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吸血鬼

《???》


「……。」


とある山奥にある廃墟に1人の青年が足を踏み入れた。廃墟の中は蜘蛛の巣や埃でかなりの間使われていなかったであることが分かる。


「……これか。」


その中の一室に山のようにノートが重なっている部屋がある。青年はノートを一冊取り、徐に開き読む。…どうやら日記のようだ。





?月?日


10歳未満の子供達を攫ってきて実験を行うことにした。取り敢えず100人程の人数をこの部屋の地下にある蜂の巣状に広がる音も光も通さない真っ暗な部屋に2人ずつ子供達を閉じ込める。水も食べ物も光も与えずに生活させたら人はどうなるか?純粋な子供が何をするか楽しみだ。



?月?日


2〜3日で死んだ。また子供達を攫ってくる。生き残った子もいるので扉を自動で開けまた2人組を作らせ閉じ込める。



?月?日


2〜3日で死んだ。また子供達を攫ってくる。



?月?日


2〜3日で死んだ。また子供達を攫ってくる。



?月?日


2〜3日じゃ死なない子供が増えてきた。攫う子供が減る。



「……。」



青年はまた、べつのノートを一冊読む。




?月?日


この数年間で思わぬ変化が起きてきた。髪の毛が白くなるもの、まったく寝ないもの、成長が止まるもの、心身に異常をきたすもの、様々な弊害が起こるようになった。…だが、何より驚くことはほとんどの子供達の身体能力が高くなっている。それもアスリート並みに。1人の子供を部屋から出して確認した結果、身体能力、傷の再生能力が高いこと、ほんの少しの光に痛みを感じること、聴覚が異常に高いこと、鏡に映る自分を認識出来ないことなどの様々な症状が現れていた。…これは。



「……。」



青年は山になったノートとは別に机に置かれたノートを見つけ読む。



?月?日


私も逃げなくてはいけなくなった。この十数年で1人の化け物が生まれた。数千人の子供達の中からたった一人だけ全ての能力が高く恐ろしい程強く育った。その彼がこの部屋から逃げたした。研究のために1人だけ連れて行こうとして。光に弱いはずの彼が苦しんでいる隙にと思って…だが、彼は光をものともせずに逃げた。…唯一の弱点が彼にはない。追うのはむりだ。彼は人類で最も強い。…いずれ、私を殺しに来るだろう。…その前にこの実験結果を完成させなければ、…





吸血鬼計画を。




「……。」


青年はノートを閉じ、部屋から出て地下に向かった。













《探偵部部室》


月宮円が入部して依頼の解決速度が尋常じゃないくらい早くなった。


「…この2人は確か両想いのはずよ。」


「ありがとうございます。じゃあ、こっちの人は?」


「…その人は…駄目。性格が酷い。諦めてもらわないと。」


圓城と月宮が資料の山を順々に見せながら解決していく。…主に恋愛関係を。


「…あら?この2人を結ばせれば親御さんからもお金せびれるんじゃない?」


「ああ、それですね。どっちも大企業の子供ですから親として政略としてはそうしてほしいでしょうね。でも、依頼者は大企業の子の幼馴染みからのはずですよ?依頼の未達成は次に支障が出てしまいます。」


「…そう、残念ね。300万くらいいけそうなのに。」


「…いえ、ちゃんと親御さんからもいただきましょう。大企業の子同士をくっつけた後、(そこで親御さんからお金は貰い。)それでも幼馴染みを忘れられないように色々仕掛けてやっぱり幼馴染みの事が!みたいな感じで、最終的にハッピーエンド!…って形にします。」


「…なるほど、理想的ね。流石ね、圓城さん。」


「いえいえ、…ですので協力よろしくお願いしますよ。月宮さん。」


「ふふふ。」


「えへへ。」


「……。」


ゴシゴシと瞼をこする。油断すると2人の顔が悪魔にしか見えないから。


「圓城、俺には何か仕事はないのか?」


「…ありますよ。二件程。」


そう言って圓城は二枚の紙を俺に渡してくる。


「…どれどれ?」



依頼 恋愛成就


1.轟轟と山田麻也を恋人に。




俺は一枚の紙を破る。捨てる。見なかったことにする。


「…最近疲れてるのかな?幻覚が見えるな。」


ゴシゴシと瞼をこする。


さて、もう一件は、



依頼 捜索


2.吸血鬼事件。



「……。」


ゴシゴシと瞼をこする。…本当に疲れてるのかな?もう一度紙を見る。


「…圓城、この吸血鬼事件って何だ?」


「ほら、前に説明したやつですよ。」


「前に……って!お前が嘘ついてたやつだろ⁈」


ストーカー事件の時に使われたやつじゃなかったのか!


「私は一度も嘘だなんて言った覚えはないですよ。ずっと調査も続けてましたし。…そして被害はかなり増えてます。」


圓城は俺にさらに資料を渡してきた。



「……おいおい、首を噛まれた人の数もそうだが、なんだよこの人数は、子供の行方不明者が多すぎるだろ?」


首を噛まれた人のはつい最近のやつだが子供の行方不明は20年前のやつだ。俺が産まれる前じゃないか。


「この二つは恐らく繋がってます。前者は被害者、後者は今はこの事件の犯人に。…まぁ、蒼夜君に頼んでいるので彼が帰ってきたらもう少し詳しい話をしましょう。」


そう言って圓城はまた月宮と依頼を見始めた。

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