表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私を人間界へ連れてって ~ハイディメンションなシンギュラリティ美少女がダンジョンから出てきたら、世界がゲシュタルト崩壊しました~  作者: よっちゃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/48

第6話 コンビニと抹茶味

第6話


 ラーメンを食べ終えた頃には、空はすっかり夜の色に染まっていた。

 時刻は十九時半を少し回ったところ。


「……このあと、どうします?」


 レンがそう尋ねると、少女は少し考えるように夜空を見上げる。


「もう少しだけ、見ていく」


 その一言に、周囲の政府関係者たちが微妙な表情を浮かべた。

 いくら美しいと言っても、見た目はどう見ても未成年。これ以上夜遅くまで連れ回すのは、さすがに気が引ける。


「じゃあ……」


 レンは近くの建物を指差した。


「コンビニ、寄っていきませんか」


「……こんびに?」


「はい。人間界の、だいたい全部が詰まってます」


 一瞬きょとんとした少女は、すぐに楽しそうに微笑んだ。


「うん、行こう」



---


 自動ドアが開く。


 ♪ピーンポーン♪


 その電子音に、少女はぴたりと足を止めた。


「……今のは?」


「入店音です」


 少女は無言のまま、入口を出たり入ったりを数回繰り返した。

 やがて納得したように頷き、店内へと足を踏み入れる。


 ローソニ。

 日本中どこにでもある、ごく普通のコンビニ。


 ――だが。


 棚に並ぶ商品を目にした瞬間、少女の瞳がわずかに見開かれた。


「……いっぱいある」


 弁当。おにぎり。パン。

スイーツ。雑誌。酒。日用品。


「二十四時間、いつでも買えるんです」


 何もかも圧倒されっぱなしだったレンが、少しだけ胸を張る。

 どうやら彼も、この少女の扱いにほんの少し慣れてきたようだった。


「すごい」


 少女はしばらく棚を眺め、やがてスイーツコーナーへ向かう。

 透明なケースに並ぶケーキやプリンを、宝石を見るような目で見つめる。


「これは?」

「抹茶味ロールケーキです」

「じゃあ、これと……これも」


 レンの持つカゴに、商品が次々と入っていく。


 次はおにぎりコーナー。


「おにぎりという、米で作った携帯食です」


「おすすめはシーチキンマヨネーズですが、こちらの梅しそ入りごはんも――」


『梅しそさんは攻めすぎだろ』『いや普通にうまい』『おいどんは焼しゃけハラミ派です』『ほんと可愛いなー』『いや、この子ダンジョンマスターを顎で使う子だからね? 』


 少女は梅しそ入りごはんを手に取り、少しだけ考えるような表情をしたあと、そっとカゴに入れた。


「これは……爺やに」


 さらに、からあげさんの前で立ち止まる。


「……これは? すごくいい匂い」

「人気商品です。外国の方にも評判いいですよ」

「じゃあ、これも」


 完全に買い物を楽しんでいた。



---


 雑誌コーナー。


 少女は一冊の旅行雑誌を手に取り、ページをめくる。


 ――次の瞬間。


 めくる速度が、異常だった。


 レンが声をかける前に、彼女は雑誌をカゴに入れ、次の一冊へ。

 女性ファッション誌、そして週刊少年ジャンピング。


 途中、クスッと小さく笑う。


『ジャンピン読むんだ』『あの速度で理解してるのか』『危ない本は回収しろ』『そっちのコーナーはヤバい』


 黒子のように控えていた上級ハンターが、問題がありそうな成人向け雑誌を無言で回収し、店外へ消えていった。



―――


 レジ前。


 カウンターには、山盛りの商品。


「……以上で、7280円になります」


 店員の声は、わずかに震えていた。

 無理もない。銀髪の美少女は、今や世界的配信の中心人物だ。


 少女は少し考えたあと――手を差し出した。


 掌の上にあったのは、淡く緑色に輝く結晶。


 内部で、何かが回転している。


 空気が、歪んだ。


「……これで足りる? 」

「そ、それは……?」

「世界樹の結晶」


 それひとつで、A級モンスターの魔石数十個分。

 天空の城の核になるとも言われる代物。


『出しちゃダメなやつ』 『国家間で奪い合いの戦争が起きる』 『店員さん逃げてー』


 即座に政府関係者が割って入り、支払いを代行した。



―――


 店を出ると、夜空に――それはあった。


 静かに、圧倒的に。


 空中に浮かぶ、黒い門。

 まるで最初からそこに存在していたかのように。


 そして、そこから優雅な馬車が現れる。

 一見普通の馬だが、明らかに格が違う。


『馬の方がやばい』 『S級超えてない?』 『馬車がラスボス』 『戦闘が始まるの?』


 御者席には、執事風の老人。

 その佇まいからも、理の外側にいる規格外の気配が滲み出ていた。


「お迎えに参りました、お嬢様。本日だけは、この爺めと共にお戻りください」


「帰りたくない」

「明日もございますれば」

「……仕方ない」


 少女はコンビニ袋から、梅しそ入りごはんをひとつ取り出した。


「これ、じいにお土産」


 執事は一瞬目を見開き、深く頭を下げる。

そして恭しくそのおにぎりとコンビニ袋を受け取る。


「……ありがたき幸せ」


 少女はレンを振り返る。


「今日はここまでね。明日、また遊ぼうね」


 群衆と配信ドローンに向け、優雅なカーテシー。


「それでは皆さま、ご機嫌よう」


――

 門が閉じ、夜が戻る。


 レンは、深く息を吐いた。


 ――こうして。


 超越的美少女の人間界漫遊は、

 まだ、始まったばかりだった。



コンビニの良さがイマイチ描けませんでした。

いつか書き直したいです。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

もし少しでも面白いと感じていただけたら、

ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ