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納得

次の日、月宮判は学校に来なくなった。


様々な噂が流れたが探偵部で無かったことにしたとかしなかったとか。



《探偵部部室》



集まっているのは俺と圓城、蒼夜、姫。それに月宮円だ。


「一応、事件のほうは解決しました。これ以上被害者が出ることはないでしょう。」


「……。」


「…正直、月宮さんとしては辛いと思いますが。」


…当然だ。実の弟が犯人だったんだ。


「そんな事はないわよ。」


そんな事はなかった。


「いや、無理しなくても。」


「判が犯人だと、あんたに言われるまで気づかなかったのはショックだけど世界には大勢の犯罪者がいるわ。…それがたまたまうちの弟だったってだけ。仕方ないわ。」


「…それはなんでも冷めすぎだろ。」


「温めたって結果はかわらないわ。…受け入れ方次第ね。」



「……。」


「それよりも圓城さん、私が呼ばれた理由は?」


「あ、そうですね。今回は川君が犯人を見つけたみたいですしこの勝負は探偵部の勝ちということでよろしいですか?」


…そう一応、俺が犯人、月宮判を見つけたわけだから、この勝負は探偵部の勝利で月宮がうちに入部することになる。…はずだったが、


「圓城、悪いがその件は無効だ。」


「え?」



「悪いが、俺は犯人を捕まえるために月宮と手を組んだ。…その時に月宮から。」


「協力する代わりに入部をしない。」


「…そういわれてな。…協力してもらいました。」



「…また勝手に。…なるほど。それで、川君は月宮判君の狙う次の相手を見つけることが出来たんですね?」


「…ああ、」


あの時、判には自力で探し出したように言ったが、そんな事は無理だ。…月宮に頼んでずっと判の心を読んでもらい彼女に会いに行く時連絡をもらっていた。


「だからこの件はドローで終わりだ。」


「…まぁ、事件が解決したのは川君ですし

良しとしましょう。」


「なら、私は探偵部に入部しなくていいのね。」


「はい、…とても残念ですが。」


「お金だけ忘れないでね。」


「はい、川君が自腹で払いますよ。」


「俺⁉︎」


「…いつでもいいから。」


「…出世払いで。」


「もちろん、利息はトイチ。」


「近々、持ってきます。」


それを聞くと月宮は部室から出て行った。





静かになった部室で初めに圓城が口を開く。


「川。」


「…なんだ。」


「…そうとう、無茶したみたいだな。」


「まぁ、少し。」


…確かに、今の俺は包帯でぐるぐる巻だ。顔や背中はあざだらけ、奇跡的に骨は折れてなかったがストーカー事件並みに怪我をした。


「いや、怪我ではなく、そのくらいいつものことだろ?それよりあのボイスレコーダーのほうだ。川、嘘が雑すぎだ。」


まったく怪我を気にされないというのは如何なものか?まぁ、確かに月に一度は怪我してる気もしないでもないが。…それより何で圓城がその事を知ってるんだ?…って決まってるか。



「…見てたのかよ。」


「当然だ。万が一、というより失敗してたらお前は月宮判に殺されてたんだぞ?」


「…いや、判が狂ってたらヤバイと思ったけど、彼女の死を否定している時の顔が笑ってなかったから…大丈夫だと思っちゃったんだよ。」


「…基準がわからん。」


俺も正直なんでそう思ったのかはわからなくなってきてる。


「あー、それよりボイスレコーダーの事知ってたのかよ?」


「何が彼女の母親からだ、…春野一樹、あいつに声真似で造らせた偽物のくせに。」


「……いい出来だろ。」


…春野君に彼女の母親から借りたビデオを見せて声を憶えさせて月宮から判と彼女の関係を教えてもらい造らせた。圓城が好きみたいだから少し脅したら快く引き受けてくれた。自分でも思う。…相当クズだと。


「やっていい事と悪い事の区別くらいつけろ。」


「…それくらい俺も分かってるさ。」


やっていい事とは出来る事、やっちゃ悪い事はバレる事。…今回はギリギリか。


「…だけど、嘘が必要だと思ったんだよ。どうせ、他人の話なんか聞かないだろうし、…貫くにしろ、変わるにしろ、自分で決めないと何処にも行けないから。」


「キッカケを作ったつもりか?」


「キッカケ。そんなつもりじゃ……あ、そういうお前こそ、この事件、俺たちや月宮、他の愛好会の連中を巻き込んで。…何処から分かってたんだ?」


圓城がこの事件を持ってくる前にすでにあの愛好会の連中に俺たちを会わせていたこと、一体どこまでが計算だったんだ。


「犯人以外。」


「…何もわかってないのか、全て理解してたのか紙一重だな。」


「私が選んだのは事件が解決する最善だ。…これが一番だと思ったんだよ。」


…俺には理解出来ないな。…損得で考えるお前の気持ちが。


「…じゃあ伝えること伝えたし、俺よる所があるから先に帰るな。」


「…何しにですか?」


「…最後に頼まれた依頼を解決しにね。」




俺は部室を後にした。










《クイズ愛好会》



「…こんにちは。」


「…ん?…最近よく来るね?」


「まぁ、」


「では、クイズを!」


「少し待って!…大久伊沙さんの事でちょっと。」


「……。」


大久伊沙は…この人の姉だ。…判から少し話を聞いてせめて、この人にはと思って伝えにきた。



「……第一問!」


「マジで聞けえええ!!!」


え?この人本当にただ会話って出来ないの?


「…二年前、姉を亡くした家族は途方に暮れました。」


「……え。」


「しかし、今は普通に生活しています。さて、何故か?」


「…大久先輩。それって。」


「姉の件なら何も話す必要はない。」


「え?」


「…なんとなく、お前が何を言いにきたのかわかってる。」


「……。」


「…姉さんの恋人の事。電車に轢かれた事が事故なのか自殺なのかとかそんなところだろう?」


…知ってたのか。


「聞きたくはないんですか?」


「…今更だ。それを聞かされてどうしようってんだ?遅すぎるんだよ。もう何を言われようと…本当に今更だ。」


「……」


…なんでだろう。さっきも同じような事を言われたような気がする。



「君がなんで知ってるのか?何故言いに来たのか?…クイズと一緒だ。ヒントは言葉の中にある。」


「……。」




わかっている。…そう俺に伝えるように大久先輩は笑う。


「まぁ、難しく考えないでくれ。ようは、聞きたくないだけだ。」


「……。」


「その事についてはもう納得してるんだ。わざわさ、来てくれて済まないが言わなくて大丈夫さ。…それより、このクイズは解いてみてくれ。今回のは自信作だ!」


所詮、他人の俺に言われても何も変わりはしないか。…俺はため息を吐いた。


「…わかりました。」



彼は言った。クイズの中にヒントがあると、…なら少しでも彼の気持ちがわかるように俺はそのまま、大久先輩のクイズを聞くことにした。



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