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待宵や 影交わりし ハネムーン

 九月二日の二十一時頃、娘の来夢から電話が掛かってきた。

「来週、新婚旅行でヨーロッパ行くんだってね。お熱いことで何よりです」

「どうして知ってるの。未季から聞いたの?」

「ダッド。メールしてくれた」

 先月の二十三日に晴れて入籍を済ませ、その翌日に、正式に夫婦になったと連絡した。その時は、新婚旅行の日程は決まっていなかったので、何も伝えていなかった。でも、昴が来夢にメールしたと言う。そういえば、この間も、ふたりでメールのやり取りをしていた。私を介さずに、何を連絡しあっているのか気になる。

「この間のメールなんだけど、何で昴にあんなメールしたの?」

「友達が、如何にも凄い技術で、これでゲームを作れば当たると言って来たから、その真偽を確かめただけ。きっとダッドなら分かると思って……」

「で、あの人はなんて言ってたの」

「裕ちゃん、ccに入ってたよ。うんと、ほら、入ってる」

「それは見たけど、何を話してるのか、意味不明だったから……」

「技術系は、てんで駄目だね。まぁ、クソ論文だと貶してあっただけ。もっと良い提案まで書いてあって、最高に痛快だった」

「わかんない」

「だから、仲間にさせてくれって、自慢気に論文を添付してき奴が居たのよ。でも、周りにはロボットの専門家が居なかったから、その真偽を、昴にお願いしたって訳。ダッドの指摘を提示して、『実験もしないで理論だけで論文を書いてるアホは、要りません。そんな奴はお断り。例えば、こんな提案でもしてみろ』って、昴の提案を出したのよ。そしたら、なんか私は天才だみたいになって、仲間内でヒーローになっちゃった。でも流石に気が引けて『私の義父は神野昴と言うハシモの開発責任者で、本当は彼の意見です』って白状したら、神野昴の娘なのって、また、凄い人気者になっちゃって……」

「へぇっ、あのメールのやり取りって、そんな深い意味が隠されていたのね」

「ダッドはちゃんと気づいて、ネットゲームの新たな提案をしてきたんだと思う。流石は裕ちゃんが選んだ上玉だよね」

「バカ。で、そのお仲間さんって、犯罪組織じゃないわよね。あの人、秘密だって、教えてくれないのよ。あなたが高校か大学の頃から、のめり込んでた趣味で、渡米して本格的活動を始めたみたいだって、勿体ぶって話すから、余計心配なのよ」

「へぇっ、ダッドはなんでもお見通しで、意外と口も堅いんだね。心配ない。悪の組織ではないし、どっちかというと正義の味方の方。そもそも犯罪とは無関係だし」

「そう? ならいいけど……。人の趣味は、どうこう言えないし、いいわ。で、昴のこと、本当に好きになってくれたと、考えていいんだよね」

「最初の時から、認めてたでしょう。何を心配してるんだか」

「パパと昴とどっちが好き?」

「何? 変だよ、裕ちゃん。でも、まぁいいか。二人とも大好き。でも、どっちかと言うとパパかな。昴は、信頼できる仲間みたいなところがある。私の周りには、ダッドみたいなオタク人間ばっかだから。パパの様な紳士に、やっぱり軍配があがるよね」

「私とは逆なのね。まぁ、いいわ」

「じゃあ、新婚旅行、楽しんで来てね。お土産はいらないから」

 まぁ、来夢も昴と仲良くしてくれているのなら、何も文句はない。

 それより彼と初めての旅行。やっぱり毎晩セックスするのかなぁ。楽しみ。でも、流石にこの歳で、それは無いか。



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