13:お母さまのアドバイス
一通りのお話が済んでお父様が引き上げられた。お母さまが席を立たれないから、どうしようかしらと思っていたら、メイドがお母さまと私にお茶のお替りを淹れてくれて、お母さまから、お父様がお口にするわけにはいかないお話がもうちょっとだけあるの、と言われた。
お母さまは、貴族家としては婚姻は家と家のものだし正式の嫁が子供を産むのは『義務で仕事』だけど、それでも自分の娘には〝この方の子供なら産んでもいい”と納得してお嫁に行って欲しいし、できる事なら義務ではなく喜びであって欲しい。だから、できる事に限度はあるから実現できるとは限らないけれど、もし気になる殿方がいるなら教えて欲しいと言われた。お母さまも昔お祖母様にそう言われてお父様に紹介していただいたんですって。なるほど、だからお父様とお母さまは夫婦仲がいいのか。そして、普通は許されることではないけれど、もし万万が一すでに私に平民のどなたかに添い遂げたいお相手がいるようならば、まずは駆け落ちなどは考えずにお父様には絶対に秘密でお母さまに一度引き合わせなさいと言われた。そうしたら相手にもよるけれど母さまが娘の乱行に気づいたということにして罰という名目でできれば放逐ではなく降嫁させてあげるからって。
放逐と降嫁じゃその後に実家に支援していただけるかどうかで大違いだもんね。お母さま、愛してくださってるんだなぁ、ありがとうございます。でも今のところリリーには好きな人はいないから大丈夫だよ、だって、ユリがリリーになってまだ数か月だもの、好きな人が出来るほど男の子と知り合えてないよ。
あと、やっぱり未婚の娘が婚約者でもない男の子や家格の釣り合わない男の子と〝親密なお付き合い”しちゃうと人生ハードモードになっちゃうんだね。気を付けなくっちゃ。
続きまでまた暫く間が開きます。