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恋の楽園

更新お待たせです! 皆さまも良い休日を♪

「シルフィーナさまおめでとうございまーす!」


「あら。みんなありがとう。」


ブーケを受け取り、花びらの吹雪が咲き乱れる。


「わあ~。凄いきれいねえ。」

「シルフィーナ、君が好きだという花を全種類そろえてみたのだがいかがだろうか。」


「気持ちは嬉しいです。嬉しいですけど、これどんだけのお金が消えたのか恐ろしいのですけれど。」


「ハッハッハッハ。君は自分の事を過小評価しているな! 君の領で商いを営んでいる大商人たちの献花だよ! もちろん私も彼らに投資としての出資を多少したが、なかなか受け取ってくれなくてね。彼らの気持ちだそうだ。」


バージンロードをみんなの声援に包まれながら私たちは退出した。


「さて、君の望みを言ってごらん。何でも叶えてあげよう。」

「・・・。ふう。誰かにまた何か吹き込まれましたか?」


「素直じゃない君も可愛い。」


あああ。この天然たらしめ~! ぎゅっと抱きつかれると、とっても安心する。


「乙女な顔をしているね。」


「ま、待ってください! お願い。ムググ・・・。」


少しばかり強引に口付けをされ、もう無理・・・。誰かこのイケメンを止めて下さい。



*****



やっと解放してもらえて一呼吸つけた。ふうう。思いついてしまったのだけれど。もしかしなくても彼相当愛が重いのでは!?


先ほどの彼の熱を帯びた抱擁がまだ余韻を残している。


もう、一体どんだけあたしの事が好きなのよ!? 元公爵のお父さまやお母さま、そして友人たちの祝福の言葉とても嬉しかったのに、彼にその思いを上書きされてしまったようで。


愛、あい、アイ・・・。前世ではなかなかに純粋に信じられなかった想い。


でもこれだけ無償に誠実に無限に付き合わされて、分からされてしまった。


なるほど。あたしだってフィレンチェが好きだ。


ひとつだけあたしは彼にわがままを言った。


出来れば最高のウェディング旅行がしたいと!


最初彼は最高の旅にするからまかせて欲しいと意気揚々とあたしに言っていたもんだ。


「さあ。こそこそと準備していたのは知っていますわよ!? どういった旅行を企画していらっしゃったのかしら?」


「ハッハッハッハ。期待していてくれ? さあ。お手を拝借。・・・。」


「どうしたの?ちょっと私の手そろそろ返してくれない。ごめん。言い間違いです。そろそろ離して? ね!?」


「・・・。」


「優しくし過ぎたか・・・。さあ、離してもらおうか!」


ギギギ・・・。あーもう頭きたー! このバカあたしの手がどんだけ好きなんじゃーい。


ギロリッと視線鋭くするとすかさず離してくれた。よし、聞き分けが良くてよろしい!


彼に目隠しをされながら最後に見た顔は大変恨めし気だった。


手をひかれ連れて行かれて3時間後・・・。


私は船に乗せられていた。


ええ!? 船での新婚旅行!? まあ素敵ね。


ちなみにあたしは乗り物酔いに前世も今世もめっぽう強い。


「1週間のバカンスを国王から頂いた。さあ、思いっきり熱い思いをぶつけ合う夜にしようではないか!」


「し、しませんからね?」


「そ、そんな殺生な! もしかして、船が嫌いだったか? いや。事前情報ではそんな事は無かったはず! バ、ばかな・・・。」


「いや。そんなに淫らな旅にはしたくないかなーなんて・・・。」 嫌な予感がして彼の顔を恐る恐る見てみた。


ドバーと彼の目から大粒な涙が・・・。


「わ、分かりました。もう。ちゃんといちゃいちゃしてあげますから! 何でもするから!」


「愛している・・・。」


ぎゅっと抱き着かれ彼の温もりに包まれた。


左手の薬指にはめられた指輪が熱を帯びた気がした。


そっと彼の髪を撫でつける。海風にゆれているきれいな銀髪。肩まですっと手をはわせた。


「ねえ、風魔法を自分にもかけて下さいな?」


「それは出来ない。風魔法のプロテクトは、繊細だから。愛しの君の御髪を守るので精一杯なのさ。」


んんん。もうむずがゆい。だから、もうあなたはどんだけあたしの事が・・・。


いや。もう悩むのはよそう。


あたしだって彼と生きていくことに決めたのだから。


甲板のデッキで手を取り合い、あたしたちは前から吹く逆風を感じながら、しばらく海を眺めた。


これからどこに行くのかもあたしたちがどうなるのかも知らない。


でも、きっとこれだけは言える。彼といると妙に安心するし楽しい人生になるのだろう。


遠くでイルカの群れが水面に飛び上がっていた。



*****



水面を切り裂く波の音が聞こえる。先ほどから少しだけ揺れが強くなっただろうか。お昼ウインナーや牡蠣やおいしいパンを頬張った。


美味しかったなあ~。まるで海水、海の恵みを身体中が求めているみたいで、舌がとろけるほどだった。


日中の日避けにあたしは船室で仮眠を取っていた。


もちろんフィレンチェが添い寝をしたがっていたが、丁重にお断りして外で待っていてもらっている。


全くあたしがあんなにあざといセリフを言う日が来るなんて。異世界転生って恐ろしいものだ。


「ねえ。フィレンチェが隣にいたらドキドキしてしまってあたし寝れないわ。それに、今夜は初夜だったわねえ。(ニコニコッ)」


「ああ。存分に休憩をしてくだざい。私のお姫様。」


何かとっても期待させちゃっているようで少しだけ罪悪感がある。でも、このふかふかのベットを見かけてしまったら我慢できなじゃない!?


枕にそっと抱き着いてあたしは旅の疲れに備えた。



*****



「そろそろ着きましたよ。お姫様。」


そっと彼の手があたしの頬に触れた・・・。


ビクリとしあたしは目を覚ました。


「・・・。むうう。何よ!? 呆けた顔をして。」


「いや。あまりにも可愛いいびきでしたから。」


噓!? あたしいびきかいてた? 最悪。


「も、もう。からかわないで! 嫌だった?」


なぜか寝顔を見られた怒りよりそっちが気になってしまう。


「いいえ。毎朝あなたより早起きして見ていたいほど好きですよ。」


そう言って彼は肩までの長さの銀髪を首を傾げてクイっと揺らす。その仕草好き。可愛いくてカッコイイ。


「・・・。(プシュウ~)」


顔が火照って来るのを感じる。


「そうなのね? もう着いたっていってましたよね! さあ行きましょう!」


そう言って振り返るりながら彼に手を伸ばす。


ちょっと不思議そうな顔をしていたが、彼は嬉しそうにあたしの手をとった。


小さな島が見える。島の周りは美しいサンゴ礁に包まれエメラルドグリーン色の海が広がっていた。


「本当に美しいわ。」

「ああ。」


そっと彼に抱き寄せられ、絹のような銀髪がちょうどあたしのおでこを撫でた。


風にふかれ少しだけ擦れた。ちょっとだけくすぐったくて見上げると彼がとても満足気に海を眺めていた。


「今日はここで2人きりなの?」

「そうだ・・・。ここは夜景がとてもきれいだそうだ。」


「部屋へ案内しよう。島の奥にはサプライズもあるから楽しみにしておくれ。」


丸太で作れらた簡素なロッジ。


窓から覗く海はとても穏やかだった。


「ねえ。あたし今とても幸せよ? こんな素敵な小屋と船旅を用意してくれて。本当に・・・。」

「ああ。満足してくれたようで・・・ム、ムグ!?」


誠実にあたしの言葉に応えようとする彼の唇を奪った。


まるで時間が止まったような心地よさだ。この世界にあたしとフィレンチェだけ。ずっとここに一緒にいたいなあ。


「あなたと居られるのが何より嬉しいの。」


そう言って彼の胸に顔を埋めた。


後でたっぷりお熱いお仕置きが待っていたのは満天のお星さまだけが知っている。





















読んでくれてありがとう♪

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