秘めた想いと日常(前)
なろう内のガールズラブ小説に触発されて書いてみました
お嬢様は、頭を抱えていた、その原因はお付きのメイドである。
「好きです、お嬢様。」
「そう……でもね、四六時中そばにいられて、永遠好き好き言われても困るのよ。」
「ですが、私は、お嬢様付きのメイドですよ?」
「少しは静かにしなさいと言っているの、あと離れて!」
「死んでも離れません。」
ケイト・アップルヤードは、このソファの上で腕に抱きついてくるメイド、
カズハ・ハイランドを睨む。
しかし、カズハは離れない、勉強や習い事などしている時は、大人しいのだがそうでない時は、このようにちょっかいをかけてくるのだ。
「カズハあなたね、そんなにわたしの事が好き好き言ってるけど、その理由は何なの?」
「はい、一目惚れです。」
「そんな薄い理由では信用できないわ。」
「う~ん、どうすれば信じてもらえますか?」
ケイトは数分の間、黙り込み。
「……そうね、例えばお互いの秘密を共有するとか?」
ケイトがそういうと、カズハの顔色が変わり、神妙な顔つきになる、
………
今まで見せたことのない表情をする、カズハに何を言っていいか解らず、
ケイトは固まってしまうが、沈黙に耐えかね話を切り出す。
「あら、どうしたのかしら? 信頼関係を深めるには良いと思うけれど……」
「……どうしても、言わないといけませんか。」
「わたしの信頼を勝ち取らなくていいのかしら?」
……数分の沈黙の後、カズハは覚悟を決めたように口を開く。
「そうですね、私は嘘と秘密が、一つずつあります。」
ケイトは驚く、カズハは鬱陶しい相手ではあるが、隠し事をするような性格ではないと思っていたから。
今まで知りようの無かった、従者の内面に触れてしまった事に今頃になって動揺してしまう。
「詳細は言えませんが、嘘はお嬢様に対して、秘密は私以外のすべて人に対してのものです。」
カズハが放った言葉に動揺がさらに強くなる、今まで散々、好き好きと鬱陶しいくちょっかいをかけてきたこの子が、わたしに嘘を?
「……お嬢様! 嘘に関してはいつかきっと、…私の心の整理が着きましたら必ずお話し致します」
「そう、それで秘密の方はどうするのかしら」
「それは。」
カズハは言葉を詰まらせてしまうも両手を胸に当て、話し始めた。
「秘密は一生、死ぬまで私の心の中に秘めてをおきたいんです、……それではだめでしょうか?」
また沈黙が部屋全体に広がる。
「……さあ、そろそろ休憩も終いにして宿題を再開しましょう」
「え、でも?」
「何をしているの? ポットが空っぽよ、紅茶の準備をしてきなさい、カズハ。」
「は、はい!」
カズハが部屋から、そそくさと出ていく。
秘密の共有を持ちかけたのは、カズハがわたしに対して秘密を抱える性格ではないと思っていたから。
軽い気持ちで出した話題だった、だが秘密どころか、わたしに嘘さえついていると知って、わたしの心はまだ動揺していた。
「あの子がわたしについている嘘って、一体何かしら。」
学園の入学式で、カズハを認識してから約半年、少しはあの子ことを理解したつもりでいた。
だが嘘をついていることと秘密抱えていると言う秘密を聞いたことで、カズハことが更にわからなくなってしまった。
初めて、書いたので誤字脱字があるかもしれません