ある日のティータイム
お茶の時間って最高ですよね~。このひと時を大事にしていきたい(^^♪
「ねえ。そう言えば・・・。」
「何です。お嬢さま。」
「最近ねえ・・・。聞いた話なのだけれど。豆乳を飲むとおっぱいが大きくなるみたいなの。」
きょろきょろしだしたアンジェリカ。
「私もそれ試してますわ!」
「本当? それで効果はあるの? まさか身近に先輩がいたなんて!」
となりのアンジェリカも真剣な眼差しである。
「実はですねえ。お耳を近くに・・・。」
ササッと仲良く集いし3人組。
「ゴニョゴニョゴニョ。」
「まあ。そんなに!」「ええ~!?」
コンコンコンッ。扉が突然ノックされ、3人は宙へと飛び上がった。
「シッ。誰か来たわよ!?」
「お嬢さま。落ち着いて下さい。私が対応してまいりましょう。」
「ダメよマリリン。あなた顔真っ赤じゃないの。ほらあなたの肌とても白いから。」
「そう言うアンジェリカも似たようなものよ。」
「でも・・・。」
と2人ともシルフィーナの方を振り返りそっと目をそらした。
((お嬢さま。あなた全然ノーダメージって顔してますけど。ええ。分かりました。私たちが時間を稼ぎますから。お鎮めくださいませ。そして?て顔してるのやっぱり大人の女性になっても可愛いすぎます。はい。))
どうやらアンジェリカと私の想いは一緒のようだ。
「お嬢さま。私が対応してまいりますのでず。どうぞ長めの会談になるといけませんから。水分補給なさってください。」
「あら気が利くわね。ではお願い。」
コクコクッ。2人は頷きあった。
「アイスティーをどうぞ。」
「あら。良い香り。ごめんね。すぐ準備するわ。」
ガチャリ。扉が占められマリリンが戻ってきた。どうやら良いことがあったらしい。穏やかな笑みを浮かべている。
「どちら様かしら。」
「可愛い次期領主補佐候補でした。」
「え・・・。まさか応募者がいたの!?」
「はい。この領の子供たちはみんなシルフィーナさ・・・コホンッ。お嬢さまが好きですからねえ。20人ほどの団体を招待しております。」
「そんなに!? でも事前に知らせて欲しかったわ。何かとお出迎えもしたかったですし。」
「いえいえ。本人たちのたっての希望でして。普段のシルフィーナさまのお仕事ぶりと環境を見てぜひ参考にしたいと。」
どうしましょう。なんかそれっぽこと言わないと帰ってくれないわよね!? そんなこと思っちゃダメだけど。心の準備がね!?
けれどやるしかない。今のこの身分だってアドリブやってきたのだから。
「では通してくれる?」
軽く会釈をし、マリリンとアンジェリカかそれはもうすっごい出来るメイドの仕草でドアへと迫っていく。後5歩・・・。4・3・2・1歩。
スッと開かれた扉の向こうには7、8歳だろうか。少年少女の天使の軍団がいた。
そして憧れの眼差しでキラキラした目をこちらへ向けて来ている。
ふっと座っている椅子から天国へ逝ってしまった。可愛すぎる。
「あら。小さなお客さまね。どうぞいらっしゃい。」
良くしゃべったあたし。ふうー。我ながら良く頑張った。無駄に公爵してなくて本当に良かった。
「公爵さま。いつもありがとうございます。×20」
ここが天国だったのね。
「いつもお母さんとお父さんが言っているのです。公爵さまはとっても偉い人なんだって。僕たちのためにいつも頑張ってくれてるんだって。」
少しやんちゃな顔をした男の子が元気にお返事をしてきた。
「わ、わたしも・・・。公爵さまみたいな優しいひとになり、なりたいです!」
緊張しているのかもじもじしながらさっきの男の子の背の後ろに隠れている女の子。
神さまいつも私がんばっていて良かったです。いやもう本当に。もうこれ限界です。ポーカーフェイス(ほほえみ)が崩れてしまいます・・・。
「では、公爵さまはいつもお忙しいですから。ここからは私がご案内しますね。ではこちらへどうぞ。」
ありがとうみんな。ずっと続いて欲しかった時間ももう終わりだ。
「またいつでもいらしてね!? ではまた。」
閉まる扉の隙間からそっと笑顔で手をふっていた天使たち。
「お嬢さまも一緒にまわられますか? ひと段落つきましたら。」
スッと書類の山を指さすマリリン。訂正させてください。やっぱり世界は残酷です。
「絶対にかたずけてみんなと周りますよ私は!」
「その息ですお嬢さま!」
「あのここの予算だけれど。あれは確か。」
「そうですよ! 20年前の記録にありましたね。当時の資料は・・・。」
私のメイドたちは大変優秀である。このぶんならすぐに終わるに違いない。
闘志を燃やし私はと時間の戦いが始まった。
カリカリスピードを上げながらサインと業務を進ませる。
「お嬢さま。後30分ほど後に子どもたちは食堂とキッチンをまわるそうです。たぶん皆さん料理長からおやつもらってモグモグするはずです。私はちょうどお嬢さまの間食をご用意するために私もそこにいるはずですが。」
「私も・・・。私もそこで間食を。」
「お嬢さま。それはなりません。」
「はい・・・。」
やっぱりこの世界なんて・・・。
「お嬢さま。少し手をとめてください。おやもしやこれは・・・。」
「何か気付いたの? マリリン。」
「ええ。この日付だと・・・。あと数週間先でも間に合いますねえ。日付順に並んでますので。」
「ということは・・・?」
「今日の分のお仕事はいったん休憩してもよろしいかと。」
マリリン。あなたってひとは。
「ありがとう。マリリン。大好き!」
「も、もう。お嬢さま!? 分かりましたから。私へのお礼なんていつでも良いですから! さあ行きましょう!」
「えへへ。でもお礼はねその場で言わないと! そしたら何度でも感謝できるじゃない? 感謝が嫌いな人間なんていないわ。」
「お嬢さま。一生ついて行かせてください。」
「マリリン!」
コンコンコンッ。
「ヒャッ」
抱きついていた私たちは垂直跳びをついしてしまった。
「シルフィ。お邪魔したかな? 呼んでくれたおかげでやっと王の横から抜け出せたよ。」
「フィレンツェ来てくれたの?」
パチンとマリリンがウインクをよこしてきた。
2度目のウインクということはアンジェリカの仕業ね!?
世界はやっぱり優しさに満ちている。
「実はねえ。今領の子どもたちに社会勉強を兼ねて遊びに来てもらっているの。」
「そうか。やはりシルフィは慕われているね。私は誇らしいよ。」
ぎゅっと手を握ってくれた。
「ねえ。みんなで間食を食べに行かないかしら? きっと楽しいわ!」
「もちろんだ。ぜひ。」
手を優しく握りかえす。
仲良く歩くおしどり夫婦を私はいつまでも支えて行きたい。
私は穏やかな笑みを浮かべ後ろをついていった。
読んでくれてありがとう♪ ちなみにアンジェリカとマリリンは悪役令嬢と大変失礼仲が良いのでこんなお忍びトークもしております。




