can't stop(別に自分達には関係ないし)
よう、久しぶりニャッ。
え? 今までどうしてたかってニャン?
それがさぁ、ちょっと家でトラブっちゃったニャ。
聞いてほしいニャ〜。
あれは三日前の夜だニャン。
そろそろご主人様が寝る時間だから、布団にもぐりこもうと部屋へ進入したニャ。
あっ、ここでご主人様って言ってるのは、彼らをビジネスパートナーとして考えての呼称で、そこに主従関係はないニャン。
あっ、話の続きニャン。
部屋に入ったら、主人様はまだ起きてて、パソコンと人間が呼んでいるものの前で慌ててたニャン。
「うわぁ〜ん、血が止まらないよ〜」
よく見たら、ご主人様が手を振って叫んでたニャ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、神様仏様、好奇心で手首を切っちゃいましたぁ〜っ、この後たくさん、たくさん良いことしますから、なにとぞ、なにとぞご加護を〜〜っ」
何言ってるか良くわかんなかったから、とりあえず毛づくろいを始めたニャオ。
ゴロゴロ……
「って、そういえば神様と仏様どっちが偉いんだろう? どうせなら偉い方に頼んだ方が効率いいよね。偉い人まで願いが届かないなんて折角作った企画書が係長どまりで没食らうぐらい嫌だよ……って、私まだ学生だし」
制服ってご主人様が呼んでる服をまだ着てるぐらいだから、きっとずっと座ってるんだニャ〜。
ちなみに、制服姿のときにヒラヒラする足に飛びかかったら、はじき落とされるニャンよ。
「そうだ、検索して調べよ〜っと」
ご主人様は手を机と呼ばれるものへ持っていくと、すぐにビクンッってなったニャオ。
「あうっ、手首が痛くてキーボードたたけましぇ〜ん!」
そして机へうつぶせになって泣き出したニャン。
「馬鹿だよ、あたしゃ馬鹿だよ……こんな状態で検索なんかしようとするからきっとバチが当たったんだ。あ〜、神様仏様ごめんなさ〜い……って、そういえば神様と仏様どっちが偉いんだっけ?」
以下、ループ。
三十分経過。
もうわかったから早く寝るニャオ。
温い場所を確保できないニャろ。
「うわぁぁぁん、まだ血が止まらないよぉ〜」
まったく泣き止む気配ないニャ。
明日また高校ってところへ行くんじゃないのかニャ〜。
「もともと手首切ってみようかな? なんて思ったのは、ネットで『リスカって青春だね』みたいな小説を読んだせいなんです、ごめんなさい、ごめんなさ〜い」
ニャッ?
「とりあえずは止血の方法をネットで探します」
そしたらまたご主人様はビクンッてなったニャ。
「あうっ、手首が痛くてキーボードたたけましぇ〜ん……って反対の手でやればいいんだよね」
まったく寝る気配ないニャン。
「なになにまず傷口を消毒しましょう。なるほど、なるほど。念のため別のページも覗いてみよう」
ミャ〜オ(いい加減にしろ)
「えっ!? 傷口を消毒しちゃダメ? 血を止める良い菌まで殺しちゃう? ええっ!?どっちなの? どっちなの?」
こっちは早く布団にもぐりこみたいのに……
ビジネスパートナーとしてコイツ失格ニャ。
「ああ、ネコの爪を煎じて飲めば直るって、このネット小説に書いてある! 超発見、超発見!」
『――!? 二、ニャニ゛ャ』
ご主人様がニヤニヤしながらこっちを見てるニャン。
『フーッ! フーッ! シャーッ!!』
ゆらゆら揺れながらこっちに来たニャン!
ニャ、ニャァァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!!
ハァ、ハァ〜、ハァ〜……
……なんとか格闘して助かったニャン。
やたら爪を狙ってきたのは何だったのかわらんニャ。
この部屋では決して爪を研いでないはずなのに……フニャ〜
「ごめんなさい、死にたくないです。せめて来週発売の漫画を読むまでは死にたくないです」
顔に引っかき傷をつけたご主人様が誰かに謝ってるニャ。
っていうかコッチに謝って欲しいニャン。
「あっ、でも再来週発売のCDも買いたいです。っていうか買わなきゃあのアーティストが収入減ですよ? それでもいいんですか? 神様仏様〜……って、そういえば神様と仏様どっちが偉いんだっけ?」
また始まったニャ。
とりあえず無視して先に布団へ入るニャ。
以下、ループ。
一時間経過。
――はっ。
うかつにも寝たしまったニャン。
ご主人様はまだ布団へ入ってきて無いようだし、ちょっと見てみるニャン。
するとご主人様も机にうつ伏せになって寝てたニャン。
『ニャ〜〜〜〜っ(早く布団に入って暖めろ)』
そしたらご主人様は起き上がって、周りをキョロキョロうかがっていたニャン。
「あれ? 血、止まってる。よかった」
「そうだ、あの小説の続き気になるからもう一回読も〜っと。スーサイド! スーサイド!」
んで、「うわぁ〜ん、血が止まらないよ〜」に戻るニャ。
以下ループ。
ニ時間経過。
「『絶対、アンタに気があるって。だっていつもコッチ見てるもん』とか言われて好きでもないけど、とりああえず安全パイだし付き合ってみるかって思って告ったら振られました。かなりショックだったけど、皆の手前、ギャグにしてその場をやりすごして、部屋まで帰ったら、振られたことよりも、皆の前で気丈にふるまう自分になんか泣けてきて、わんわん泣いたら、すこし落ち着いたんですが、でも、やっぱり失恋したんだからなんかやんなきゃと思ってネットしてたらあの小説があったんです〜! 本当です信じてくださ〜い、全然、本気でカットしたわけじゃないんです。っていうか、なんで告ったのか今ではよく分からないんです〜。でも、失恋したら悲しいことをしなきゃいけないんですぅ〜。だから神様仏様、私を助けて〜……って、そういえば神様と仏様どっちが偉いんだっけ?」
ニャン、ニャン。
「でも……悲しい。告白する前に戻りたい」
ニャ?
「もう……死にたい。違うね……消えたい」
ニャーニャー!
「私ぐらい消えたって、悲しむの親ぐらいだし」
フーッ! フーッ!
「もっと深く……カットしてみる?」
シャーッ!!
「もういいや……私の人生」
ンギャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
って、もう話し疲れたニャン。
……は?
それでどうニャったかって?
ご主人様は最後動かなくなったニャ。
ヌルヌルとした赤い水が机から落ちてたニャン。
舐めてみたけど、あんまりおいしくなかったからすぐ止めたニャン。
んで、手がだらりと垂れてたから、それめがけて猫パンチを繰り返してたニャ。
飽きたら、赤い水を足につけてペタペタと床へつけてたニャンよ。
それがなかなか上手くできなくてニャ〜
――は?
……ん?
なに神妙な顔してるニャン。
人間のやることなんて猫にはわからんし。
だいたい猫ってあいつらがつけた名前ニャン。
本当は我々は犬って言う名前のはずニャン。
でも、人間たちは犬って別の生き物に対して言うニャン。
あいつら、本当はホンニャカメタルって言うのに……
え? そんな話はどうでもいいニャンって?
さっきから、人間、人間ってそれこそどうでもいいニャンよ。
飯くれればそれでいいニャン。
「あー、こんなところにいた。帰るよニャン吉13世」
『ニャッ!(うっせえ、人間風情が話しかけてくるな!)』
あっ、ご主人様だ♪
う〜ん、お腹すいたしニャ〜。
もう帰るとするニャン。
んじゃ、暇つぶしに付き合ってくれてありがとうニャ。
あっ、そうそう。
人間ってそんな簡単に死なないニャ〜よ♪
完
よし、ネコネコ詐欺成功。(またこの始まり方)
語尾にニャンってつければ和む作戦を決行しました!
わはははっ。
あと、無意味に自傷行為や自分が酔うような小説を書く自分に対しての戒めです。
ドランカーリープ。
酔うのもほどほどに。(ほどほどなら良い感じ。飲酒と同じです)
夜中、「才悩人応援歌」を車に乗りながら熱唱している場合じゃないぞ、俺!
……いや、たまにですよ。
いつもは「ギルド」や「fire sign」ですよ。(そういう問題じゃない)
猫にしたのは僕が好きだからって言うわけじゃなくて、気まぐれなところ、言っていることがホントかウソかわからない(様に見える)ところで決めました。
犬だとこうはいかない。
ネコさんが好きです。
でも、イヌさんの方がもっと好きです!(ネタが古い)
いや、ホンニャカメタルの方がもっと好きです!
っていうかホンニャカメタルって何だよ。(自分で言うなよ)
DQ9の影響か?(そんな名前のモンスターはいない)
あと、散々妄想した後、動物と目が合うと恥ずかしくなります。
俺何やってんだ? って気になるので、見ないようにしてます。
でも、奴らはジッと見てきますよ?
くっ、いぢめてやる!
以上、今回のあとがき終わり。
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以下は私信ね。
今回の作品の構造について。興味ある人だけどうぞ♪
長いっすよ。
以前書いたM-1やナイツについて書いた感想欄での真意を書きます。
今回、作品を書く上で意識した点。
・M-1やレッドカーペットに代表される前フリが少ないコント入り。
・前半の流れは漫才師のナイツ。(ボケ・ツッコミがお互いに機能しながらも干渉しない)
・でも途中でオードリーがコンビ愛を見せるときにつかう「へへへへ〜」的なブレイクを入れる。
単純に言えばこの三つの要素が入ってます。
まず、少ない前フリについて。
これは最近のM-1の流れとして、短い持ち時間の中でいくつボケ(手数)を入れいくかが最近のトレンド。そのためには前フリはなるべく短くするらしい。(去年のM-1では松本人志が明らかに手数の多さをナイツの漫才のあとにコメントしてます)
この作品でも数行で御主人様とニャン吉13世の話へすぐ入るようにしました。(自分の作品で申し訳ないですが「キラキラ」は逆に前フリが長いです)
イメージはチンピラの立ち話。
今回の話の場合、無駄な前フリは読者を飽きさせるからです。
余談として手数が多くて早い流れの漫才。テンポだけで言えば、80年代の漫才ブームと被るものがあります。んで、明らかに漫才ブームの彼らよりテンポの遅い漫才をひっさげて表れたのが、ダウンタウンです。次の時代はもしかして……うん、わかんねww
次にナイツ的序盤の話の流れ。
これはナイツの短い持ち時間での漫才の場合、ボケがずっとボケ捲くり、ツッコミが解説をいれる形が取られる。この時お互いはぜんぜん体に触れないし、干渉しあわない。
だけど不思議な掛け合いが成立している。
この作品でも人間と猫。序盤、お互いはまったく接触しないが、掛け合いが成立するように書いている。(つもり)
でも、これは運よく先に人間だけの会話が完成してたから利用したものに過ぎないですけどね。
人間と動物の相容れぬ考えをナイツの干渉しない掛け合いとリンクさせ、人間の滑稽さを強調した狙いがあります。
最後にオードリー的、ブレイクについて
これはオードリーがアクセントとして入れている、お互いが急に仲良くなるっていうコンビ愛ネタを真似ました。
この作品でも急に猫の爪の垢で急に人間と猫が絡むことで序盤の流れにアクセントを入れました。
アクセント入れることで前半後半の切れ目、みたいな役割。あと、飽きさせない工夫。(成功しているかどうかは不明)
以上が簡単に説明した、今回意識していれたM-1から取り入れたシステムです。
多分、今回の作品読んでこれ意識できた人はいないでしょう。(当たり前?)
読み手がわからないような手法で核となる構造を取り入れ小説を作る。
これが今回は重要だと考えました。(もちろん思いつきで書くのもすごく大事)
まぁ、お前のやったことなんて使い古されているし、他のから吸収できる……うん、ごもっとも!
でも、僕にはその知識はないので、漫才から吸収しないと一生出会えなかったでしょう。
そんなの漫才を研究しなくてもできるよっていう問題ではなく、
アイデアやシステムを吸収する方法を確立したいっていうのが今回の問題なんです。
以前に感想欄に書いたことは、単純に彼らのネタを模倣するだけじゃなくて、自分の小説に取り入れようって言いたかったのもあります。(まったくリープは偉っそうなことを言う……)
上手く伝わらなかったのは僕の責任です。スイマセン。
これからもずっと書いて行くのであれば、漫画や小説からだけじゃなくて、他の媒体からも小説の構造を考えるときのヒントを見出そうという訓練をしたほうがいい。底なんてすぐに尽きますよ?みたいな自戒もあります。
自分の方法で他の媒体から吸収できればそれでいいんです。
要は事象をそのまま受け取るのではなく、そこから核になるものを見出して作品に反映して欲しい。それだけです。
かの島田紳助は言いました「ネタはパクったらあかんけど、ネタに隠されているシステムはパクっていい」
つまりはそれです。(紳竜の研究ってDVD見てください。オススメ)
長くなってしまいましたが、こんなところです。
果たして読んでいただけるかは不明ですが、これが僕の答えです。
偉そうに書いた部分はあると思いますが、その点に関してはご容赦を。
実は相手の方には何も連絡してないんで読んでもらえるとは思えないんですが、書いておかないと自分が気持悪いので書いてみましたとさ。
つーか、本編より長くね?