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遠くからの懸念

予定が早まり作者早めに山から戻りました。山って良いですよね。海も大好き。ファイナルあんさ~:自然は最高最高♪

水晶玉が手のひらの下で青い光を照らし出す。


映し出されたものを見て思う。ああ、やはり予言の通りにこの国にも戦争の火種がやって来たようじゃ。戦塵が周囲に舞い落ちておる。視界が少し開けてそこに副将軍として先陣をきっておるのが、どうやらこの間娘っ子との占いに乗ってやった

やつ・・・。


そう確か名前は・・・。ふむ。フィレンツェ公爵とでもいったかの。思えば懐かしい話じゃろうて。


思えば数年前・・・。あやつは私の館へと急に押しかけて来おった。私は数千年を生きる伝説の魔法使い。その日も魔法の神髄を研鑽しておった。あの日の事はここ数百年で一番笑ったのう。今でも鮮明に思い出すことができる。


天井の蜘蛛の巣をもっと映えるように宙を浮かしアレンジし直す。もう少し右か・・・。よしこの辺りで。いややはり、あと15度ずらしたら完璧じゃな。


そうあの一言には胆を抜かされたわい。我ながら赤面する。


「ようこそわたくしの館へ。わたくしの力を欲するか。ならそれなりの代償を頂く。」


大真面目で永遠の命とか最強の力とか富とか無茶難題に身構えて盛大な出迎えをしてやった。


だが小僧はこう言ったのじゃ。


「私にはずっと片思いをしているある令嬢がいるのです。その娘との相性を占って頂きたい。」


「・・・?」


わたくしぞ!? 伝説の魔法使いぞ!?


「お主そこ娘のことをどう思っておる? なるべく具体的に話せ。」


「はい。正直ものすごく容姿がタイプです。あと領民のことを思いやっている慈しみの懐の広さも。一人の人間としてものすごく尊敬しておりますし、もちろん女性として世界で一番好きです。後はそうですね。まだお付き合いも出来ておりませんが。もし婚約そして結婚を彼女と出来ればできる限り彼女の側にいたいですし後は語るに落ちておりますが、ペラペラペラ×100000000000」


それから3時間はたっただろうか。いやもう耳が潰されたので最早私には手に負えそうになかった。


ふむ。ではお帰り頂こうか。


「ふむ。お主の想いは伝わった。もう十分っじゃ。人が死んでしまう。もう虫の息なんじゃ。」


「そのような危篤な方が・・・!? 大変失礼いたしました。本当に申し訳ございません。」


「まったくじゃ。して占いの方なんじゃが・・・。」


「はい!」


なんじゃのそのキラキラした瞳は・・・。どうしよう。体よく断って帰ってもらおうと思っておったんじゃが。


「分かった全力を尽くそう。そやつの顔を頭に想い浮かべるんじゃ。わたくしが読み取らせてもらおうか。」


ふむ。素直でよろしい。目をつむって小娘の顔を思い浮かべているとはなかなかに健気な奴じゃ。


じゃが問題があった。わたくしは恋の占いなんてしたことがないんじゃが。まあどうにかしなければならんじゃろうて。


「まずは笑顔を思い浮かべてみるのじゃ。」


ふむ。後はここからはそう・・・。人相を見るのは得意なので応用するとして・・・。


「次に怖いという顔じゃ。」


なるほど。これはポーカーフェイスとでも言うのじゃろうか。確かにわたくしが数千年を生きてここまで顔が整った令嬢を見たことがない。


しかしそれも含めて彼女の顔は妙に威圧感があった。


ふむ。なるほど。押しに弱そうな小娘じゃ。後はこんな高潔そうな顔をしていて実は庶民派だったりもするじゃろう。


言葉を選んで伝えるとなぜかこやつは元気な顔をして帰って行ったもんだ。


風の噂では2人はなかなかうまくやれているそうではある。それが何よりなんじゃ。




*****



それはさておき・・・。こやつ危ういのう。戦場であまりにも命を燃やし過ぎておる。このまま燃え尽きてしまいそうではあるが・・・。


おい、何故笑ったんじゃ!? さては幕内なかに小娘が来ておるな!?


しかしわたくしの推測が及ぶ範囲はそれまでじゃった。戦場を支配していた悪魔たちが、無惨にやられ始めたり、散り散りになっていったんじゃ。


想像もしようがなかった。勝負は一瞬の出来事であり、事態は想像を超えていた。わたくしの見聞をもってしてもじゃな。


これはおそらく全体パフ効果が最大の功績じゃろう。


敵からの認識疎外効果のようなものじゃろうが。ここまで強力な悪魔どもに効果がある代物とは。未知の存在の魔法は恐ろしいもんじゃな。


すぐにも戦争は終わるじゃろう。そして訪れたそんな世界で2人は幸せを得るのじゃろう。


「クックックック。」


おっと思いがけず笑みがこぼれてしまったわい。天井のシャンデリアからさんさんと降り注ぐ日光。少しばかりくもっている気もする。


少し窓を磨くとするか。



*****



終戦の時は訪れ2人は帰路へとついていた。何がなんというわけでもない。そう・・・。これは自然の流れである。


「本当に良かった。あなたが無事で。フィレンツェ。」

「応援に来てくれて本当に嬉しかった。ああ、本当に。私の妻は最強の援護を思いついてくれるのだからな。」


誇らしそうに彼の大きな手が私の頭を優しくなでつけた。くすぐったいし恥ずかしいですわ。


でも彼の温もりが伝わってくるのが嬉しすぎて。私の大好きな人が生きていてくれている。


私はなぜか毎日彼の幸せを願わずにはいられないのだ。でも何故か彼の幸せそうな笑顔はいつも私とともにあった。


「ねえ。聞いてくれる!? あなたに・・・。フィレンツェにもう2度と会えない気がしたの。国であなたを待っていたら。」


「ああ。」


「そうしたら居ても立っても居られないくて。はしたないわよね。」


「そんなことはない。君のその予感はあるいはあり得た未来になっていたのかもしれないのだから。それに何とかしようとする君に私は惚れてしまっている。」


「なによそれ。」

「ハハッ。」


疲れていたのだろう。私を抱えたまま後ろから穏やかな寝息が聞こえて来た。


眠気が迫ってきた。私もお休みするとしようか。変わらぬ思いとともに・・・。


お休みなさいお月さま。そしてフィレンチェ。

読んでくれてありがとう♪ 久しぶりすぎて書くのが楽し過ぎた・・・。ただいま戻りました。

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