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バツライフ a.k.a【STAY・セント】  作者: The kid 王
第二章:ジケイ大戦編
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EP17:ReRe S TART


 あーたーらしーいあーさがきた。


 きーぼーうのあーさーだ。


 よろこーびにむねをひーらけ。


 おおぞーらあーおーげー……………はーい2回目!


 



――




 「…っ……んぅ……眩しッ」


 俺の瞳に光が差し込んだ。

 

 ゆっくり…目を開くとそこにはリリスさんがいた。

 それも大粒の涙を流している。


 (ポタッ)


 ……そして仰向けで倒れている俺の頬に垂れた涙は少しぬるかった。


 「リ……リリスさん……。リリスさんが泣いてるとこ初めて見たー………」


 実感した、俺は本当に死んだのだと……そして生き返ったのだと……。


 俺はそんなリリスさんの涙を拭おうと手を伸ばし、親指で目尻を擦った。そしたらリリスさんの目からは更に涙が溢れてきた。



 これじゃ意味無いな……。



 「……リリスさん……おはようございます」


 「……………あぁ、おはよ゛う」


 声がしゃがれている…。

 それなりに長い付き合いとはいえ、俺が死んだだけでリリスさんはこんなに泣いてくれるのか。


 なんか嬉しい。


 「…ステイ、では行きましょう」


 リリスさんの後ろにはキリコさんがいた。キリコさんもリリスさん同様、何とも言えない…見たことのない表情をしていた。


 「キリコさん?…………何処に行くんですか?」


 「初戦です。勝ってきてくださいね」


 「………?」


 ショセン?………………あぁ、ジケイ大戦……か。

 まだどうして生き返ったとか、アイルはどうなったとか聞きたい事は沢山あるけれど……まぁ今は取り敢えず考えるのを辞めよう。

 目の前のことに集中してしまおう。


 「………もちろんです」


  

 俺は差し伸べられたキリコさんの手を取り……起き上がる……。

 

 会場に行く為の通路を進むにつれて観客達の歓声が大きく増えていく。


 「ステイ、手を出してください……」


 キリコさんはそう言い右手を上げた。

 俺もキリコさんに合わせ右手を上げる。


 (パンっ)とハイタッチの音が通用口に鳴り響く。



 「ステイ!俺様ともだ!」


 「えぇ」


 (バチィィン!!)


 「いってー……痺れたー……」


 何もそんな強く叩かなくても…。


 「…勝ってこいよ」


 リリスさんの目は真剣だった。


 「は、はい…」


 そして俺は手ぶらのまま、会場の入口をくぐった。



――


 

 「それでわぁ!!これよりジケイ大戦1回戦第五試合。ステゴロ部所属、ステイ・セント対剣術部所属、メイン・ミントの試合を始めまーす!!」


 空には俺が死んでいる間に大きな黒雲が太陽を隠していた。

 今にも雨が降りそうだ。


 だがそれよりも、さっきから観客達の俺に対する野次がうるせぇ。


 「ブァハハっ、本当に出てきやがったぞ!」

 「おいおい、ガキの喧嘩じゃねぇんだ!死ぬ前に帰れ!」

 「何も持たないで恥ずかしく無いのか!」

 「さっさと切られちまえ!」

 「死ねー」


 まぁ、昔の阪神ファンもこんな感じだったし、これが観客の良さっちゃ良さでもあるんだけど…さすがに傷つくな………。

 俺の悪口言った奴顔覚えとこ、後で顔殴る。


 「観客のみっなさーん!少々うるさいですねー……まぁ野次は大いにけっこーなのですが、さすがのジャッチちゃんでも今から戦う選手に対してー酷すぎだと思いまーす!

 ……なので、野次は彼が負けた後に思う存分やってくださーい!」


 んなっ!?

 まさかフェア・ジャッチちゃんにまで煽られるとは…。

 クソっ、ぜったい勝つ。


 「でわでわさっそくー……第五試合スッタァぁぁト!!」



 始まった……相手はメイン・ミント。剣術部の代表で使うのはもちろん剣だ。


 ん?まてまて……メイン・ミントが持ってる剣、あれまんま日本刀じゃねぇか。

 何故異世界にジャパニーズソードが?


 「………」

 

 ………まぁどうでもいいか。

 俺は、殴って、蹴って、勝ちゃ良いんだ。


 と、試合が始まって数秒……先に動いたのはメイン・ミントだった。

 メイン・ミントは刀の先端を俺の眉間に合わせ、ジリジリと足を地面にすり、ゆっくりと近づいてきた。


 …………う〜んどうしよう……避けるしか選択肢が無い。


 メイン・ミントの構えは剣道でいう中段の構えだった。

 それも素人目から見てもとても綺麗だ。剣先はぶれず常に俺の眉間をとらえていて、肩の力は力ま過ぎず抜き過ぎず、脇は締まっていて、何より…体の軸が真っ直ぐに一本となっている。


 ッ…さすがに俺でもこの状態の相手には不用意に攻めていけないぞ……不死身でも無い限り…。

 

 「……プふぅー……」


 やばい、何もしてないのに、向き合っているだけでため息が出てきた、それに汗も。

 ………よし、まずは避けよう。このまま俺は何もせずメイン・ミントの攻撃を待つ。

 そして攻撃してきた時、必ず人間はどこかしら隙が生じるはずだから…俺はそこを突く!


 「…………」


 「…………っー」


 てかメイン・ミントの野郎、試合始まってから表情一つ変えやしねぇ。クールぶってんじゃねぇぞクソ猫。


 「…………」


 「…………」


 俺とメイン・ミントはお互い何も言う事なく、だが確実に2人の距離は縮まって行った。

 そして、メイン・ミントがあと一歩踏み出せば2人の間合いが重なろうと……した。


 「…………」


 「…………」


 気づけばメイン・ミントも額から汗を流していた。

 お互い、極限までの集中……それに合わせ先程までの野次は何処へやら、会場全体も無音になっていった。


 「…………」

 

 「…………」


 時が来た…。


 メイン・ミントは右足を勢い良く前に踏み込み、刀を振り上げる。

 そして同時に俺とメイン・ミントの間合いが重なった。


 「お゛り゛やぁァァぁあ!!」


 メイン・ミントの怒号とも聞こえる掛け声が無音となった会場に響き渡る。


 斜めに、袈裟の様に肩から胴体への斬撃。


 俺はメイン・ミントが刀を振り上げた時には既に避ける動作は始めていた。

 のだが……俺が思っていた3倍…いや4倍は速かった気がする。

 

 俺は結果として避けれたものの…メイン・ミントの強さが十二分に理解できた。理解できてしまった。 



 ………とても……弱いと。


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