04 どゆことん?
ずっと更新できてなくてすみませんでした!
またこれからちょくちょく出していきます!
「知らない天井だ」
目が覚めるなり雄輝は天井を見て呟いた、異世界のベッドは思っていたよりも寝やすくかなり疲労が取れていたから、一瞬どこか分からなかったのだ、決してそのセリフを言ってみたかったからとかでは断じてない。
あらかじめ用意してもらっていた服に着替えた雄輝は部屋を出ると、ふらふらと何やらいい匂いがする方に歩いていった。
「あ、ユウキ起きた?」
そこには台所がありメアがちょうど食事の準備をしている所だった。
食卓の上にはパン、目玉焼き、サラダなどと言ったごくありふれた朝食が並んでおり、今自分が異世界にいるという事実を忘れてしまいそうなくらい懐かしい光景だった。
「おはようメア、朝早いんだね」
「毎朝鍛錬してるからね、早いのよ」
「そうなんだ、朝練なんて偉いな、俺なんて部活の朝練行ったことなかったよ」
「ブカツ?ブカツって何?」
何気なく部活の話をした雄輝だったが、部活という聞きなれない言葉にメアの頭の上にははてなマークが飛び交っている、今いるのは異世界であり、高校やら部活やらの概念など無いのだ、別の世界の「当たり前」など知る由もない。
「あ、ああなんでもない!まあ傭兵団と似たようなもんだよ!」
傭兵団と部活などどこも似ても似つかないのだが、今ここにはそれにツッコむ人間は皆無であるため放置である。
「へー、東の国の文化はよくわからないけれど、やっぱり同じようなものがあるのね」
「そ、そうそう!そういうこと!」
「じゃあ朝ごはん食べましょうか、 あまりお喋りをしすぎると冷めてしまうわ」
「うん、いただきます」
メアの用意した朝食は雄輝の想像していた味とそんなに変わりなく、雄輝も美味しくいただく事が出来た。
「そう言えばユウキは旅してきてたのよね、東の国では軍に入っていたのかしら?」
「軍?軍って軍隊だよね、軍人では無いかなぁ」
「そうなのね、もし仕事が無いのなら私の傭兵団に入らない?私のお父さんが団長をやっていて、私は副団長をやっているの!あなた強いし大歓迎よ」
「傭兵団か、どういう事をするの?戦うって言うことはわかるんだけど」
「私たちがやっているのは主に魔物の討伐ね、ここガイエンは軍の駐屯地から遠いから、冒険者ギルドの代わりに魔物を討伐する人達が必要なの、昔は戦争に出たりしてたらしいのだけど、今はもうほぼ魔物の討伐しかしてないわ、魔物も大して強い魔物は出ないから、あまり大きな危険もないし」
「そうなのか、うーん、自分がどれだけ戦えるのかは分からないけど、仕事が貰えるのはありがたい」
「じゃあ決まりね!さっそく準備をしたら行きましょ!」
雄輝はあまり危険なことはしたくないのだが、とりあえず見学に行って見るだけなら、という事で傭兵団の見学に行くことを決めた。
この時点で、いや、ツノうさぎから少女を助けたあの時点で雄輝の理想とする安全な生活というリールからはドンドン離れていっているのだが、当人は知る由もないだろう。
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「ここが傭兵団の屯所か……なんか西部劇で出てくる酒場みたいなとこだな」
「どう?気に入ったかしら?私的にはもっと綺麗な感じでまとめた方がみんなからのイメージもいいと思うんだけど……男ばかりだからどうしてもね……」
傭兵団の屯所につくと雄輝のイメージのように、まるで西部劇に出てきそうなくたびれた酒場のような建物が建っていた、今にも保安官と悪者が登場して打ち合いを始めそうな、現代の、更には日本人である雄輝にはテレビの中の産物でしかなかった光景が目の前に広がっていた。
メアは現状の屯所の見た目や傭兵団のイメージにはあまり満足していない様子だが、雄輝には物の見事にハマっていた。
「すごいよ!こんなの見たことない!ね、メア!早く中に入ろうよ!」
「わわ、ちょ、ちょっと待ってね、まだお父さんにも団員にもユウキの事は話していないから、多分そんなにはしゃぎながら入ったらものすごく警戒されてしまうと思うの」
メアは、まるで遊園地に初めて訪れた子供のようにはしゃいでいる雄輝を見て辟易しながらも事情を説明するため先に入っていく。
「中も西部劇みたいなのかな?あ、もしかしたら、手配書だとかも貼ってあるかも!?」
雄輝は、昔インターネットで西部劇を見た時から、実は西部劇でお馴染みの決闘に憧れていた。
小さい頃は友達と水鉄砲で決闘して遊んだりしていたし、高校生になった今でも1人になった時はちょくちょく手のひらを拳銃に見立てて1人で打ち合いの妄想をしていた事は雄輝だけの秘密である。
「お前がユウキ・ヤマグチか?」
「あ!はい!そうでブフォ!?!?」
待ってましたとばかりに振り向いた瞬間に謎の鉄拳に吹っ飛ばされた雄輝は綺麗に宙を舞う。
「お父さん!?何してるの!?」
「黙ってろメア、男嫌いで有名なお前が男連れて来るだァ?いってぇどういう了見だ!!」
「ど……どゆことん……?」
いきなり殴られ何が起こったのかもわからずに、雄輝の意識はそこで途切れたのだった。
次、多分戦います