表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超絶! 悶絶! 料理バトル!  作者: 相田 彩太
第一章 大会前
9/87

その3 女の戦い

 「こんなのにどうやって勝つのぉ~?」


 蘭子が俺たちの心の声を音にした。


 「まずは冷静に分析してからね。映像をもう一度見ながら解説するわ」


 部長がチャプターを戻しながら言う。


 「俺も意見を所々で挟まさせてもらうぜ」

 「いいわよ。陸と私の認識の違いも確認しておきたいわ」


 画面に3人の男性が映し出される。


 「彼らは寿司屋割烹『魚鱗鮨(ぎょりんすし)』の料理人よ。『ギョギョギョ』の愛称で親しまれているわ。星もひとつ持っている世界的な評価の高い店ね」

 「寿司屋って事は寿司の腕前が高いって事だな」

 「りっくん、当たり前だよ~、お寿司屋さんなんだもの」

 「そうね、高いと思われるわ。いえ、店の評価を見ると、確実に高いわ」

 「そこが、彼らの恐ろしい所だな。誰にも負けない『料理』を持っている。これは強い」

 「そうね。じゃあ、蘭子ちゃん、あなたが戦うとして、先攻を取ったら『料理』『食材』『テーマ』のどれを選ぶ?」

 「もっちろん『料理』だよ! 相手に『料理』を取られて、寿司を指定されたら、(かな)わないもん」


 蘭子よ、それではきっとお前は負ける。

 俺だったら、選ぶとしたなら……


 「陸は?」

 「『食材』だな」


 俺は答える。


 「さっきのビデオを見れば明らかでしょ、ああなったら俺は勝てません。ちなみに部長は?」

 「私は『テーマ』よ」


 そうきたか! 確かにそれもありだな。


 「みんなバラバラだね~、でもホントにお寿司であの人たちに勝てるの? 特になでちゃんは満足に魚を捌けもしないのに」

 「くっ……」


 部長が痛い所を突かれている。


 「それでも『食材』を指定されるよりましよ。蘭子ちゃんこそ、あんな魚を捌く事ができるって言うの?」

 「鮟鱇(あんこう)なら捌けるよ~、吊るし切り出来るよ~」

 「そうそう、俺っちが冬に1,2回は鮟鱇(あんこう)を持ってくるで。お嬢ちゃんは七つ道具もばっちりさね」


 ブビュ!

 俺と部長が吹いた。


 「そ、そ、そう。女子高生の割には経験値高いわね」

 「えへへ~、あたし経験は多いんだ~」


 うん、そこだけ聞くと(ほの)かにエロくて良いぞ。


 「それでも、私は蘭子ちゃんが勝てるとは思わないわ」


 俺も部長と同意見だ。

 あいつら(・・・・)はきっと寿司には必殺料理(フェイバリット)と言える料理を用意している。

 確証はないが、俺の勘がひしひしとそれを告げている。


 「えー、じゃあ勝負しましょ! あたしとなでちゃんで!」


 話が意外な展開に跳んだ。


 「わかったわ。三日後の定休日に勝負しましょう。あたしから少しハンデをあげるわ」

 「またハンデ~、今度はあたしに~、なでちゃん、それはちょっと調子に乗りすぎじゃない」

 「その代わり、蘭子が負けたら……」

 「いいよ~、何でも言う事聞くよ~」


 男どもの目がカッと見開かれる。

 もちろん俺も。

 今、何でもって言ったよね、という心の声も同じだ。


 「そんな事はしないわ。ただ、私が勝ったら大会期間中の指示や方針はあたしに従ってもらうわ。陸にもね」

 「いいよ~」


 蘭さん、俺を巻き込むんじゃない。


 「よろしい、陸は本気で取り組む事だし、私に逆らう事はできないわ。いいわよね!」


 部長が俺に顔を近づけて言う。


 「えっ、えーと」

 「いいわね(・・・・)!」

 「……はい」


 蘭子がんばれ、超がんがれ。


 「で、ハンデって何~?」

 「お題は今決めましょ、考える時間をあげるわ。ご家族と相談してもいいわよ」


 蘭子の頭は悪くない。

 だが、部長に比べると劣るのは確かだ。

 時間を与えられるのはありがたいだろう。


 「それに、審査員はそこの魚吉さんとお友達に頼みたいわ。よろしい?」

 「まかせとけ!」


 魚吉さんとその仲間が力強く胸を叩いた。


 「よし、じゃあお題を決めるわよ。蘭子さん『先攻か後攻か好きな方を選びたまえ』」


 やっぱそうくるか。

 ロールプレイってやつだな。


 「じゃあ『料理』を選ぶよ~」

 「それでは、私は『テーマ』を選びますわ」


 そして二人は紙にお題を書き始める。


 「はい、りっくん」

 「ん、陸」


 二人に差し出された紙を開き俺は読み上げる。


 「決まったー! 二つのお題は『料理:和菓子』『テーマ:アメリカン』だー! 和と(ベイ)! 二律背反するようで同盟をも結びそうなこの二つのお題に、大和撫子とカントリーガールはどのような戦いを見せるのだろうか! チャンネルは三日間そのままにしておいてくれ!」


 俺も俺でノリノリだな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ