テスト結果。
このテストで全教科満点をとれたのは全学年合わせてたったの四人だけだった。
一人は生徒会長、時野昴。一人は探偵部部長、圓城陽菜……そして、あと二人は。
〈探偵部〉
「0がいっぱいだ。」
俺はテスト用紙の0と1の素敵な配列を見ながら呟く。
「おい、川。一体何をしたんだ?」
圓城が俺の答案を見て驚き顏で聞いて来た。
「何がだ?」
「何でお前が全教科満点なんだ⁉」
「努力に決まってるだろ?」
言葉とは使いようである。
「そんなわけがあるか!今回のテストは私が学校側に掛け合って一問だけ大学生用の問題をいれているんだ。そう、絶対に解けないように!」
…なんのためにだよ。
「それなのに、お前は!」
何かをこらえるように圓城はプルプルと震えている。
…カンニングしましたとは言えない。
そう、俺たちは隠しカメラと小型の盗聴機を使い見事にカンニングを成功させたのである。
まず、俺たちの机をカメラで見えるようにして、別の場所で待機している卯月のお抱えの人達が俺たちに答えを言い続けるという形だ。…リスニングと漢字は大変だったが教えてくれる人がわかりやすくて助かった。
「圓城、世の中には満点の取り方というのがあってだな。」
「黙れ、川。…まさか、卯月もなのか?」
俺が偉そうに自分の自論を話そうとしたら、一瞬で切り捨てられた。…もう、何もかもばれてるみたいだ。つまり、
「…部員ゲットだぜ!」
「マジで黙れ。」
「…はい。」
相当、きれているみたいだ。
「まずい、このままだとクラスだけでなく部活でも奴と一緒になってしまう。」
圓城は机に肘を置きこれでもかというほど頭を抱えている。…本当に嫌いなのか。
「…よし、川、カンニングを自供して来い。」
「いきなり何を言ってる⁉」
こいつ、俺ごと潰す気か!
「世の中、悪事が許されるとでも思っているのか?」
「いや、お前が言うか⁈」
お前、悪事大好きだろ!
「私は卯月といたくないんだ!ことわざにもあるだろ?〈言うは一時の苦痛、言わぬは永遠の苦痛〉と。」
「…ねぇよ!それにこの場合、言って苦しむの俺で言わないで苦しむのお前じゃん!」
ことわざなのにためにならねぇ!
「なら、選択の余地なしだな。頼む、言え!」
「おかしいだろ⁉何より圓城が卯月と約束したんだろうが?」
「しかし。」
「あえて、無理難題渡してそれをクリアしてきたんだ。流石にそれはないだろ。」
どんな方法にせよあいつが出した結果が全てだ。
「圓城、腹をくくれ!」
「ぐぅ!!」
ちょうどその時、探偵部の扉が開いた。
「陽奈ああああ!!」
そこから卯月の顔がーー
「きゃあ!!」
ーー床にめり込んだ。
「圓城!何をいきなり殴ってんだ⁉」
今、卯月の顔が出た瞬間、ノータイムで圓城が拳を振り抜きやがった。
「いや、ついこれで記憶が無くならないかなと思って。」
「咄嗟の出来事なのに動機がはっきりしすぎだろ!」
「神様、許して下さい。」
「卯月に謝れ!」