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1話お腹黒いんです。

ピピピピピピ!!

静かな朝に俺の睡眠を邪魔するように目覚ましが鳴り響く。

「……朝か。」


時計を見ると時刻は7:00と二度寝しても許される時間だ。頭をもう一度枕の上に置き瞼を閉じる。


「……寝るか。」


 俺の名前は天野川あまの・せん高校2年生だ。と言っても始業式から数日しかたってないので、なりたての雛みたいなもんだ。……少し違うか?

家族は父母姉の4人家族、父はサラリーマンで母は主婦、姉は大学1年生と何処にでもいるいたって普通の家族だ。


「寝るなー!!」


そう家の家庭は普通なんだ。


もう一度目をあけると黒髪の美少女が怒ったように頬を膨らませて立っていた。

「……よう。」


「もう朝だよ!今日から部活勧誘できるんだから遅刻なんてできないよ?」


「わかってるが部屋に入って来るな。」


「大丈夫、家族には了承取ったから。」


「取るなら俺だろ!」


「まあね、でもそんなの今更でしょ?何年の付き合いだと思ってんの。早く起きて学校に行くわよ。下で待ってるから。」


 そう言って下に降りていった。


「……はぁ。」


彼女の名前は圓城陽菜えんじょう・ひな隣に住むいわゆる幼馴染みだ。顔はまだ幼さを残しているがここ1年で少し大人っぽくなった。可愛いと美人の中間といった感じでまぁ、ようするに美少女だ。そのうえ成績優秀、運動神経抜群でクラスの人気者。さらに彼女にしたい人ランキングで1位を取るという完璧超人である。


俺が制服に着替えて下に降りる。


「おはよう。」


「遅いぞ、川。陽菜ちゃんを待たせて悪いだろ。」


父の隆盛りゅうせいが食事をしていた。


「いや、こいつが早すぎるだけだろ。……姉さんはもう学校か?」


「ええ、6:30にはもう出ていったわよ。」


母の加奈子が俺の朝食を準備しながら答える。相変わらず早いな姉さんは、大学生はもっとゆっくりしているもんだと思っていた。台所を見ると圓城が食べ終わった皿を洗っている。……制服の上からエプロンを着ている姿はグッとくる。


「陽菜ちゃんいつも悪いわね。」


「いえ、好きでやってますから。」


「ホントに良いお嫁さんになるよ。……どうだい、家の川のお嫁に来ないかい?」


「ブッ!」


思わず吹きそうになった。何も口に含んでなかったので助かったが、朝から活かしたジョークかましてくれるな父さん!……ありえないから。


圓城のほうは俯きながら何やらもじもじしている。


「…えと、はい。もし川君が良ければですけど。」


俯いていた顔を上げて華のような笑顔を魅せる。


「おー!!やったな川!」


「あらあら。幸せにしないとダメよ。」


「…ご馳走様。」


両親が何やら盛り上がっているが俺は食べ終わった皿を台所に持っていき、学校へ行く準備をして玄関に向かう。


「あ、待って下さい川君!」


洗い物が終わったのか、慌てた様子で玄関にやって来る。正直来てほしくない。


「もう。先に行かないでよ!」


やっぱりついてくるか。まぁ、俺を待っていたんだから当然か。両親はこいつの事を気に入ってるみたいだが俺は苦手だ、こいつといてもろくなことがない。一緒にいれば男から嫉妬と憎悪の視線を感じるし(たまに女子からも)、喧嘩も売られる。それに、


「「いってきます。」」


玄関を出てすぐ圓城の表情が変わる。笑顔であるのは変わりないが、さっきまでの優しさ溢れる感じではなく何処か悪魔のような邪悪な笑みだ。


「川、わかってるな?」


「……何がだ?」


「今日の部活動勧誘だよ。いい駒見つけて引きずり込むぞ!あと、パシリもほしいな。」


こいつは腹黒で性格が超悪い。顔良し頭良しなんだが性格だけそれを帳消しにしてしまうぐらいのマイナスだ。きっとお腹の中に置いてきたんだろ、だって圓城の母親は女神を名乗ってもおかしくないほど優しいから。


「そう思うなら入部条件をもう少し簡単にしろよ。暗号が難しすぎて来るに来れないぞ?」


 去年の部活動勧誘は凄かった。圓城と仲良くなりたいがために運動部でもないのに100人くらい集まったからな。


「馬鹿はいらん。それに、川は来たじゃないか。」

「あれは、暗号じゃなく、お前を探したから見つけられたんだよ。普通に探したら無理だ。」


「ほら、頭の使い方が普通と違うって事じゃないか。……そういうのが欲しいんだよ。」


「……普通でいいだろ。まぁ、あと3人は欲しいがな。」


部員3人なのに忙しすぎる。


「そう!だから今日はしっかり働いてもらうぞ!」


圓城はさらに笑みを深める。


「翼陵高校探偵部のために。」


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