肝試し
《深夜の学校》
この翼稜高校には七不思議がある。
1.死つ葉のクローバー
2.フレディ教授
3.トイレの花子
4.使われない音楽室
5.自殺階段
6.呪い本
7.咲かずの桜
「この7つのうち4つの現場で誰かが死んで
いる。それ自体が既に七不思議。…遊び半分で近寄るべきじゃないことを先に言っておく。」
「「「「……。」」」」
生徒会長の言葉に肝試しに参加する生徒は息を呑む。
「では、七不思議巡りの肝試しを開催する!」
「「「「おおおおお!!!」」」」
生徒達が右手を上げて雄叫びをあげる。
「…おかしくない?言ってる事とやってる事が真逆なんだけど?」
「一応、生徒会長として注意しておこうとしたんじゃないですか?止めることなんて無理ですし。」
「だからって……おい、何でお前もノリノリなんだよ。」
隣を見ると圓城が嬉々とした顔で右手を上げていた。
「何故って肝試しですよ!七不思議ですよ!未知への冒険ですよ!テンション上がるじゃないですか!」
「お前は小学生男子か。…俺はあんまりしたくないんだよな。」
…良い思い出がないし。
「何を言ってるんですか高校生男子が。ことわざでもいうでしょ《危ない橋は這ってでも渡れ》と。」
「…言わねぇよ。てか前から思ってたけどお前のことわざは微妙に違うからな!為にならない。」
「圓城セレクトです!」
「…はいはい、それより本当にこんなとこに来るのか?…犯人が。」
「来ますね。犯人にとってこれ程都合の良い餌場はないですから。若い女性がわんさか。」
「…誰でも良いってわけじゃないのか。おっさんとかおばさんとか。」
「なるべく若い子が良いんだと思いますよ。汚れてない。しかも、女の子。」
「…ふーん。ま、今からは気を抜けないな。」
「はい。」
《死つ葉のクローバー》
「この学校の銅像の周りに広がるクローバー畑、昼食時などは大勢の生徒がここで弁当を拡げる姿をよく見ます。…ですが、ここで四つ葉のクローバーを見つけてはいけません。」
「……。」
「昔、四つ葉を見つけた生徒が次の日に亡くなっていました。もちろん、偶然だろうとみんな思いました。ただ、せっかく四つ葉を見つけた次の日に亡くなってしまうなんてなんて運が悪いんだろうと。」
「……。」
「ある時、昼食時にまた1人の生徒が四つ葉のクローバーを見つけてしまいます。…そして、その生徒も次の日に亡くなっていました。」
「……。」
「それからそこはみんなからこう呼ばれるようになります。《死つ葉のクローバー》と。」
「……。」
「それでは、今から2人組を組んでもらい抽選で決まった1番から5番の方は順番に銅像前に行き、5分待機して帰ってきてもらいます。…今日は新月で暗いですので、くれぐれも…足元には気を付けて。」
「…どっちの意味だよ。」
なるほどな、肝試しの人数が意外にも多いから2人組を組ませてそれを七不思議ごとに組分けするのか。
「…この話の裏話、…聞きますか?」
「…あんの?」
「…あのクローバー畑は昔、農薬を蒔いてたそうです。そして、銅像を磨く業者もお昼前にそれを磨いたそうです。そして、運が悪く磨くための液体をこぼしてしまいました。」
「…まさか、」
「はい、ここからは化学の授業になりますが、要するに混ぜるな危険!が出来ました。」
「…他の言い方ないか?」
「じゃあ、ケミストリー。そして、お昼時に生徒がクローバーに触ります。…さて、その手は何処に逝くのでしょう?」
「……。」
真実は残酷だな。
「これが、一応詳しい人なら知ってる裏設定です。」
「…裏設定?なんだ、本当は違うのか?」
「川君は馬鹿ですか?もしこれが実話なら七不思議どころか集団食中毒になってます。四つ葉を見つけた人だけ死ぬなんて確率的にありえません。…だから、七不思議にはいってるんですよ。」
「……。」
「真実は七不思議で隠されただけです。気付きました?四つ葉を見つけたこと以外で生徒の死因については噂になってない事に。…そして、本当に気を付けないといけないのは足元じゃなくて。」