表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝1万PV】私を人間界へ連れてって ~シンギュラリティな美少女  作者: よっちゃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/50

第20話 RPGと勇者パーティー

第20話―――異世界編③



 地球人召喚で、建設系のスキルを持つ者たちが次々と呼び出され、獣人国の王都の復興は驚くほど順調に進んでいった。


 壁は一瞬で組み上がり、崩れ落ちていた塔も次々と再建される。

 瓦礫に覆われていた街に、再び生活の匂いが戻っていく。


 ――とはいえ、かかった時間はほんの二時間弱だった。


 一方、王都が元の姿を取り戻すころ、郊外には巨大な建物や不思議な店がいくつも出現していた。


 スズキさんのスキル《イオニモール召喚》。

 ヤマダさんのコンビニ召喚スキル《ローソニ》。

 ダイチさんのスキル《ヤマシタ電気召喚》。


 初めて見る異世界の品々に、貴族も王も庶民も関係なく、エルフもドワーフも獣人も人間も、皆が心を躍らせていた。


 そこには、生きることの喜びが確かにあった。


 ――だが、ひとつだけ大きな問題が残っていた。


 それが食料問題だった。


 農業系スキルを持つ者たちが畑に立つが、

 土はまるで応えない。



 ―――


「星の力が……ほとんど残っていません」


 ほぼ修復された王城の一室で、サマンサが悔しそうに言った。


「星の精霊が、死にかけているのです」


 ハイエルフが苦痛の表情で続ける。

 かつてサマンサが語った「邪神を倒しても滅びは免れない」という言葉の意味が、ようやく皆に理解された。


「何か、方法はないものか……」


 人間の王が頭を抱える。


「当初は手を貸すつもりはありませんでしたが……」


 そう言ってメイドは、コンビニで買ってきた抹茶味ロールケーキを皿に盛り、お嬢様の前へ配膳した。


「お嬢様が、この星をお気に召されておりますゆえ」


 メイドはそう言うと、メイド服の内側から何かを取り出し、それを床に放った。

 王城が、わずかに揺れる。


 次の瞬間、床の中から――星の精霊が姿を現した。

 見た目は、完全に衰弱した老人のようだった。


「……うう? どこじゃここは?

 ワシはもう力が出ぬ……ハイエルフ? 人間?

 そして……な、なんと!?」


「貴女様は――!」


 星の精霊は少女を見るなり、驚愕し、禿げ上がった頭を床にこすりつける。


 少女は、精霊に優しく微笑みかけ、手を差し出した。


「精霊さんも、これを召し上がって?」

「こうすると、美味しくなるのよ」


 そう言って少女は、抹茶味ロールケーキに、

 メイドカフェで教わった――「おいしくなーれ」をかける。


「おお……麗しきレディー……では、ありがたく。

 しかしワシは歯がなくてですな……どれ、もぐもぐ……」


「かあああああああああっ!!!!!」


 突如、星の精霊の体が金色に輝き出す。

 禿げていたはずの頭髪が逆立ち、大地が震え、空気が一変した。


 光が収まった時、そこに立っていたのは――


 筋骨隆々の老人だった。


 精霊は筋肉を震わせ、満面の笑みでポージングを取る。


「ありがとうございます……麗しきレディー。

 これで、この星は――二十四時間、十億年は戦えますぞ」


 土は蘇り、作物は芽吹く。

 この星に、再び生命が満ち溢れた。


 ―――


 星の精霊は、ひとつの真実を告げた。


「邪神の城は異空間にあります。

 そこへ行くには、四天王すべてを倒し、鍵を集めねばなりません」


 土呂野勇者は、静かに剣を握った。


「……行こう」


 ―――


 だが、戦いは思ったよりもあっけなく終わった。

 転移系スキルを持つムラヤマたちによって、一瞬で現地へ到達。


 数多の罠を張り巡らせた難攻不落の四天王の一人――

 ダグラマスの居城は、

 ヤスダダイキくん(7歳)の

 《ちょうめつきょくだいせんめつまほう・あばどん》によって、

 城の外から一方的に攻撃され、廃墟と化した。


 他の四天王も、地球人、土呂野勇者、レンによって次々と討ち取られる。



 すべて順調に進むかに思えた――が。

 肝心の「鍵」が、どこにもなかった。


「愚かなり、人間どもよ……

 鍵は……ここにはない。

 この地にある、火・水・土・風、四つのダンジョンの最深部に……隠されている」


 まるで()()()()()()()次の目的地を告げ、四天王は息絶えた。


 ―――


「邪神の居城は異空間。

 さすがに、私の転移では届きません」

「火のダンジョンは死の大地にある」

「戦力を分け同時に攻略を」

「水のダンジョンは海の底、一体どうやって」


 王城の会議室で話し合いが続く中――



「お嬢様、お迎えに上がりました」


 どこからともなく、執事が現れた。


 そして一通り事情を聞いた執事は、穏やかに微笑む。


「そのような攻略は時間がかかります。

 もう夕方ですし、お父様もご心配なさいます」


「よい案がございます。

 皆様、あちらに見える闘技場へ参りましょう」


 一行は、言われるがまま修復された闘技場へと移動した。


 ―――


 三分後。


 闘技場の中央に――


 白く整った顔立ちと、神像のように均整の取れた体躯。その影は不自然に揺らぎ、瞳の奥には底知れぬ悪意が渦巻いている。


 神そのもの、(よこしま)なる神、それが邪神。


 その邪神が、執事によって引きずり出されていた。


「ほ、本当に……貴殿は手を出さないのでありますな?」


 邪神は、重要な取引先の社長に接するかのような態度で、恐る恐る確認する。


「ええ。

 お嬢様は最近、アニメ『ヴァルキレアポカリポス』をご覧になりましてね。

 神と人間による闘技場でのバトルに、ご興味をお持ちのご様子なのです」


「ここで、邪神の貴方と、この星の精鋭が戦うという催しを開催しようと、お嬢様のために愚考しましてね」


「邪神殿、もし貴方が勝てばこの星に関して我々は干渉しないと()()しましょう。御館様もご覧のご様子」


「恐れ入ります。そう約束していただけるなら、こちらとしても助かります」



―――あまりの怒涛(どとう)の急展開に全員が唖然として声も出せない。



―――


 急遽決まった邪神 VS 人類の戦い。


 既に四天王を失っている邪神からの強い要望で、地球人召喚は、()()()()()()()だという事で無しとされ た。


 なお、この戦いの様子はパワーアップした配信ドローンによって、地球はもちろん、この星の各地の上空に現れた謎のスクリーンによっても中継される。


  ―――


 1時間後


闘技場には、配信ドローンの転移魔法によって、地球から、この星の各地から、溢れんばかりの観客が詰めかけていた。


 屋台も出ており、たこ焼き、焼きそばや、飲み物等が売られ、完全にお祭りの雰囲気。


「赤コーナー、数々の星を喰らってきた――星喰い――の異名を持つ悪しき邪神―――ポカポリイイティアスウウ!!!


星を終わらせる、まさに究極の悪、そして全生物の敵。


こいつに勝てるやつは、果たして存在するのかああ!」


――マイクを持った、プロレスリングアナウンサー兼実況の、ヤマシタさんが声を張り上げる。


「続きまして青コーナー、かつて破壊神シドなんとかを倒した伝説のパーティーが復活したぞ!


地球に転生し、生まれ変わった元勇者、土呂野ヨシヒトこと土呂野勇者(とろのゆうしゃ)


そしてえええ、()()()()、記憶から蘇生され、再び勇者と共に戦うのは、

 ―――戦士ダレン、魔法使いニーシャ!そして僧侶サマンサああ! 」


最後に、地球からの助っ人として、ダンジョンハンター、レンが共に邪神に挑む!」



『やれやれー』『邪神なんて()()()()()やれ』 『ぼくもあばどんしたかったなー』『おお、あれは伝説の勇者様とそのパーティーメンバー』『おお、神よ』 『オロカナリ、ジャシンサマガマケルハズナドナイ』 『やべえポテチがもう無い』 『人間が邪神に勝てるのか? 』


地球、そしてこの星の全てに生中継される戦い。



全世界が興奮の渦中にあった。


―――


「ニーシャさん、ダレン!まさか、まだ信じられない。私、ああ…こんな日が来るなんて…」


サマンサは泣き腫らした笑顔で、かつての仲間に声をかける。


「元気だった?サマンサ、もう泣きやんでよ。ってかさ、なんであんた()()()()なの?私たちが死んでから二十五年経ってるんでしょ? 」


「さっきメイドの方が来て、みんなと歳が離れてるとバランスが悪いだろうからって、()()()()()()()()んです」


「よくわからんが、俺らが死んでる間、色々あったみたいだな、勇者も転生とか、なんだそれ? 」


「みんな、またよろしく頼むぞ、レン君も力を貸してくれ」


「へえ、キミ、レン君って言うのね、可愛い顔してるじゃない」


「もう、ニーシャさんの男好きは、相変わらずですね!」


「まーねー、死んでも治らなかったみたい、ま、生き返っちゃったけどさ」


「はは、皆さんよろしくお願いします」


「よし、みんな勝とう!」



またみんなと戦える。


今度は守られるだけじゃない。


サマンサは指で涙を拭い、戦いの構えをとる。



そして、戦いのゴングが鳴る。


 

人類の命運をかけた戦いが始まった。




 ―――もう1話だけ続く




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 もし少しでも面白いと感じていただけたら、 ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ