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2人の絆

お久しぶりの投稿です! たまには恋愛要素控えめも良きかな!?

城のとある一室にて。悪役令嬢と攻略対象その1が何やら怪しげな密談を交わしているようだった。


私は彼らの会話に耳をすます.


「・・・だから、言っているだろう。シルフィ。この部分が重要なんだ。王家御用達の品は代えがたいものでなければならない!」


「フッ。フィレンツェ。あなたのまだ青いわね。ここまでしなきゃ改革とは言わないわ!」


か・改革ですと!? もしや王家に反逆する意思があるのではなかろうか。一言一句漏らさず聞き取るようにおれは聴覚に全神経を研ぎ澄ます。


「だから、ここに金を使うんだ!」

「いいえ、ここが正念場なの! もう古い考えに縛られ過ぎなのよ! あなたは!」


ぐぬぬと罵り合う2人。


思ったよりもまだ関係は進んでいないとでも言うのだろうか。王から聞いていた話とは齟齬があるようだ。


危険を承知で2人の表情も確かめるべくおれは身を乗り出してみてみた。


何やら図面を目の前に言い争いを繰り広げていた。


シルフィーナ公爵の鋭い眼光が阿修羅のような恐ろしさを美をもって演出しており、その前にいるフィレンツェ公爵は目を閉じ眉をひそめ今にもポッキリと心がおられそうであった。


この角度ではあまり良く見えないため断言は出来ないが、恐らくは涙目になってしまわれているに違いない。


数々の猛者と渡ってきた経験があるこのおれも威圧されてしまい思考が止まるばかりであった。


ギギギとまるで擬音が聞こえそうなほど貫くような眼光を宿す彼女がそっと彼に近づいた。


おれはとっさにナイフを握りしめた。


もしこの場で流血事件が権力者たちの間で起きたならばおれは命を投げ出してでも一縷の望みにかけて止めなければならない。


「悪かった!」/「ごめんなさいっ!」


だがその展開は意外なものだった。2人ともとっさに手を握りあい謝罪し合ったのだ。


「・・・。わっつ?」 心の声が屋根裏に心なしか響いた。


「君には国民そして貴族たちにも敬意を払って欲しかった。だからすまない。私の意見を通そうとしてしまって。」


「そうなのね。私はあなたがこの国の改革者になって欲しかっただけなの。いいえ。あなただからこそなるべきだわ。国中の国民に貴族に人望があるあなたにしかそれは出来ないと思うの。でもあたしこそごめんなさい。あなたを思いやらずに強引だったわ。」


「おお、シルフィ!」

「まあ、フィレンツェ!」


あほらし。帰ろう。そう思って気配を消して影移動魔法を起動しようとした。おっと危ない。まだ話の内容を抑えていなかった。


もう一度2人の監視を開始する。


突如悪寒が走った。バ、バカな・・・。恐らくおれの存在ははバレていないはずだ。シルフィーナ公爵と目が合った気がした。


全く得体の知れない方である。


「そこにいるんですね? ネズミさん降りていらっしゃい。大丈夫。悪いようにはしないわ。」


ニコリと権力者つまり威圧感を放った笑みを浮かべた。隣のフィレンツェ公爵はドン引きしている。


分かる分かるぞ。おれだって怖いからなあ。


「大人しく投降しろ。」

「なるほど。あんたたちか。勝ち目はないな。」


精一杯の抵抗をしたものの、口の中の丸薬を噛んで絶命する間すら与えられずに猿ぐつわで捕縛された。


目隠しを外されると目の前にはシルフィーナ公爵が頬杖を突き、その猛禽類のような鋭い瞳の焦点がおれの額を捉える。


矢を目の前で射られる小鹿のような状況だ。


「丸薬は取り外したな? 猿ぐつわを外してくれ。」


隣に控える影が移動をし、おれは文字通り解放された。


「手荒な真似をして悪かったな。王家の使いであろう。何、大丈夫だ悪いようにはしない。」

「ああ。私が保証しよう。」


フィレンツェ公爵が穏やかな笑みを向けてくれた。この方なら信用できそうだ。


「おれは口を割らない。殺すなら殺せ。」


「君の正体ならもう知っている。ものは相談だ。君は私たちと王家との綱渡し役をやって欲しいんだよ。これまで通り、ね。」


「・・・。」


「では、話を始めようか。先ほど話していた話の続きだが、この領地つまりあたしの領地にだが新しい商会を作る予定なんだよ。それも国家予算並みの収益の見込めるものだ。」


「何か公爵さまは計画されているのですね。」


「ああ。これが全容だ。このプロジェクト自体は別に案が外部の人間に漏れるくらいならなんら影響がないからな。安心してほしい。」


手渡された書類は煌びやかな装飾品と魔法陣で形どられたオシャレな馬車であった。


「一昔前から言われてはいた。そう、”対魔法攻撃防御装甲”に包まれた馬車の事だ。そしてあたしの領地には腕の良い職人が既に集まっている。後は分かるな? もう実現段階まで漕ぎつけているのだよ。」


「そしてその馬車を試用する事になるのがこの私だ。」


なるほど。ノウハウや財力はシルフィーナ公爵に惜しまず発揮してもらい、人望と知名度のカリスマ性を備えたフィレンツェ公爵が宣伝をするという事か。


「当然、私たちは王家に今より多額の税金を納める事が可能になるだろう。そして何より凄いのが、彼女シルフィーナが商人に慕われ、この持ち込み案を手にしている事実だ。」


「あたしたちから目を離さないで欲しい。変に疑惑を向けられ続けるのは本意ではないのだから。だからこそあたしたちとの協定をあなたと結びたいのだよ。」


そう言ってシルフィーナ公爵が穏やかな笑みをおれに向けた。


いつもの仮面を取り外した彼女の笑顔はえくぼがチャーミングな女神のような美しさであった。


思わず見とれてしまうほどに。おれは言わされていた。本心から・・・。


「公爵さまの仰せのままに。」


「次からは君も呼んで会議をする事にしようか。王にはバレないで欲しい。何度もリセットする関係はどこかで綻びが出てくるからな。」


そう言って彼女は美味しいそうにマフィンを頬張ってみせるのだった。


「君もどうだ? この屋敷のメイドが作るマフィンは格別の味だからな。」


「いただきましょう。」


隠密組織のおれは即座にこの関係の重要性を理解したのだった。


「それでこの辺の装飾品はコストを落とす事とより繊細なものを作るため合金で行こうと思うのです。」


「ああ。だが、シルフィーナ公爵の紋章をロゴとして取り入れなければ、ブレンド化しても私は心残りになってしまうのだ! だからそれだけは譲れない!」


「はいはい・・・。分かりました。もうそれでいいです。」

「おお、分かってくれるか! ありがとうシルフィ!」


これがこの2人の素顔である。


後に販売された馬車はフィレンツェ公爵の妻への一途な想いが人気を博し、量産体制が敷かれる事となった。













読んでくれてありがとう♪

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