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しいな ここみ様主催企画参加作品

宇宙人


宇宙ステーションのシャトル乗り場に通じる通路の窓から、惑星を覆う青い海を見下ろす。


成層圏にも対流圏にも遮る物は1つも無く大海原が広がっている。


大海原には陸地は見えず海の上に造られた巨大な海上都市があるだけで、陸地どころか島1つ見えない。


海上都市以外に見えるのは大海原を航行している大小の帆船が見えるだけ。


此れから私たちはシャトルであの海の上に浮かぶ海上都市に行ってバカンスを楽しむのだ。


眼下に見える水の惑星は地球。


人類は地球温暖化を食い止める事に失敗する。


温暖化により地球上の氷や氷河は全て溶けた。


溶けた水によって海面は上昇、人々の大半は内陸部に追い立てられ、日々の糧を海や川などで得ていた人たちは海上に住処を移す。


各国政府のうち宇宙開発を進めていた国々は月や火星に基地を造り、宇宙を新たな住処にしようと計画する。


全ての氷が溶けた後も地球温暖化による気温の上昇は止まらず、海や湖の水は温められ水温はどんどん高まって行った。


そんな時、太陽のさらなる果ての方角から膨大な数の隕石が飛来する。


その隕石は全て氷で覆われていた。


多数の隕石は太陽、水星、金星、地球、火星に突入する。


太陽、水星、金星に突入した隕石は落下する前に全て蒸発、火星に落下した隕石は落下する途中の摩擦熱によって氷が溶け、不毛の大地が広がっていた火星の表面に海が構築された。


地球に落下した隕石も氷が溶け海に溶け込み海面を上昇させ、世界最高峰のチョモランマさえ海面下になる。


1週間程降り注いだ隕石群により人類の大半は溺死。


宇宙にいた人たちを除き、生き残ったのは海上に住処を移していた人々と、その人たちに救助された極僅かな者たちだけだった。


だがその反面、増えた水によってどんどん高まっていた水温や気温が冷まされ地球温暖化がストップする。


「オイ! 早く来いよ、シャトルの搭乗が始まったぞ」


友人の声で目を友人の方へ向ける。


一緒にバカンスを楽しむ友人たちが私を手招きしていた。


「スマン、青い大海原に見とれていた」


友人たちに駆け寄りながら詫びる。


「見とれちゃうよね、でも、海上都市から見える海も空も素敵だって聞くよ」


「早くシャトルに乗って行こうよ」


「オイオイ、シャトルに乗ったからって直ぐ出発する訳じゃ無いんだぞ」


口々に言い合いながら私たちは海上都市行きのシャトルに向けて歩む。


隕石が地球に落下してから約1万年の年月が経っていた。


地球は海上に住処を移した人たちによって整備され海上都市が造られる。


地球温暖化が始まる前の青い海と空を取り戻した地球は今、宇宙を住処と定めた私たち宇宙人に憩いの場を提供してくれているのだった。






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― 新着の感想 ―
宇宙に定住するのって、大型トラックの中で暮らすようなもん? おうちが恋しいよ……
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