表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界スタンド 連載版  作者: 汐琉
第一章
9/11

本日2話目投稿なのでご注意を。


前話に1話目だと書き忘れたっす(;´∀`)



「確か説明書があるとか書いてあったような?」

 もともとレジの使用方法などの説明書が置かれていた場所には、確かに見慣れない冊子が増えている。



 とても分厚いので、あるのは確認出来たので、とりあえず読んでみるのは後回しにする事にする。


 僕は取扱説明書は読まずに〜以下略だ。


 それにリアムさんにポーションぶっかけた時にわかったけれど、基本的なレジの使い方は変わってない。

 パスワードを入力してレジを開けたら、見た事がない硬貨がゴロゴロ入っていて、見なかったフリをしてそっと閉めたりもしたが。

 たぶんお釣り用のお金が変化したんだろう。

 色々驚いた後なので、もうあまり驚きは無かった。

 どうせ帰れないのだから、変わっちゃったお金の補填は? とか悩まなくても良いし。

 それより、商品の発注の確認だ。

 ポーションを含めた各種商品という表現だったのは、謎の聖水も発注出来るという意味だろう。

 商品として発注出来る聖水って……と若干引っかかりを覚えるが、僕はこの世界の宗教を知らないので、今は気にしないでおこう。

 神罰的なのがあるとしたら、落とされるのはたぶんこのスタンドをこういう風にしたメールの主だろうし。



「…………本当に、何処かの大魔法使いなのかもな」



 異なる世界の地球にまで影響を及ぼして、こんな大きな建物を転移させるなんて、こちらの常識はわからないがたぶん相当なチートだろうとは思う。

 ついでに誘拐してしまった感じになる僕に負い目があるのか友好的なのはせめてもの幸いか。

「……というか、僕がここの店主って事になるのか? 赤字になって潰れたりしたらどうなるんだろ」

 まぁ最悪の場合、とんでもない効果っぽいポーションを売り込めば、何とかなる……のか?

 仕入れ値にもよるのか、と絶対一スタッフが持つ悩みじゃない悩みを抱きながら、僕は商品発注のアイコンをタップする。

 画面レイアウトとかは変わっているが、発注方法は変わらないようだ。



「って、ここも文字化けしてるし」



 文字化けしてしまっている発注先を見つけて力無く突っ込んでしまった僕だったが、そもそも頼む物が変わっているんだから仕方ないのかと思い直して操作を続ける。

 先ほど見た地下タンクの残量からすると、しばらく燃料ポーションの発注はいらないだろう。

 聖水に関しては…………出なくなったら考えよう。たくさんと表されているからには、無限に近いのかもしれない。

 何せここは、リアルな魔法の存在するファンタジー世界だ。

 そして、どれだけ考えても僕には答えは出せないのだから、考えるだけ無駄だろう。



 気を取り直して思い出したのは、レジで発注出来るもう一つの液体系の商品であるオイルだ。

 確認してみると、こちらも頼めるようだが……。


「普通のオイルが来たら、逆に困るか」


 このスタンドの立地的に、車のエンジンに使う用のオイルより草刈機の燃料である混合油に使う(ツー)サイクルオイルの方が売れるので、そちらを多く在庫してあるのだが……。

 もしかしたら、そちらにも何らかの変化が起きてるかもしれない。

 発注するとしたら、それを確認してからでも遅くない。

 オイル類の在庫は裏の倉庫に置いてあるので、後で確かめてみようと思いながら画面へ目を戻して、オイル発注の画面を閉じようとする。

 そこで僕はもう一つ発注の項目がある事に気付く。


「物品……? あれ? 物品とかは業者さんに直接電話発注だよな?」


 稀に僕が発注する事もあったので電話発注なのは間違いない。

 担当さんは気の良いおじさんで、配送に来てオーナーのおじいさんと話し込んでる事も多かった。

 僕ともにこやかに話してくれるコミュ力高めな、見た目もいかにも営業するために生まれてきました! みたいな人なんだけど……。

 って、今はおじさんの思い出は必要ないから、物品発注の方だな。

 スーパーやコンビニのように大量の商品を扱うならともかく、ここはガソリンスタンドで。

 毎回ほぼ決まった品を仕入れていたから電話発注で特に苦になる事は無かったから、レジでの発注システムなんていらないんだけど……。


 でも、物品が仕入れられるなら、僕が生活するのも楽になるか。

 少なくとも食料品の残りを心配しなくても良くなりそうなのは大きい。

 トイレットペーパーとかはストックあるけど、それにも限りはあるし。


「商品も異世界仕様になってたり……」


 まさかねと苦笑いしながらタップした画面が映し出した物品発注画面を見た僕は、目を見張って本日何度目になるかわからないフリーズ状態に陥る。


 結論から言うと、商品自体に変化は起きていなかった。

 そういえばと思い出したのはサービスルーム内の棚に並んでいる商品で。そちらには変化が起きていなかったなと、頭の隅で納得する。


「…………そんな事は何処か遠くへ置いといて、問題は、絶対こっちだよなぁ」


 頭を抱える僕の目に映る主張強めな物品発注画面。



 それはまるで、


「これじゃ、ネットスーパーだって……」


と思わず呟いてしまうぐらいの品揃えとなっていた。

 並んでいる商品にはきちんと写真までついてるので、本当にネットスーパーの画面を見ているようだ。


 どうやら物品系の転移による変化は品揃えが良くなるというもの…………なのかなぁ、これ。

 自分で立てた仮説に自分で突っ込み、僕は首を傾げてしまう。

 もしかしたらだけど、休憩室内に増えた宿泊室と同じで、僕が生活するための配慮も含んでいるのかもしれない。




 お前なんか知らねぇよ、とか言うタイプの相手じゃなくて良かったと思う事にしよう。




「あ……、でも、どうやって商品は届くんだろう? 液体系も物品系も」




 深く考える事を放棄して、わーい嬉しいなぁで流そうとした僕だったが、ふと疑問を覚えてしまい、ひとまず先ほど売れたカロリー補給出来るブロックのあれを発注してみる。

 頼む数は物価とかわからないので、とりあえず銀貨一枚分にして、ポチッと発注確認というアイコンをタップする。


『上記の条件で発注します。よろしいですか?』


 ちゃんと最終確認をしてくれる親切仕様なのは助かる。


 僕はもちろん『はい』の方をタップする。


「これでどうやって来るのか、少し楽しみかも」


 これでいつものおじさんが来たら腰抜かしちゃうなぁ、とかくだらない事を考えていると、サービスルームの床が光りだす。


「へ?」


 これはヤバいやつではと休憩室の中へ逃げ込もうとノブを掴んだところで、光の中に人影が見える。

 まさか本当にあのおじさんが? と仰天する僕の前に光の中から現れたのは、きちっとスーツを着込んだくすんだ金色の髪に碧眼のイケオジさんだ。

 ぴしっとした立ち姿も格好良く呆然としながらも見惚れていると、僕を見たイケオジさんがにこりと営業スマイルを浮かべる。

 なんだろう笑顔のなのに底が見えない、少し怖気立つ雰囲気のある人だ。



 いい人そうではあるんだけど。



 光が消えて残ったのはイケオジさんだけだ。

 よく見るとその手にはみかん箱ぐらいの段ボールを抱えている。

 この流れからすると、イケオジさんが抱えている段ボールの中身は、僕が頼んだ商品が入ってるんだろう。



「はじめまして、紺様。ご注文の品のお届けに参りました。わたくしは、セオドアと申します。お気軽にセオドアとお呼びください」



 無遠慮に見てしまっていた僕に気分を害した様子もなく、イケオジさん改めセオドアさんは丁寧な挨拶の後、お手本のような綺麗なお辞儀をしてくれたのだった。



 これが僕と、謎の配達担当セオドアさんとの出会いだった。

いつもありがとうございますm(_ _)m


第一章、そろそろ終わりです。


第一章はどうしても説明多めなので、あまり面白くないかなと心配しながら書いてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ