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第1章 25節 「プラハの夜」

 庭園に職人の魂が灯り、草木が芝生を照らす。従者たちは思わずここへ集まってしまった。あるいは町に出て友人を集め、人の波の間から奇跡の夜を覗き込む。

 オーストリア人とイタリア人を最前線にして試合が始まった。スペイン対ロシア。

 ヨーロッパの西と東、ラテンとスラブ、太陽と雪、町と畑、海と陸をそれぞれ極める大国がぶつかり合う。

 マラトがボールを受け取って攻めた。

 奪いに迫る兵士からボールを隠し、長い腕で抑えながら横へ移る。急速に突破した。

 次の兵士はパスで背後に回る。連携して敵左翼を最深部を突いた。光速をかかとで止めて一回転し抜き去ってしまう。

 貪欲に脚を蹴り上げた。


 門に弾かれ空中に飛んだ。

 サルナが流れるように奪って抜き去る。

 ほぼ無人となっていた右翼から攻め上がって中央に出る。左側に1人おり右からも圧力をかけられるが、加速と共に肩で押し倒してしまった。敵の拠点は無防備だ。

 ドリブルのまま門を通過し、振り返って腰に手を当てる。

 「貧弱だな。スペインの小僧ども」

 小走りでボールを置いてやり、ポジションにつく。

 マラトは後ろに構えた。

 キックオフと共に助走をつける。


 門の最上部に当たった。

 だがこれが狙いだ。マラトはそのまま突撃して跳ね上がる。

 前転を広げ、体を左に倒した。

 「ファイアー、トルネード!」


 そんなシュートは存在しなかった。

 愚かなことだ。浅ましく、設定に無理がある。廃部になってグラウンドに重機入れられてしかも速攻でスポンサーつくとかとんだ金ジャブ世界ではないか。この世界の人間が何をモチベーションに生きているのか分からないが、私が言及したいのは作品そのものではなくこういった風潮についてです。妖怪ウォッチを生み出しぶち壊したレベルファイブに代表される諸々の企業、いやディズニーに代表される諸々の企業は浅はかなコンテンツを、つまり作品を見ていく中で読者は何らの興奮も感動も覚えず、人間として成長しないままエンドロールとなるコンテンツを、音楽と演出だけが幻覚をもたらして依存させるコンテンツを栽培し、よってネットの無料プラットフォーム、例えば私が投稿しあなたがたが読んでいるなろうなどのプラットフォームの肥大化と依存性を強力に補助してしまいました。なろうのほとんどの作品には「読解」という概念がありません。これはイナズマイレブンを何の批判もなしに視聴させ、学校に重機が入ったりバカなスポンサーがついたりすることに対する違和感と演出の押しつけがましさに対する嫌悪感を覚えられない風潮が醸成されてしまったからです。もちろんなろうにも、書店で本を手に取る健全な読者様がいることは承知です。私はあなたがたがそうであると信じていますし、だってそうじゃなかったら私の思想を批判もなしに批判してブラウザバックしてますからね、あなたがたのような読者を集めて数字を稼ぎたいと考えております。もはやコンテンツ企業は依存性を優先し、売れたコンテンツ、名のあるコンテンツ、リベラル的なコンテンツを擦るのみの、人工知能で代用可能な魂のない作業を繰り返しており、新しい作家が成功するにはリベラルを押し出すか、無料プラットフォームで成功するしかないのです。そこでお願いがございます。もし、私の作品が浅はかでなく、気に入ってくださったのなら、ご友人に宣伝したり、評価をつけたり、レビューを書いたりしていただきたいのです。それでは私はこの辺で失礼いたします。

 3

 2

 1


 マラトとサルナは空中戦になったがサルナがこれを制した。横に加速して外側から攻め込む。

 別の兵士が構えているところをフェイントでかわし更に外へ逃げる。エリアギリギリをドリブルして中へ向かう。次の防御は急停止し、横向きに払う股抜きの浮かせ球で抜き去る。マラトが迫ってくるが背中から突撃し、ボールからガードする。いいパスの相手も見当たらず、小競り合いが続いた。

 マラトは、油断した。

 フェイントへの反応が遅れて右に抜かれる。そのまま強く蹴られ、門に入ってしまった。

 残り時間は僅かであり、ロシアの勝利がほぼ確定する。

 キックオフするがサルナの遅滞戦術にはめられ、2対0で試合終了。スペインは敗北した。

 未だ沸き立つ観客を何とか通り抜け、選手たちは城の中に戻る。

 マラトとサルナは廊下を歩いていた。

 「また負けた。これで何回目かな」

 「3じゃないか? 私もよく分からん」

 保安官は少し顔を前のめる。

 「あのさ、明日ってどうするの」

 「ロシアに帰る。が、ポーランドを通らなければならない。農民に襲われるかもしれんから、迎えが来るまでは待っている」

 「プラハにはいつまで」

 「明日の昼には迎えが来るだろう」

 「じゃあすぐ帰るじゃん」

 マラトは後頭部に両手を回したが、笑う。

 「これでお別れだね」

 「ああ。2度と戦わぬよう祈っておこう」

 「嬉しいような悲しいような」

 そうして外に出てしまい、サルナはウサギたちを昇らせた。一番乗りを両腕で抱き、肩、頭にも乗せる。

 「おお、すごい仲いい」

 これを見納めにマラトもサラセタに乗る。サルナは少し自慢げだった。

 「じゃあな」

 「うん」

 これが最後の言葉となった。


 宿の個室に入り、ベッドで大の字になる。横のろうそくの灯りが、うるさいが消したくなかった。

 天井に穴が空く。

 「うわっ」

 「お前は世話が焼けるな、もう」

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