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犯人探し2

《学校》


次の日、俺は姫星と…いや、姫と話し合う。


「…なるほどね。分かったわ。つまり、この資料の中にいる学生を片っ端から尋問していけばいいのね。」


「わかってるようで分かってない!相手に疑われないように慎重にさり気なく調べるんだよ!」


危ない。姫の考えは!


「…でも、この資料の数ざっと200人はいるわよ?一週間で慎重にじゃ流石に無理じゃないかしら?」


「いやいや、姫。慎重にとは言ったが手荒にとは言ってないんだよ?俺は。」


俺は圓城がよく使うエンジェルスマイルで答える。


「…デ、デビルスマイル⁉︎」


おい!






《2年D組》



彼は普段からまったく物怖じしない性格と万人に好かれる顔と言葉巧みな話術であらゆる面で人気が高い。そのせいで恨みや妬みで何人か、時には何十人に絡まれる所を見たことがあるがまったく焦らず冷静に対応し、次の日には舎弟もしくは信者に早変わりしている。


…だが、今日は違った。相手は二人だけだがこいつらはヤバイ。そう、本能的に悟った。1人は顔をこれからいったい何をするつもりなのかと言いたくなるような悪魔的な笑みでこちらに近づいてきてもう1人はその後ろで哀れな子羊と哀れなアホを見るような目つきでこちらにやってきた。


逃げろ!


そう、情報屋としての直感が警報を鳴らした。





《黒野蒼夜》



「蒼夜君♪教えて欲しいことがあります♪」


教室にやってきていきなり俺の机の前でぶりっ子ポーズを取りながら川がそう言ってきた。


「…川。後ろで姫星が引いているぞ。」


そう言って見たが実際はこのクラスの全員だった。


「教えて欲しいことがあります♪」


…今日の川はおかしい。昨日の件が尾を引いてるのか?いや、ここに来たということは吹っ切ったということだろう。


だが、おれには川の状況が絶対に失ってはいけないモノを捨ててるように見えるのは気のせいか?


「…なんだ。」


「知っている事を全てよこせ!」


…捨てていた。常識とか色々。



「…例の件か?」


「調べてんだろ?この資料の学生の事件時のアリバイをさ。」


…なんで川が知っているんだ?


「悪いが俺は圓城からこの件には協力するなと言われているんだ。だから、残念ながら調べてない。」


「嘘。」


チッ!しまった。こいつがいたか。


川の後ろから栗色の髪の少年が口を出す。


「残念だけど、わた、僕を騙すのは無理ですよ?」


姫星織彦、嘘を見抜く二重人格者か。


厄介だな。…だが、こいつには喋らなければ判断出来なかったはず。だったら無視していればーー


「蒼夜、お前が圓城と付き合ってるって噂は本当?」


ーー無視出来ない⁉︎


クラスがざわめき立ち俺と川の話に群がっていく。だが、


「実は圓城が部室でキスしてたらしいんだ。…誰かと。」


それをまったく気にせず川は話を進める。クラスはまたもざわめき立ち、さらなるうわさが広がっていく。…馬鹿なのかこいつは⁈何故この場でこんな嘘をつく!


「俺は圓城とそんな事してないし、そんな奴がいるなんて聞いたこともない。…でも、知ってる可能性のある奴を1人知ってるんだ。」


「……。」


「さっきと同じ事を聞くぞ?」


…川が何を考えているかわからない。いったい俺に何を言わせる気だ?


俺は息をのむ。




「…蒼夜、持ってるんだろ?資料の学生の事件時のアリバイをさ。」


「そこでそっちに戻るのかよ⁈」


何がしたいんだ川は⁉︎何のための圓城のキス話だよ⁉︎


「?何を言ってるんだ?俺はずっとこの話しかしてないじゃないか?教室に入ってずっと圓城のキス事件の事(・・・・・・・・・)についてしか。…なぁ、みんな。」


クラスが川の言葉に頷く。


クラスの反応を見て。そして、俺はやっと意味に気付いた。


…やられた。川の奴、たった嘘ひとつでこのクラスに俺が圓城とキスした相手を知っていると誤解させやがった!


「だから、教えてくれ。嘘をつかずに正直に。知ってるんだろ?資料の学生の事件時のアリバイをさ。」


…クラスを利用して俺から逃げ場を奪い。


「こんな噂があるのに知らないはずないよな?情報屋のお前が。それともなんだ?話せない理由でもあるのか?」


ここで黙ればさらに誤解する。俺が圓城の相手だと(・・・・・・・・・)。…これで無視する事も出来なくなった。


くそっ!この場で資料が別の件と言うのは信用されない。ましてや、圓城のキスした相手なんて今出来た噂を知るはずがない!


…そんな俺が出来ることは、


「…俺は情報屋だ。」


どう周りに思われようと自分の仕事を全うする。


「わかってる。今日は情報屋のお前に頼みに来たんだ。」


そう言って川はまた笑顔を深める。…まるで悪魔だ。


「分かってるのか?…情報には対価が必要だ。」


そう、いくら情報が欲しかろうとそれに見合った物でなければ俺は情報は渡さない。ましてや、嘘で俺を脅して情報を貰えると思ってるのか?何よりこんな噂を広めてお前はどうやってこれを鎮める気なんだ?…間違いなく圓城に殺されるぞ。



「これじゃ駄目か?」


そう言って一枚の写真を渡して来た。



「?…これは⁉︎」


え、圓城と武鳥の…キスシーンだと⁉︎


…合成じゃない。馬鹿な!本当にあったのか⁉︎たしかにこれなら川の嘘を一瞬で消せる。だが、圓城がこんな写真を撮らせるはずかない!


…あの時か⁉︎この情報はかなり使える。これなら噂を消してさらに色々と出来る!…俺は平静を装いながら川に言う。


「…こんなものでいいと思って「嘘。」……。」


川の後ろから栗色の髪が揺れる。くそっ!本当にやりにくい。駆け引きが出来ない。


…はぁ。


俺は仕方なくアリバイのない学生のみの資料を川に渡す。


「…これで20人くらいか。なんとかなるな。サンキュー蒼夜。」


「…川、一応聞くぞ。吹っ切れたのか?」


川は笑顔を消し、また笑顔になる。今度はいつもの馬鹿みたいな。


「あぁ、何も出来ない自分を笑えるくらいにな!」


…ならいいか。馬鹿につける薬はない。


「今日のは貸しだからな。」


「おう!」


そう言うと川と姫星は教室から出て行った。


…頑張れよ。






「ねぇ、蒼夜君?」


「……。」


「結局、誰なの?圓城さんの相手って?」


「……。」



クラスの生徒に囲まれた。これから質問責めに会うだろう。


「さあな。」



…川、俺も頑張る。




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