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まっすぐな想い

更新遅れてすみませんm(__)m ちょっと長めになりました。

少し疲れて横になっていた。目がまだチカチカとする。どれくらい時間が過ぎたのだろうか。空にはまだお天道さまが健在であった。


空気が乾燥しているからだろうか。喉の渇きが尋常ではなかった。いや、これは・・・。ズキリッと頭痛がして思わず頭を抑えた。


「痛い・・・。フィレンツェ。ねえ。フィレンツェ。隣にいて欲しい。とても寂しいの・・・。」


フィレンツェはいつだってあたしに優しかった。あたしだってフィレンツェを大事にしたい。


それなのにどうして。どうして抑え切れないほどのどす黒い感情が沸き起こってくるのだ。この感情が生まれてくるのが恐ろしい。もしそれでフィレンツェを傷つけてしまったりしたら。


ねえ。そんな未来が来てもあたしは自分を許すことができるだろうか。そんなことあるはずがないだろう。


何を血迷っているのだ私は。4コマ漫画の悪役令嬢。突然そんなキャラになったからって自身への影響が0だと誰がいった!?


やれるようにやるしかない。なんせあたしはあたしだ。例え変なものが混じっていたとしても。これはシルフィーナ本来の性質かもしれない。


でも、あたしが今もあたしらしく自我を保てていたのはいつだってフィレンツェあなたのおかげだった。


社交界での交流のパーティーへはいつだってあたしの参加は義務だった。公爵家ご令嬢の役割はどんなに嫌でも果たさなければならなかった。


人に嫌味や嫌がらせをされたりなんて日常茶飯事だ。でも・・・。いつだって彼はあたしの隣にいてくれた。いやそうじゃない。最初はフィレンツェもあたしにとっては敵の一人だった。


時々側にきて話しかけてはくれたものの私は彼もその他も拒絶の対象だった。


社交辞令のあいさつだって彼が気を使っていてくれていたのに。なんせ私はこの国の未来の王から見捨てられた身の上なのだから。


物語の中にたまにあったざまあ展開なんて期待できやしない。この世は権力社会。王のすることなすことこそが正義であった。


だから。家を守るためには我慢するしかなかった。もちろん格下の相手は黙らせたり罰せることも出来たが、同格相当の国家に影響力のあるあいてには何もできやしなかった。


そんな生活は学園を卒業してからもひたすら続いていた。でもあの日フィレンツェが私に突然告白をしてきてから事態は一変した。


辛いのは一瞬だ。家には私によくしてくれるみんながいる。そう思って私はもう気にするのを諦めていた毎日だった。


でもやっぱり別に悪いことしてないのに私の味方になってくれる人がいてもいいと思うのだ。そりゃあ殿下自身は私に対して可もなく不可もなしという対応だったがそれだけでは私は救われない。


誰かが欲しい。隣にいつでも甘えられて頼れる味方が。人間誰だってそうだ。心を許せる存在って欲してやまないものである。


まさかそんな大切な存在に私の推しがなるなんて。まあ別に彼の外見がタイプだけだったというのは否めないけれど。なんせ4コマ漫画の世界線である。彼の人柄なんて知るよしもなかった。


彼はとなりにいてくれて。私がつらい目にあったとき泣きそうになっていたとき手を取り優しさで包み込んでくれてだたこれだけを伝えてくれた。


「”大丈夫だよ”。」


そのまなざしが温かくて。声色が側に寄り添ってくれている感じがしていて。となりには私がいると宣言してくれているようで。


だから私は辛いときには彼の言葉をただ連呼する。


もし私が私でいられなくなったとしても、彼の言葉を忘れていなければ元の私に戻れると信じているから。



*****



「ねえ。私はフィレンツェと今後とも手を取り合っていけるのかしら。」


一人廊下で零れ落ちた涙は誰にも届かなかった。


廊下の右手にそっと触れられる距離に月光が降り注ぐ水面に降り立った精霊の絵がある。誰か私を助けて欲しい。


ずっとどこかへと自我が引っ張られている感覚が抜けない。フワフワっとした高揚感・・・。そして刻まれて行くこの気持ちは一体なんだ。


頭がおかしくなってしまいそうだ。自分が自分ではなくなってしまう気がさらにあせりを生む。


あの子たちに相談してみようかしら。真剣に聴いてくれるかな。頭がおかしくなったって笑われないかな。でも、でもね。あたしだって一人の人間なんだ。


辛いこと、しょうもないこと、どうにもならないこと。


たくさんある。でも、平気なふりをして生きている。まるで順風満帆な生活をしているという仮面を被りなおしている。


ねえ。気づいているかな。心を読む超能力者がいて、辛かったねと言ってくれたらどんなに救われるだろうか。


でも現実はそんなに優しくない。あたしはこのままキャラの闇に飲み込まれてしまうかもしれない。


例え闇落ちしてしまっても、みんなに笑顔で接したい。安心してもらいたい。その思いがどれだけ都合よい願いだったとしても。だってみんなが大好きだから。


いつだってお世話になってきた。支えられてきた。この気持ちは本当だ。でも、いえだからこそ言葉にする勇気がないんだ。



*****



「ねえ。マリリン。おかしなことを聞くようだけれど。いいかしら?」

「もちろんですよ。お嬢さま。」


「私これからも、フィレンツェと一緒にいられるかしら。」

「何かございましたか。」


「いえ。別に何もないのよ。だた・・・ちょっとだけ気になっただけよ。」

「お2人ほどお似合いの夫婦はなかなかいませんよ。ね? シェリーとアンもそう思うわよね?」


「もちろんですよ。」

「それ以外はあり得ませんよ。フィレンツェさまのお嬢さまへの溺愛っぷりはいつもご確認しておりま、え、ごほん。失礼しました。疑いようのない事実かと。」


なにか気になることを言った気がしたのはたぶん気のせいである。


「みんなありがとう。」


私は3人にぎゅっと抱き着いた。



*****



寝室のランプを消す。もう今日は後は眠るだけだ。明日も早い。体力と美容のためにもすぐ眠る必要があった。


目をつぶるといろいろなことを考えてしまう。あたしは愚か者だ。不幸に考えをよせてはいけない。今があることに感謝しなければ。


ずっと片思いで敵対視されていると思っていた推しとまさかの幸せな結婚生活を送ることができるなんて。あまりにも恵まれているのに。


でも、でもね。だから自分が変えられていってしまうのが怖いんだ。失いたくないよ。ずっと側にいてよ。フィレンツェ。お願い・・・。あなたのそばにいることをずっと許していて欲しい。私だけを見ていて欲しいの。


そうじゃなかったら。狂ってしまうのは一瞬だろう。もう嫌だ。こんなこと考えたくないよ。大事なみんなを傷つけたくない。


その前にいっそここから逃げ出せたらどんなにいいか。


2日前にみんなに不安を少しだけこぼしたときになんで全部打ち明けられなかったのだろう。困らせてしまうっては分かっていた。


でも、そんなあたしを受け止めてくれる優しいみんなってことも知っているのに。あたしに勇気が足りないだけなんだ。だから最後は助けを求めている。


ほら、今だって。


静かに涙が流れだした。明日目が腫れてしまう。止まりなさい。私はシルフィーナ公爵。負けない。負けたくないよ。


がんばれ。がんばってよ私。自我を失わないように。明日を一日乗り越える。それだけでいいんだ。


不意に人の気配がし、私は悪寒に震えた。


「ねえ。誰かいるの?」

「シルフィ。何か悲しいことでもあったかい?」


首を持ち上げ濡れた枕に片膝をついた。


「え。なんで。フィレンツェがここいるの? 明日帰ってくるはずでは?」

「シルフィ。君のことが心配になってね。みんなシルフィが疲れがたまっているのに気がついていたんだ。そして心配で私に連絡をよこした。なにかあったなら一日くらい予定を巻いてでも駆けつけてみせるさ。」


彼自身も疲れていた。目の下には少しくまができている。


慌ててきたのだろう。いつも華麗に着こなしている彼の服にしわがよっていた。


「・・・。」


私は何も言葉がでなかった。胸が熱くなってきて涙が滝のように流れだした。


「心配させてごめんなさい。でもううう・・・。」


嗚咽しながらもなんとか声を絞り出す。


「辛かったね。」


その一言だけ彼は私に伝えた。ススッと驚くほどに優しい手つきで背をさすってくれる。彼のから温かい気持ちが伝わってきた。


「君を不安にさせて悪かった。ただこれだけは聞いて欲しい。ねえ。シルフィ。君と初めて顔を合わせた日から私は君に恋をした。世界で1番好きな最愛の女性になったんだ。そしてこれからもそのきもちは変わらないし揺らぎさえしない。君が私に側にいることを望む限り。」


「結婚もしていますのに。これはひょっとして口説かれているのでしょうか。」

「そうともいえる。ハハハッ。」


「フフフッ。なんですかそれ。」

「だから君のことを愛しているってだけだよ。」


まぶしいような笑顔で恥ずかし気もなく彼は言い切った。まさにくもり無きまなこである。フィレンツェはときにまっすぐだ。その正直さも彼の魅力だったりする。


彼はとっても素敵なかたである。そして最愛の人でもある。


だからこそ彼から距離をとって傷つけないようにするべきだと私の心がゆらいだ。


「ねえ。シルフィ。私は皆が言うほど立派な人格なんてもっていない。先ほどはああ言ったもののやはり君を手放す気なんてサラサラないのだから。」


そう言って私の背に力強いハグをしてきた。力はめいいっぱい込めているものの、苦しくはない絶妙なラインだ。


「ヒャッ!?」


「これで気持ちは伝わっているかい?」

「はい・・・。」


「その思いは熱く・・・ムグッ。」

「恥ずかしいのでみなまで言わないで!?」


夜だというのにひと悶着あるのが私たちらしい。


顔を合わると笑いがだんだんこみ上げてきた。照れ隠しにフィレンチェのわき腹をくすぐってみようかしら。大胆に大胆に大胆に。ミステリアスな女性が最近人気とみんなに入れ知恵されてきた私はがんばることにした。































読んでくれてありがとう♪ 私誤字多すぎんか( ;∀;) 読みにかったですよね。申し訳ないですm(__)m

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