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001 こうして俺は異世界へ
初めての投稿になりますので拙い部分もあるとは思いますが御付き合い頂けたら幸いです
2週間に1話ペースで投稿できたらと思っています
深夜の静寂と、冷たいタイルの上で午前2時。
終らない書類とパソコンのモニターが俺の視界をチカチカと焼いていた。
「……あと、15頭……」
俺は、泥のように重い腕を動かし、ケージの清掃を続けていた。このペットショップ『アニマル・ハピネス』の実態は、名前とは真逆の地獄だ。慢性的な人手不足。店長からの「生き物を扱っている自覚を持て」という呪文のような言葉を盾にした、サービス残業の強制。
ここ数ヶ月、まともに太陽を見た記憶がない。
ふと、足元にいた売れ残りの老犬と目が合った。
「お前も、疲れたよな……」 そう呟こうとした瞬間、心臓が跳ね上がった。
バクン、という暴力的な鼓動。 指先の感覚が急速に消え、視界が急激に狭まっていく。手に持っていた消毒液のスプレーが床に落ち、乾いた音を立てた。
(ああ……これ、マズいな……)
倒れ込む直前、俺が最後に思ったのは、自分の身のことではなかった。明日、この子たちに誰がご飯をあげるんだろう、という、職業病じみた懸念だった。




