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4コマ漫画の世界線

乙女ゲームもの作ってみました。 4作目になります。 誤字報告誠に助かっております。 ちょびっと残念系悪役令嬢も好きーです。

さあ、お約束を始めましょう。役者はそろっていらして!?


やっと私の役割を果たす時が来た。長い道のりだった。でも、後は一言笑顔で答えるだけ・・・。

この後どうなるか、あたしは知らない。


「シルフィーナ! 残念だが、君には失望した。」

「はい。それは申し訳ございません。」


とりあえず身に覚えのない事だが、謝って置くことにした。


「この場で言わせてもらおう。いや、本来なら卒業式の日にみんなの前で言うべき(?)なのだが・・・。それはあまりにも可哀想だから。どうか婚約破棄を受け入れてくれないだろうか。」


「謹んでお受けいたします。」


むしろありがたい。王家に入ろうものなら公務公務さらに公務。


王国中の心配事、多国の侵略に怯え国母として頑張らなければいけないところだった。


いやむしろ、王子グッジョブ♪ ふう。現代育ちの甘ちゃんな定時上がりを極めていた私には無理な話だ。


没落!? いやむしろ大歓迎だ。庶民になるのがこの世界に転生してからの夢だった。


「殿下ありがとうございます。本当に感謝いたします。」

「??? わ、分かった。二言はないからな。明日、父上にご報告をしに行く。君も来てくれ。」


「承知致しました! とっても嬉しいです!」


笑顔が止まらない。やっと私の役割が終わる。後はそう、自由に暮らすことにしよう。


そう思い、ワクワクが止まらなかった。


あの日・・・。私の役目は終わったのだ。そして現在に至る。




******



あれから6年・・・。私は王子から婚約破棄された可哀想なご令嬢として腫れ物扱い。


どうしたものか・・・。誰か私を貰ってくれないかしら。なんか、余っておりますけれど。


私公爵家の女主人になりましたし、それなりに条件良いと思うのですが・・・。


この世界でこの年齢は問題らしい。


鏡を見てため息をつく。はわわわ。なんて美人なのかしら。この顔とプロポーション。前世だったらぜひこの顔に生まれたいと願っただろう。


シルクのように透き通ったホワイトブロンドヘアー。スッキリとした鼻筋。そして釣り目気味で目つきはそれなりに鋭いが、大きな目に艶やかなまつ毛。


瞳はルビーのように輝いていた。


はっきり言ってめちゃくちゃ美形。ヒロインは可愛いけど、絶対にこの顔の方が美形である。


私はこの顔を知っていた。前世で”世界で一番美しい悪役令嬢の4コマ漫画”の悪役令嬢である。


美しい絵でHnatterで有名になった作品だが、何より内容が酷いのだ。


「婚約破棄をしてくれ。」

「はい。」

「婚約破棄完了!」

「ハッピーエンド♪」


絵はきれいなのに。セリフとこまどりが最悪。大事なので2回は言わせて欲しいです。絵はきれいんですホント(涙)


そして何故かハッピーエンドの笑顔の輪の中に悪役令嬢がいた。


小説でもなく、4コマ漫画。そして、セリフが「はい。」だけの悪役令嬢!?


本当に・・・。ふざけるのは大概にして欲しい。


婚約破棄の日までアドリブが大変だった。そして私は今この国で女公爵になっている。


今日も公務で疲れた。でも午後からは予定が空いている。何をしようかしら?


「公爵さまこの領地の財務書類はいかがしますか?」

「ええ。この通りでいいわ。後今後10万ダルク以上の債務はあなたに一任するわ。」


なんか国外追放なんてされずに素直に婚約破棄の指示に従ったので、王家からそれなりに謝礼を頂きましたし、時間もあった。だからいろいろと内緒ではあるが、あたしの領地経営は教育を受けさせた優秀な一般市民の方々と分業をしているのです。


私は最高責任者。つまり県知事みたいなものですね。


それなりに王家に税金を納めなければならないが、私の支持率はそれなりに良かったのです。身分制度を密かに撤廃していて、市場の関税も格安、さらに農民たちには技術支援・研修を行うなど、それなりに政治をしていたりします。


現代社会では珍しくもないかもしれないが、この世界は中世の世界観のヨーロッパ。


私は名君主として名をはせていた。(???)しかし公には言えないので、あくまで一部にだそうですが。


国力上げるのに尽くそうとかそう言った思い入れはない。


結婚せずともせっかくこの顔に生まれたのだから、とびっきりのイケメンとお付き合いしたいじゃない!?


「大商人の、リヴァイアとかコッコイイのよね。アラブ系の爽やかイケメン最高! ねえシェリー。彼はどうかしら?」


突然シェリーがガタガタ震えだした。


「そそそそそそうですねえ。は、はいいい。とても素敵な方をは思いますが故郷に恋人がいるとおっしゃいた気がします。失礼いたします。」


「そうなのねえ。なら仕方ないわ。そうだ! 国外から婿を取れば良いのよ! 家柄も十分で、最近没落した、ラビット子爵家のあの方はどうかしら? マリリン?」


「っどどどどどうとは!? そう言えば、詳しくは知りませんが、彼冒険の旅に出るそうです。ねえ。アンジェリカ?」


「そうらしいですわ。公爵さま。」


お手元のお紅茶が揺れる。


いつもは優秀な彼女たちだが、この時ばかりはポンコツになる。はあ。もういつものことよ。


「私の素敵な王子さまどこ~。あああ。もうこんなの嫌よ。」


「でしたら。フィレンツェさまがいるではないですか?」


「ないないない。あの人だけは有り得ないの。」


「公爵さまはしたないですよ? それにとっても素敵な方じゃありませんか。」


「そう。顔は良いのよ!? でも、何というかうけつけないのよね。何というか身の危険を感じるの。」


「そんな事言ったって公爵さま。この間も大商人の方々に振られまくってましたよね?」


「ああああ。思いだしたくない。言わないで。もう。心の傷が開くの。」


顔が突然(転生して20数年は過ぎている)美人になって、プロポーションが良くなったって、中身が伴っていなければ、色気がない。というか活用できていない。


もう中身が地味すぎて、折角の天性の美貌が豚に真珠なのだ。


「あああ。どうせならもっと地味な顔が良かったわ。こんなの宝の持ち腐れよ!」

「さあ、公爵さま。顔を洗って来て下さい。」


「グズグズッ。ありがとうみんな・・・。」


社交界から追放されたも当然の我が身だが、みんなが優しい。もうみんな好き。


自室のお気に入りのアンティークの洗面台。この世界の装飾品は大変美しい。何より紋章のフェニックスがとても可愛いのだ。


手の平に冷たい水を救い顔を洗った。メイクもし直してさあもうひと仕事!


「公爵さま、フィレンツェさまがお見えになっております。客室にお通しいたしました。」


「・・・。ええ。すぐに向かうわ。」


ちょっと盛り上がった気持ち返して欲しい。ああ。気が重い。。。


「あら。お待たせしてしまい。申し訳ございません。本日はどいう言ったご用件でしょうか?」


ついつい笑顔がひきつってしまう。こいつは王の手先。油断してはダメ。


「いえ。その。王に様子を見て来いと指令を受けまして。」


「そうですのね。私は悪しからず元気でございます。ご心配頂痛み入ります。」


「それでは。また近いうちに。」

「ええ。お見送り致しますわ。」


「いや。それには及ばない。突然訪ねて来てすまなかった。お時間を割いて頂き感謝する。」

「とんでもないですわ。フィレンツェさまもお元気で。」


お互いに社交辞令の挨拶をする。


ドアは閉じられ私は解放された。


「ふおおおお! 良し! やっと帰った!(誰にも聞かれないようにな小声)」


私は心の中でフラダンスを踊りまくった。



*****



広い廊下を通り抜ける。


いつ見ても壮大な外観である。


見事な甲冑の騎士。そして名画の数々。これがこの公爵家の財力と影響力の象徴である。


「今日も彼女はきれいだった。しかしあの人を人とも思わぬような冷たい視線。あれでは男もよるまい。でも出来れば、仲良くなりたいしお付き合いしたい。(ボソリッ) ハハッ。私は何を言っているのだ。そうだ。いつものことではないか。」


公爵が去ったのを見届け、一つの甲冑が動きだした。


使用人も人ならざるものが我が物顔で歩くのを横目で流し見ながら、特に驚きもしなかった。


この屋敷にはいくつももの魔道具が仕掛けられている。この甲冑もその一つというだけだ。


この後甲冑は屋敷の警備の組織に情報を提供するのだ。逆に治安を守っているので、安心できると言える。


棟梁「ふむ。まだフィレンツェさまは公爵さまのことを好いているようだ。今回はたいしたことなかったが、だいたい独り言で公爵さまへの愛の言葉をこぼして行かれる。」


諜報員その1「昨晩の公爵さまの寝室の公爵さまの部屋の盗聴器の録音でございます。例の通り、フィレンツェさま関連以外の音声と危険信号以外は音を拾っておりません。」


「では情報を開封してもらおうか。」


音声「フィレンツェさまめっちゃタイプなんですけど! めっちゃかっこいい。あの4コマ漫画の王子の取り巻き1でセリフなしだったけど! でもめっちゃ好き。あのシルバーグレーの昆布頭! いえおかっぱ? どっちでもいいわ。とにかく好きすぎて・・・。辛い~。それに透き通るような澄んだ空のような瞳・・・。あれはズルい反則よ!? でも最近見えないな。明日あたり来てくれないかしら。でもどうせ王の命令で仕方なくで、私の弱みとか探りに・・・。あああ。考えただけで胃にダメージが・・・。以下略・・・。」


「いつも通りだな。」

「はい。こちらも通常運転であります。」


棟梁「良いか? みんな! この2人がくっつかねばならない! いや。個人的にそう思う! 異論はあるか?」

一同「いえ。全くさっさと幸せになりやがれと思うであります!」


「全く同意見だ! しかし、このバカ2人はいっこうに進展しない! 3年前、政略結婚で結婚したフィレンツェさまの前妻が病で他界されてから、王の命令でちょくちょく様子見の任務を受けているというののに!? いやこれ王も後押ししているだろう。間違いなく!?」


「間違いようもない事実であります!」


「その通り! 全くその通りである! それなのにこの2人と来たら! 嘆かわしい! じれったい! 私は何も個人的な感情で激昂しているわけではないのだ! 今まで、おれたち影の人間をここまで丁重に扱う雇い主と騎士団たちはいただろうか? いやいないのだ!」


「はいであります!」


「あの日、あの方はこうおっしゃった! ”あなたたちを信用して屋敷の警護を一任するわ。そう。この屋敷には領民の個人情報と機密情報がたくさんあるの。セキュリティ(?)はしっかりしないとね。あなたたちの収入の言い値の2倍出すわ。ついでに私も守って下さると嬉しいわ”」


「その通り! 我らの価値をあの方は認めて下さった!」


「だから。この恋を応援したいのだ。。。」

「全くです。棟梁。ハンカチどうぞ。」


「ああ。ありがとう。」


一同嘆きの深いため息がそっと漏れた。





















読んでくれてありがとう♪

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