第三話
午後8時―――白崎家。閃理の自室。
すっかり待ち合わせの時間に遅れてしまった。
今日は会議の日。
ポチっ、とパソコンの電源をつけてマウスでアイコンをダブルクリック。
今クリックしたのは「グランブ」という音声チャットが出来るサイト。
これを使って僕は明宏と連絡を取り合ったり、他愛もない雑談に興じることができた。
今日も明宏から誘いを受けたので、彼のハンドルネーム「ibu1224」にメッセージを送る。
数秒経ってから明宏からの着信。
「うぃっす〜。飯食ったか〜?」
「うん。待ち合わせ時間ちょっと遅れちゃってごめん」
「気にすんなよ♪今日はありがとさん♪」
―susamiさんからメッセージがあります―
「おっ。誰だよこれ。閃理の彼女か〜?」
「そんなわけないよ!…お世話になった人だよ。通話に入れてもいいかな?ラウンズ回線で」
「いいねいいね!ゲスト登場ってことで♪」
―susamiさんが出席されました―
「こんばんわぁ。聴こえてるかな。」
「女の子キター!!」
「こんばんはsusamiさん。あ、ちょっと待っててください。」
閃「これでいいかな?」
ibu「おぉ。喋ったら自分の名前が光ったぜ。」
susami「ibuさんはじめまして。susamiです」
ibu「はじめまして〜。閃理の幼なじみやってます〜。閃理に女友達がいるなんて!隅に置けねぇなぁ♪」
閃「友達っていうか…説明してもいいですよね?」
susami「いいよ〜閃ちゃん。」
ibu「んまっ!『閃ちゃん』だなんて!お二人とも仲がよろしいことで♪」
閃「あー。今のはスルーで。susamiさんは僕の家庭教師をやってくれた人で、それでお世話になったんだよ。」
susami「家庭教師やってた大学二年生でーす☆」
ibu「うーらーやーまーしーぜー。ということは閃理とsusamiさんはリア友ってことか。閃理…ちゃんと男になってたんだな…。」
閃「なにその『男になった』って」
susami「ふふっ。二人の漫才みたいな会話面白い。このibu君が閃ちゃんの部屋に飾ってあった写真に写ってた子なの?」
閃「そうですよ〜」
ibu「えっ。俺顔割られてんの!?ってか写真っていつのやつだよ!!」
閃「小学一年生…かな」
ibu「ショックトゥーザショぉぉぉぉぉック!!」
susami「二人とも面白いね。」
ibu「ちっくしょー。こんな美声で綺麗な御姉様に鼻垂れ小学生時代の写真を見られるとはな…。」
閃「綺麗って。顔見たの?」
ibu「黙らっしゃい!」
susami「ふふ…。私綺麗でも美声でもないよ?」
ibu「いーや。俺の直感が反応してますよ!美声=綺麗だと!」
閃「頼りなさそうな直感だ…」
ibu「どっちかっていったらセクシー系な沢城みゆきさん声?」
閃「誰それ?」
susami「それじゃあ近いうちにibu君の予想を壊しに行きますね」
ibu「と…いうことは?」
閃「あ。susamiさんうちの高校の卒業生だから」
susami「たまに図書館とかに顔出すよ」
ibu「susamiさんに期待します!俺も明日から図書館に顔出そっと」
閃「ibuってブラックジャックかはだしのゲンしか読まないじゃん」
ibu「絵がなきゃつまらん」
susami「待ってるね☆」
ibu「待たせずにお迎えにあがっちゃいまーす♪」
閃「図書委員にならなくてよかった…」
ibu「そうそう。ついさっきよぉ。流れ星見たぜ。なんかチカチカ光ってたから飛行機かと思ったけど…。あんな小ささじゃ飛行機なわけないよな。」
閃「遠近法とかじゃなくて?」
susami「あ。それ私も見たよ。」
ibu「飛行機なわけないだろ!これは見た者にしかわからんが…俺的には…UFOだと思う」
閃「ibuはE.T.とマーズアタックとトランスフォーマーの見すぎ」
susami「UFO……」
閃「UFOなんてあるわけないよ」
ibu「さぁ?世の中わかんないもんだぜ?あ。そろそろ俺風呂入るから落ちるわ」
閃「お休み〜」
susami「お休みなさい」
ibu「んじゃ。お疲れ様でした〜」
―ibu1224さんが退席されました―
susami「それじゃ私も論文まとめようかな」
閃「susamiさんもお疲れ様でした」
susami「また勉強見てあげるからね☆もちろん咲桜さんのご飯つきで♪」
閃「よろしくお願いします」
susami「じゃあね。お休みー♪」
―susamiさんが退席されました―
―閃さんが退席されました―