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詩「サビ猫と夕暮れ」(詩人会議掲載)

作者: 有原悠二

黒に少しの茶色が混じった

その猫が来た日

夕暮れの赤いひびきが

窓ガラスをノックした


娘はまだ帰ってこない

ぼくはどうにも落ち着かず

無精ひげを触りながら

彼女の母親を探す目つきに


カラスを見る

襲われていたそうだ

真夜中の公園は

親子のふるさとだったのだろうか


日本では雑巾猫とも呼ばれているが

光の具合で

べっこうのように美しく光るときがあ

 った


その鳴き声は

海を連想させた

透明な

真夏の鈴のような


ぼくは今日という日が

いつだって当たり前だとは

どうしても信じられないときがあって

そんなときはよく長風呂をして


少しだけ現実を誤魔化している

彼女はよく鳴いた

それはぼくの爪の一部となって

未来に小さな傷を残す


母親は夕暮れに負けたのかもしれない

とびらを開けると

いまも燃えている

あの真っ赤な空の下で


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