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異世界スタンド 連載版  作者: 汐琉
第一章
1/11

ちまちまと試作してみました。

とりあえず第一章部分を書き終えたので、3話ずつ投稿していこうと思います。


話の流れ的に設定系の話が多めですm(_ _)m


本日1話目。

 僕の名前は今野紺(こんのこん)

 先日、高校を卒業。年齢は今の法律上では成人だ。

 お酒や煙草は、まだたしなめないけど。


 ちなみに駄洒落みたいな僕の名前だが、本名なんだよな、これが。



 両親は出生届を提出する前に、ほんの少し冷静になって欲しかった。

 幸いにも僕の名前程度なら、キラッキラな個性溢れる名前の同級生達に紛れてしまえば目立たず、たまにからかわれる程度で済んだのだけど。

 もちろんだからといって毒親な訳ではなく両親から愛されて育ったが……両親は少し変わっている所もあった。

 旅好きが過ぎて、僕の高校卒業を待って揃って早期退職し、二人でキャンピングカーに乗って旅へ出てしまった。

 出発前、生前贈与として実家とそこそこのお金を貰った僕は、就職か進学か悩んだ後、たまたま仲良くなったおじいさんがやっているという個人経営のガソリンスタンドで働く事にした。

 こうして迷っている間もお金はかかるし、稼いでおいて悪い事はないからと考えたのだ。



 あと正直、家で一人過ごす時間が寂しかった。



 両親は月一で電話をくれるし、メールも手紙も届くけれど、寂しいものは寂しいのだ。




 おじいさんがオーナーをしているガソリンスタンドは、高齢者ばかりが住む山間にあり、来るお客さんはほとんど決まった人ばかり。

 一ヶ月も経てばほぼ全員顔見知りとなってしまっていた。

 ちなみに店員は僕一人。たまたま高校時代好奇心で危険物取扱者免許の丙種を取っていたのが役に立った。

 トイレに行く際などは札をかけ、待ってもらうというのんびりしたスタイルだ。

 昼ご飯はどうするかといえば、サービスルーム内のテーブルで外を見ながら食べている。

 どちらも都会でやったら即クレーム案件だろう。

 店員が僕一人なので、僕が用事がある際は休み。どうしてもと開けてくれと言われたら、おじいさんが短時間だけ開けているらしい。

 おじいさんはガソリンスタンドをやるにあたって、危険物取扱者免許の乙種四類──乙四を取っているので何の問題もない。

 たまに「体を動かないとな」と一緒にスタンド店員をしてくれる時もあるが、偉ぶらない良い人だ。

 あと料理が趣味みたいで、僕も度々ごちそうになった。

 それを目当てでお茶飲みに来るお客さんがいるぐらいどれも美味しかった。

 僕も自炊をしてお弁当を作ったりしてたので、おじいさんの手際の良さには憧れてしまう。



 そんな儲けはあるのか心配になるガソリンスタンドには、サービスルーム内に自動販売機があるのだが、それ以外にガソリンスタンドには不似合いな日用品や保存の効く食料品などが置かれている。

 もう何でもありだ。

 大きなガソリンスタンドとは違って、車を整備するスペース、いわゆるピットは無いのでオイル交換やタイヤ交換はしていない。

 お客さんを待たせるためにあるはずのサービスルームは無くても良い気はする。

 ま、そもそも、僕はどちらも出来ないけれど。



 そんな無くても良さそうなサービスルームは、僕がお昼を食べるため使ってる他、たまに来るお客さんの茶飲み場と化している。

 給油じゃなく日用品などの買い物だけに来るお客さんもいる。で、自動販売機で飲み物を買って、僕と話すのを楽しみに来てくれたりしている。



 そんな僕の基本的な仕事は、お客さんが来たらサービスルーム内にあるレジを操作して計量機を起動。

 そして、車や容器へ油を入れる。で、お金を受け取って終了だ。

 中の雑貨品などが売れた場合も、同じような流れで進む。



 忙しくはないが、充実した毎日を過ごしていた僕に、とんでもない転機が降って湧いたのはガソリンスタンド勤めに慣れ始めたある日の事。




 いつも通り自転車で出勤した僕は、サービスルームの奥にある事務室の扉を開けて、背負っていたリュックサックを置いて、制服へと着替える。

 休憩室も兼ねているこの部屋にも鍵のかかるようなロッカーは無いが、こんな辺鄙な所に泥棒は出ないし、必要は無いだろうな。

 

 まずは朝のルーティンとして、トイレの掃除をしていく。

 田舎の寂れたガソリンスタンドながら建物自体は新しく、トイレなどの設備も綺麗だ。

 他はどうか知らないがここは小さな店舗なので、トイレは男女兼用で洋式便器のトイレが一つ。

 手洗い場には鏡があり、目力があるとよく言われる見慣れた顔がこちらを見ている。

 毎日綺麗にしているので、掃除もあっという間に終わってしまう。

 次はサービスルーム内の掃除をと掃除用具を手にトイレを出た僕は、違和感を覚えて足を止める。

 見渡したサービスルームの風景はいつも通りのはずなのだが、なにか微妙に違う気がする。

 少し前に流行った異変を見つけるゲームみたいに異変でも起きてるのかと冗談交じりにそんな事を考えながら、もう一度ぐるりと室内を見渡して──気付いてしまった。

 正面がガラス張りになっているサービスルームの中からは、もちろん外の風景が丸見えな訳で。

 いつも通りなら外に広がっている光景は、コンクリート敷きの地面の上にある吹きっ晒しの計量機がぽつんと一つ。

 そこにキャノピーと呼ばれている屋根はない。

 別に、屋根がなくなった! とかいう異変ではなく、もともとこのスタンドに屋根はない。

 現実逃避して視線を横へ向けた僕は、先ほどまで朝のニュースを映し出していたはずのテレビが真っ黒な画面へ変わっているのに気付く。

 なんとなくリモコンに手を伸ばし、チャンネルを変えてみる。



「は?」



 画面に映像は映ったのだが、映し出された光景に思わず驚きから声が洩れる。

 映らなかった訳では無い。

 

 きちん(・・・)と映っている。


 ただし映っているのは、このサービスルームの前辺りから見えているであろう風景で。


「監視カメラなんて無いよな……?」


 思わず声に出して呟いたが答えなんてある訳もない。

 現実逃避している場合じゃないと、僕は気合を入れ直してテレビ画面の映像と同じである外の風景へと目をやる。



 計量機はいつも通り。綺麗にコンクリートが敷かれた地面も変わらない。

 問題はスタンドの敷地外に起きている。


 きっちりコンクリートが敷かれているのはスタンドの敷地内のみで、その周囲は剥き出しの土を見せている。

 両側にも同じく剥き出しの土が壁となって存在していて。

 この時点でかなりはてなマークを飛ばしているのだが、一番の大きな異変は……。


 僕がゆっくりと上へ視線を向けると、そこにはかなりの高さがあり、土で出来ているらしいボコボコした天井が存在する。



 ──そう天井があるのだ。



 当たり前だが、このスタンドは普通に屋外にあり、今日の天気は晴れで。

 トイレ掃除へ行く前には、室内にも春の日差しが降り注いでいて、森の木々も鮮やかな緑色を見せていた。

 そんな風景の中にあったはずのスタンドが、今は何故か周囲を土に囲まれた空間の中にある。

 建物の背後は室内から確認出来ないが、確認出来ている正面の方は壁がなく、奥までずっと道が続いているようだ。



 そもそも、ここが奥なのかもしれないけれど。



 とりあえず、今口に出して言いたい事は一つだけだ。




「なんなんだよ、これ」




 この言葉に尽きる。

いつもありがとうございますm(_ _)m


感想などなど反応ありがとうございます(^^)


もったいない精神で、ちまちまと書き溜めてキリの良い所まで書けたので、本日から1日3話ずつ連続投稿しようかと思いますm(_ _)m


短編の時にも書きましたが、実在の人物や施設には一切関係ありません。私の脳内イメージなガソリンスタンドとなりますのであしからず。


ツッコミどころ満載かもしれませんが、作者は豆腐メンタルなのでツッコミはやんわりと笑い混じりでお願いしますm(_ _)m

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