表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隠密〜あやかしの警察官〜  作者: 梅雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/15

忘れていた一言

「どうしたのかえ、朝陽」


 燦陽が尋ねる。


「あの男はあの子、えっと……木村くん?その子を見た瞬間に、見つけたって笑って襲ったの」

「……!」


 言い終えた直後、朝陽ははっとして背筋を正す。


「襲いました……」


 慌てて敬語に言い直すと、室内の空気が目に見えて張り詰めた。

 昇栄と日和は互いに視線を交わし、照久の筆が一瞬止まる。

 誰もが、予想していなかった一言だった。


「それは重要な情報じゃ。この点についても考察しよう」


 燦陽は低く、しかし断定するように言った。


「昴と朝陽は下がってよい」


 2人は揃って頭を下げ、そのまま静かに部屋を退出した。


 千晴が所定の位置に座り直したのを確認してから、燦陽は再び口を開く。


「朝陽の話が正しければ……あの少年は“桂に関係している”と見て、まず間違いなさそうじゃの」

「ええ。忘術が効かない原因も、桂が関係している可能性が高いかと……」


 昇栄は口元に手を当て、思考を巡らせるように視線を伏せた。

 頭の中で情報を組み立てているのが、表情からも見て取れる。


「あの少年の容体は、いかほどかえ?」

「客間におりますが、まだ目覚めてはおりません」


 千晴はそう答えながら、手元のタブレットを操作する。


 昇栄の一撃が、相当効いているのだろう。


「身体検査の結果は?」

「……。更新されました」


 千晴の声色がわずかに変わる。


「微弱な霊力を発するネックレスを、身につけているとのことです」

「「……!」」


 昇栄と日和の目が見開かれる。


「……感じなかった」


 日和が、独り言のように呟いた。


「長。私も日和も、彼を間近で確認しています。しかし霊力は感じ取れませんでした」


 昇栄が改めて状況を説明する。


「補足情報でございます。そのネックレスの霊力は極めて微弱で、検査に当たった4名のうち、探知を得意とする1名のみが感知できたとのことです」

「なるほどの……」


 燦陽は静かに頷いた。


「ネックレスに、何かしらの秘密がありそうじゃな」

「これより、その者のもとへ向かう。検査員も監視員もネックレスには決して触れぬように伝えよ」

「承知しました」


 千晴が燦陽からの支持を送信する。


「2人も着いてくるように」

「「はい」」


 そうして5人は、部屋を後にした。



 その頃、昴と朝陽はそれぞれの自宅へと戻る途中だった。


「やっぱお前、すげーよ」


 不意に昴が言う。


「……何が?」

「最後の最後まで、あんな重要な情報を忘れてるところだよ」

「俺がやったら、絶対怒られてる」


 昴は半ば呆れたように笑う。


「だって必死だったんだもん!報告聞きながら、頭の中整理してたんだって!」


 朝陽はむきになって言い返した。


「まぁ、形はどうあれ共有されたし。今回はセーフじゃね?」

「色々ありすぎたからなぁ」

「でしょ!?そー思ってて!!」


 ようやく2人の表情が緩み、いつもの空気が戻ってくる。


「あー……明日も休みになっちまった」

「朝陽は1週間な」

「うるさい!!」


 昴のからかいに、朝陽が即座に反応する。


「明日からまた鍛錬するとして……今日はゆっくりしてもいいよな!」

「朝陽!飯行こーぜ」


 昴の提案に、朝陽は1歩前に出てくるりと笑顔で振り向いた。


「じゃあ“焼肉さんさん”!昴の奢りで!」

「高ぇんだよ!図々しいな!」


 文句を言いながらも、昴の顔はどこか楽しそうだ。


「いいぜ。デビューと諸々お疲れ様会だ」

「いぇーい!サンキュー!!」


 2人は笑い合いながら、焼肉へ向かう。

【ちょこっとメモ】

天道一族の任務情報は、意外にも電子管理です。(主に情報共有や類似事件の検索がしやすいため)

人間界のいいところはどんどん取り入れていきたいタイプのあやかし一族です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ