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領地の視察

ちょっとラブコメ多めにしようと思います

「おい、見ろよ。なんて立派な馬車なんだ。」

「ああ。おや? 失速しているぞ。御者が手を降っている? やべえ。急げ!」


麦畑をかき分け、急いで駆けつけた。見れば向こうのトム爺さんとこの男衆も集まっている。


「精が出ているようですわね。今年の”楽園の晩餐会ガーデンパーティー”は予定通り開きますわ。その情報は確認済みかしら?」


「はい。村長から伝達されております。」


「そう。今年も凄いわよ! たくさんの国外国内の貴族商人が来るの。準備は上々かしら?」


「はい。滞りなく万全を期しております。抜かりはありませんとも! 我が領主の公爵さまとフィレンツェ公爵さまに恥をかかせられませんから! 本当に私どもは感謝してもしきれないほどなのですから!」


「あら。ありがとう。」


猟奇的に突き刺さる月光のような笑みを浮かべる。


(なんて、美しさだ! *心の声・・・)


「これはあなたたちの子供たちへのお土産よ。隣の村からもらったもので悪いですけれども。」


「とんでもございません! 子供たちも公爵さまの事が本当に大好きなのです。 いつも会いたいとばかり言っておりまして!」


「あら。それは嬉しいわ。じゃあ顔を出させてもらおうかしら? フフフ。では楽園の晩餐会ガーデンパーティー日にみんなをお待ちしているわ。領民で病気しているものはいないわよね?」


「ええ。領主さまの御威光のたまものでございます。」


「そう。よかったわ。」


そう言って彼女はまるで宙を浮くような軽やかな足取りで、御者に手をとられ馬車へと乗り込んだ。


おれたちは馬車が見えなくなるまで頭を下げ続けていた。


先ほど頂いた菓子かごの中には手紙が入っており、”いつもみんなの頑張りで我が領は潤っている。みんなに感謝を。良かったらみんなで頂いて下さいね。シルフィーナ公爵”とあった。その手紙はおれの手の中でふわりと燃え上がり空へと消えていった。


爽やかな風が広がる。これはカモミールだろうか。シルフィーナ公爵さまが良く使う香水の匂いだ。炎は魔法のようで全く熱くなかった。


遠くで子供の歓喜の声が聞こえた。どうやら子どもたちへもお土産があったらしい。


おれは空を見上げた。この土地で生まれて、公爵さまにお仕え出来て良かったこと。みんなの笑顔が絶えない安寧があること。


思いが心を温かくする。きっと大丈夫なんだ。あの公爵さまがいる限り。おれたちには幸せが保証されている。




******



「ねえ。聞いて。フィレンツェ。」

「どうしたんだい。シルフィ。良いことがあったんだね。良い笑顔だ。」


「私たちの馬車が大人気よ!? もう各地で壁画やら銅像を作りだすしまつ! あなたとの初の計画だもの大成功で嬉しいわ!」


「私も嬉しいよ。ところでシルフィ。2日後にまた休みが取れそうなんだ。また外出しようか。」

「分かったわ。あたしも時間を開けておくわね。ところでフィレンツェの領地経営で困っている事があったら何でもあたしに言ってね。必ず力になるから。」


「ああ。ありがとう。君にそう言ってもらえて心強いよ。」


彼の大きな手がそっと私の手に覆いかぶさった。剣の修業も欠かせず頑張っている彼の手は武人の手でもある。


ゴツゴツしていて幅があった。何だがドキドキしてしまう。そっと握られ手を取られた。


「シルフィは手もキレイだねえ。」


「ムムム。唐突に何ですか!」


ちょっと拗ねてごまかそうとしてくるシルフィ。素直に可愛い。


「もっと飲みませんか。さあどうぞ。シュガーお代わりをもっと頼む!」


「ハッ。かしこまりました。旦那さま。」


新しく開けられたボトルをなみなみと注ぐ。


「たくさん飲ませて床に誘おうったってそうは行きませんから。これ美味しいわね。お代わり頂けるかしら。」


この通り彼女は大の酒好きなのである。


「フフフ。なら酔ってない時のシルフィをお誘いしても?」


「ダメです! 恥ずかしいから! はああ~。美味しいわ。」


酔いとともに彼女の顔が紅潮していく。


2人は少し寂しいが最近ご無沙汰であった。公務が激務で尚且つ王の手伝いにいろいろ時間をとられていたせいだ。


「本当にダメ? 私はシルフィをいつでもお慕いしているというのに。」


こう言った子犬みたいな潤った瞳がシルフィの弱点と聞いた。ふむ。効果は上々のようだ。


「そんな事言っても。うん。もうしょうがないなあ~。えへへ。公爵さまが今日も可愛いの。」


そう言って彼女は私の首に両手をまわした。


このギャップが可愛いのだ・・・。


その後彼女を寝室まで送る。彼女は私にはファンシーな趣味がバレないようにそれはもう必死で猫耳のネグリジュの存在を隠していたものだが。。。


彼女が寝坊したその日にバッタリあってしまいそれからは私の前でもめちゃくちゃ恥ずかしいらしいが着てくれるようになった。


あまりにも似合うので今日はクロネコの猫耳ネグリジュをコッソリプレゼントしてメイドに渡してある。


私はほくほくしながらカーペットの上を彼女を抱きかかえ運んだ。









読んでくれてありがとう♪

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