。」
シュワッ!!
あたり一面が白で包まれる。…閃光弾だ。
「「ギャーーー!!!」」
目が!目があああああ!!!!!!
俺と吸血鬼がのたうち回る。
「…目を閉じろと言ったのに。」
「言うのが遅いんだよ!てか、何でそんなの持ってる!」
「ツテで貰った。」
「何処と繋がってるの⁉︎」
俺は目を押さえながら叫ぶ。
「ギャーーー!!!」
吸血鬼がまだのたうち回っている。
「…いくら何でも効き過ぎだろ。…ただの光に。」
「こいつらにとって光は天敵だ。全くと言っていいほど光を浴びてこなかったせいで見た目もだがアルビノ体質になっている。…それも極度の。」
確かに、さっきの光で皮膚が焼けている。…治り始めているが、
「だが、これも時期に慣れて光を浴びても大丈夫な体になる。…その前に全員捕まえないといけない。」
…目を覆ってるせいで蒼夜がどんな顔をしているか分からんが何となく、
「…蒼夜も圓城も俺になにか隠してるだろ。」
辛そうだ。
「まぁ、…色々な。」
「……。」
吸血鬼は一応、捕まえた。そして、次の日。
《学校トイレ》
俺は蒼夜と連れションをしていた。
「はぁ、しかし昨日は疲れた。」
「お疲れさん。」
「まったくだ!そして、今日は部室で圓城に問い詰めてやる!」
俺だけが、俺だけが!まったくと言っていいほどこの事件の内容を知らずに関わっている。おかげでマジで死にかけたわ!
「…そういや、蒼夜は山田さんとあれからどうなったの?」
「…?どうとは?」
「付き合ってるのかって事だよ。」
告白されてんだろ?
「…あー、別にそういう関係じゃない。」
「下の名前で呼んでたくせに?」
あれには驚いた。
「…よく聞いてたな。」
「まぁな。」
「……。」
「……。」
「………一応な、付き合っている。」
「こっの!イケメンが!!」
俺は蒼夜を膝で蹴る。
「おい、やめろ!溢れる!」
「クソッ!やっぱり顔なのか?顔がよくて頭がよくて性格が良いからか?そしたら、あんな可愛い子と付き合えるのか?蒼夜!俺と轟に謝れ!」
「…何故、轟まで出てくる。」
「情報屋のお前が知らないはずないだろうが!」
「…まぁ、知ってても譲らないがな。」
「クソッ!かっこいいな!」
憎さ通り越して憧れてしまう。
「…別にそんな事ないだろう。」
「……。」
心がざわついてしまう。…静まれ。
「ま、まぁ、いいや、それでもう一個蒼夜に聞いときたいところがあるんだけど。」
「ん?何だ?」
手を洗っている蒼夜は俺を見ず聞いてくる。
「ああ、実はさ、……ん?蒼夜、顔になんかついてるぞ?」
「ん?…どこだ?」
蒼夜がペタペタと自分の顔を触っていたがわからないらしく俺に聞いてきた。俺は蒼夜の顔を向かい合った形で見る。
「………何で俺に聞くんだ?」
「は?だって、お前が顔についてるって言ったんだぞ?」
「ああ、だけどさ、普通は顔を触る前に俺に聞く前に、まずは…目の前の鏡をみるだろう?」
トイレの手洗い場だ。鏡があるのは当たり前だ。
「……。」
「前から気になっていたんだ。俺がいくらかっこいいとか顔が良いとか言ってもいつも疑問形もしくは否定形だった。相手に嫌な印象を与えないためにかと思ってたけど、本当は……顔を認識出来てないんじゃないか?」
「……。」
俺は意を決して聞く。
「蒼夜、……お前も吸血鬼なのか。」
「そうだ。言ってなかったか?」
「乗り軽い!」




