四季(ワンシーズン)
キーンコーンカーンコーン![チャイムの鳴る音]
これは、春のうららかな陽気の日差しが射し込み、桜が園庭の並木道に一列に咲き誇る季節、とある学園のとあるクラスのある一年の物語。
「[俺は、このファラウェイ学園に通ってる学園生の有馬 祐希!この聖地ファラウェイ学園には、今年の5月に入学して、皆とは1ヶ月遅れの入学生だ!]」
「[昔から、母親や、近所の知り合い、担任の先生達には、なにもとりえがないと思ってる人にだって、なにかしらのとりえや、強み、そう、君にしか出来ない使命があるんだよ!なーんて、言われ続けてたけど、ほんとにそんなのあるのかよ。]」
「[確かに、俺だってそういう気持ちは、どこにもないと言ったら嘘になる。]」
「[なんて、なに心の中で、語ってんだろ...俺は...。]」
ピコン![電子音]
「ん?なんだろ。メール?」
「初めまして。私は、このファラウェイ学園に通う、あなたと同じクラスの生徒です。」
「同じクラス?!」
「えっ?!」
「んっ?!」
授業の休み時間に、ぽかぽかな気分で、ふとある考え事をしていた祐希は、突然鳴り響く一通のメールの受信音に気付き、そのメールを開いてみるが、差出人の名前は匿名だった。
さらに、そのメールには、同じクラスの生徒だという、ある1人の女子生徒からだと書き込みがしてあった。
それに、驚いた黒髪の長髪の肩まである瞳は紺色をした少年の祐希は、一瞬、クラスに響き渡る様な大きな声で叫んでしまい、その声量に、なにかあったのかとクラスの生徒達は、祐希の方を振り向く。
「って、誰なんだよ...一体...。」
「私は、今、ふとあなたのSCSを読んでいて、ちょっと、疑問に思ったことがあったので、添付されていたアドレスに、メールを送ってみました。」
「なんで、よりにもよって、俺の書いてるサイトに?」
「まぁ、それは置いといて。えーとなになに?」
「私が思った疑問は、この文章についてです。」
そのメールを送ってきた少女は、ある疑問点を文章をコピーして送ってきた。
その文章とは、祐希が先程書いたサイトへの書き込みだった。
なんと、祐希は自然に、さっき心の中で思っていた事を書き込みしていたのだった。
「げっ?!マジかよ……。」
「この文は、私にとっても、感慨深いものだったので、もし良ければメル友になりませんか?」
「えっ?!えーーーっっ!」
「ちょっと、祐希!あんたさっきから、なにバカみたいに大声で叫んでるのよ!」
「い、いや。別にお前に関係ないだろ!」
「はぁ?あんたのせいで、私まで恥ずかしくなるでしょ!い、一応友達なんだから、それくらい考えなさいよ!バカ。」
「わ、悪かったよ。彩月!」
なんと、そのメールを送ってきた女子生徒のメル友になろうというささやかな幸運を運ぶ天使の様なささやきに、またしても大声で叫ぶ祐希。
しかし、今度は別の、茶髪の艶やかな腰辺りまでさらりと長いストレートヘアーの黒い瞳をした白肌の女子生徒の波多野 彩月が、祐希の友達なんだから、クラスでバカな事やるのはやめて欲しいと、注意する。
祐希も、それは悪かったと謝罪を述べた。
「けど、なんか困ってるんなら…相談…乗ってあげてもいいわよ?」
「いや、困ってないから!」
「ちょっと!女子が気にかけてるそういう時は、素直になるものでしょ?」
「いや、ほんとに困ってないから。」
「なら、いいけど。なんかあったら、ちゃんと言いなさいよ?」
「なら、1ついいか?」
「えっ?な、なによ?!」
「お前はいっつもお人好しすぎるんだよ!それに、あからさまな上から目線のその態度!すっげぇ、うっとうしいんだけど!」
「はっ///?な、なによ!私はあんたの事を心配して言ってあげてるんじゃない!」
「だとしても、上から来なくてもいいだろ?」
「も、もういいわよ!好きにしなさいよ!あんたの事なんか知らない!バカ祐希。」
ちゃんと謝罪をした祐希の事を心配して、彩月が、困り事があるなら、私に話しなさいと気遣うが、祐希はなにも困ってなかったために、すかして返答する。
それが、勘に触った彩月は、女子の優しさには甘えるものでしょ、と突っ込むが、再び祐希はさらりと返答した。
だが、彩月が優しく気遣った次の瞬間、祐希は、彩月にお人好しで、いつも上から目線で来られるのがしつこいと叫んだ。
その事に関して、図星だった彩月は、恥ずかしくなり逆ギレするが、祐希は、彩月に再び上から目線の事を指摘した。
彩月は、もう知らない、好きにしろと、怒鳴ってクラスから出ていってしまった。
「おぃおぃ、祐希。あれはまずいだろ~。」
「別にいいよ。いつもの事だし。」
「いつもの事だから、まずいんじゃねーの?」
「んー。けど、俺はほんとの事、言っただけだしな。」
「そりゃ、そうだけど。」
「祐希くん。彩月ちゃんがいつも言ってたんだけどね。」
「ん?なんだよ!潤海まで、彩月の味方すんのか?」
「そうじゃなくて。彩月ちゃんは、祐希君に……。」
「えっ?!」
彩月がクラスから出ていってしまった後、すぐに、祐希の友達の古坂 弘人が、祐希と彩月の2人の事を心配して、話しかけて来た。
弘人は、黒いふさふさした長髪で、瞳は茶色の、長身の男の子だった。
祐希は、それに対して、いつもの事だからと、弘人に優しく告げた。
だが、弘人はいつもの事だから、まずいんじゃないかと尋ねるが、祐希は、本当の事を言っただけだからと、ふてくされる。
さらに、もう1人のおかっぱ頭で、頭の上に、青いカチューシャをつけている、低身長の女子生徒の南条 潤海が、彩月がいつも祐希の事で、話してる事に関して告げようとしたが、祐希は潤海まで、彩月の味方をするのかと少し腹立ち気味で告げたが、潤海はそうじゃなく、彩月がいつも話しているのは、祐希の存在に支えられていると告げた事で、祐希はそれに驚き、時間が止まっている様に感じた。
「はぁ~。ったく…祐希の…バカ。」
ガチャリ[ドアノブが開く音]
「んっ?な、なんで……。」
「ここだと思ったんだよなぁ。」
「どうして?あんたはいっつも、こういう時は……。」
「潤海から、聞いたぜ?彩月が、俺の事どう思ってるのか。」
「えっ///!」
「あ~///。もう、なんで喋っちゃうかなぁ。あの子は!」
「別に、俺だって、全然気づいてなかった訳じゃないんだぜ?」
「はぁ~。そっかぁ、あんたにもバレてたのね。」
「気づかない方がおかしいだろ?ってか、ちょっとその気があるのかな?って思ってたくらいだけどな。」
「そう!まぁ、いいわ!」
「それより、覚えてる?初めて、祐希とここで出会って、話した事!」
「んーと。なんだったっけなぁ?」
「もぅ、バカ祐希!ちゃんと覚えときなさいよ///!」
「冗談!覚えてるって!」
明るい暖かな陽射しが一直線に降り注ぐ屋上で、祐希の事を考えながら、ため息を吐いていると、桜の木から、桜の花達がゆるやかな空気に乗って、屋上まで舞い上がってきた。
ちょうどその時、屋上のドアノブがガチャリと回され、1人の少年が、あからさまに彩月を探しに来たとばかりに話すが、彩月は、いつも以上に驚きを隠せなかった。
それもそのはず、屋上に上がってきたのは、なんと、祐希だったのだ。
祐希は、潤海から、彩月の話を聞かされて、彩月と仲直りをするために来たのだが、彩月は、潤海に一瞬、余計なことをと思った。
だが、祐希も、その気持ちに気づいてなかった訳じゃないと伝え、それなら、結局バレてたのかと落ち着く彩月だった。
そして、初めてこの屋上で出逢った2人の話を語り始めた。
「俺が、最初転校してきた時、クラスになじめなくて、ずっと屋上に居たときに、シビレを切らして彩月が来てくれたあの時の事だろ?」
「そうよ。あんたは、クラスのみんなが心配して、どうしたらいいのか悩んで考えてたのにも関わらず、1人でずっと屋上に居たんだから!」
「まっ!そういう時、1番に動き始めるのが彩月だもんな!」
「う、うっさいわね///。けど…それもホントの事だもんね…。」
「だろ?」
「それに、俺がクラスのみんなと打ち解けれるようになったのも、彩月のおかげだからさ。」
「まっ、まぁそこは感謝しなさいよね!」
「でも、正直あんたには、かなわないなぁって思って、いっつも潤海に話してたのはホントよ!」
「そ、その事なんだけどさ。」
「ん?」
「彩月が1番最初に来てくれなかったら、俺は、多分まだずっと屋上に居たと思うんだよな。」
「それに、俺決めたんだよ!」
「お前だけは……絶対に俺の事を理解してくれる。」
「だから、俺も彩月の事だけは、理解できるようになろうってさ!」
「そうだったのね///!」
「あぁ。だからかな?お前の事がだいぶ理解できるようになったのって!」
「そうかもねぇ//。」
桜の花がいくつか、風に乗って屋上まで運ばれてくるその中で、祐希と彩月は、互いに昔の話を楽しげに話していた。
だが、彩月は、祐希に彩月の事をほぼ理解してくれてるために、私は祐希にはかなわないと言い始めた。
だが、祐希は、最初からじゃなく、むしろ、彩月が俺の事を理解してくれたために、クラスの皆と徐々に打ち解けれる様になり、彩月の事だけは、絶対に理解しようと心に誓っていたためだった。
「さっ、彩月!」
「ん?どうしたのよ?」
「俺、彩月のこと……。」
ピコン[電子音]!
「だから、その彩月が……。」
ピコン[電子音]!
ピコン[電子音]!
「メール、届いてるわよ?」
「あっ、あぁ。」
「誰だよ?よりにもよって、こんな時に。」
「えっ?!」
祐希が彩月に、思いを伝えようとすると、先程のメル友からのメールが入っていた。
さらに、そのメールにはとても信じられないような事がかいてあったのだ。
「それ以上は、あなたの未来が狂い始めます!」
「私は、あなたの未来も護るために……いえ、護りたいの!」
「だから、それ以上は言わないで!」
「な、なんだよ。これ。」
「ふざけんなよ?そんな事で、俺の未来が狂うわけねーだろ!」
「なに?また急に大きな声だして。」
「い、いや、ごめん。なんでもねぇ。」
「今日の祐希、ちょっと変よ?」
「まさか、そのメールって。」
「え?」
「あんたのサイトへの批判とか?」
「い、いや。そんなんじゃねぇんだけど。」
「じゃあ、なによ?話してみなさいよ?」
「んーと。まっ、と、友達だよ!」
「ふーん。なら、いいけどさ。1人で考えこんでちゃだめよ?」
「あっ、あぁ。ありがとな。」
そのメル友からのメールには、彩月に自分の気持ちを伝えると、祐希の人生が狂い始めるという内容が書いてあり、それに驚嘆して、少し怒り気味にそんな事が信じられるかとまたしても、大きな声で話すが、祐希の事が気になり、心配する彩月。
その優しさには、今度は甘えた祐希だった。
そして、時は移り、6月の梅雨時のある日のこと。
「なんで、あの時、あんなメール送ってきたんだ?」
「それは、あなたのこれからの人生を守りたかったからって、言ったじゃない?」
「だけど、俺が大切だと思う人に想いを伝えようとすると、そうなるのか?」
「えぇ、それは間違いないわ。」
「んー。なんでそんな事に?」
「私は、未来の予言者だから!」
「未来の予言者って、未来がどうなるか、全て分かりますよ~っていう、あれの事か?」
「そうよ。だから、あなたにも告げてあげたんじゃない。」
「も、もし。その、俺が彩月に告白してたらどうなってたんだよ?」
「彼女とは、最初はかなりうまくいくと思うわ!」
「だったら!」
「けれど、ある日を境に、その生活が一変するの。」
「どういう風に?」
「夏休みのある日に、あなたは友達と四人で海水浴に出掛けるのよ。」
「まぁ、恒例のやつだからな。」
「そこで、彩月さん。彼女は足を吊り、高潮にのまれて息も出来ずに苦しみ続けるのよ。」
「バッカばかしい!あいつの運動神経を知らないからそう思うんだろ。」
「いぇ、そうじゃなくて、潤海さんが、泳いでいるときに、溺れかけるのよ。」
「なっ。潤海が?」
「確かに、あいつは何回もそういう事件になりそうな事に巻き込まれてはいるけど。」
「だったら、俺が助けてやるよ!」
「その前に、あなたは、彼女に止められるわ。そして、彼女、彩月さんが行くことになるの!」
「これは、決して変えられない事実だったのよ。」
「ゴクリ。」
祐希は、最高のベストタイミングを逃してしまったことに対して、かなりショックと不満が溜まり混んでいたために、それを途中で中止させられた元凶がメル友になった一人の少女だったために、その女子生徒に理由を聞いたところ、夏休みに入ってからいつも行ってる海水浴で、不幸な事故が巻き起こされるという話を聞いた祐希。
だが、祐希には、まだ信じられない気持ちと、絶対に助けてやるという決意でいっぱいだった。
時は流れて、6月の祐希達のクラスでは……。
「はぁ。俺が彩月に思いを伝えたら、未来が狂う。けど、伝えなきゃ今のままじゃねーか。」
「あーもぅ。どうすりゃいいんだよ。」
「ねぇ?祐希くん。」
「ん?どうした?潤海?」
「もう、そろそろ夏休みだね!」
「あぁ、そうだな!」
「それでね。私の友達の加藤 蓮華ちゃんと、佐藤 向日葵ちゃんも、祐希君たちと、海水浴と合宿行きたいって言ってるんだけど。だめ…かな…?」
「んー。いや、だめじゃない。むしろ、大人数で行った方が楽しいだろ!」
「なら、いいのかしら?」
「ひまわり、海水浴楽しみ~!」
「あぁ、二人とも大歓迎だ!」
「やったー!海!海!海~水浴!」
「ありがとう。祐希君!」
「私からも感謝するわ!」
「あぁ、よろしくな!」
「(よし!これで6人!また、未来を変えられるぞ!)」
休憩時間に、準備をしていると、潤海が話しかけてきた。
それは、もうすぐ夏休みで、恒例の海水浴と、合宿が、待ち望んでいたために、潤海の友達を連れていってもいいかという誘いのことわりだった。
一人は、加藤 蓮華
髪の毛は、紫色のセミショートで、胸元辺りで、くるんと毛先が丸まっている、瞳は、青色をしており、お嬢様系の女子生徒だった。
二人目は、佐藤 向日葵という、天然系炸裂の明るい前向きな女子生徒で、髪の毛は地毛の金髪ショートで、瞳はオレンジをしていた。
勿論、祐希はこれで未来が変わると、二人ともOKして、弘人と、弘人の友達の金谷 颯大にも話をつけていた。
「というわけで、新たに女子二人が加わることになったんだけど、異論はないかな?」
「ないない!てか、むしろあるわけない!」
「祐希、よく誘ってくれたな。」
「いや、話聞いてたか?」
「潤海が連れてきてくれるんだよ!」
「わぁ~。潤海が女の子連れてくる~!」
「そうだぞ!颯大!今年は3人も女子が来てくれるだ!」
「やったぁ~!楽しみ~!」
「って、おぃおぃ!」
「ちょっと、私は仲間はずれなのかしら?」
「おぉっ!そうだった!彩月も、勿論来てくれるんだよな?」
「当たり前じゃない!」
「彩月~!彩月~!」
「ちょっと、颯大~抱きつくなぁ~///」
「はぁ…、今年はなんだか賑やかになりそうだな!」
その話を聞いた2人は、毎年恒例の行事に来てくれる女子が、2人も増えたことにより、大いに喜んでいた。
さらに、弘人は、祐希に感謝するが、祐希は俺じゃなく、潤海に感謝した方がいいとほのめかす。
そして、ふんわりした性格の金髪で、肩くらいまである少し長めな髪型の瞳が茶色い低身長の少年、颯大は、いつも通りふわふわした感じで、喜びを表した。
だが、弘人が来る女子の人数を間違え、祐希が指摘した瞬間、私の事を忘れるなとばかりに、彩月が現れた。
そして、弘人も、颯大も、更に喜んだが、颯大が喜びのあまりに、彩月に抱きつき、彩月はそれを、少し恥ずかしながら、拒んだ。
いや、普通の人間が彩月に抱きつこうとすると、ビンタの一撃をくらって、吹き飛びそうなものだが、颯大の性格と、身長からして許される事なのだろうと、二人は理解した。
そして、祐希は、今年一年、賑やかになりそうだと、ため息を吐きながら、微笑んだ。
祐希
「おぃおぃ。」
蓮華
「あら。」
潤海
「どうしよう。」
弘人
「すっかり忘れてたな。」
向日葵&颯大
「体育祭だ~!」
彩月
「もぅ、こうなったら、作戦会議よ!」
そして、待ってましたとばかりの7月の夏休み……前の体育祭が行われた。
体育祭の出る種目は決まっていたものの、そっちのけで、海水浴と合宿の話で持ちきりだった6人は、すっかりとこの学校行事を忘れていたのだ。
彩月
「午前中は、個人戦、午後からは、団体戦!」
「まず、みんなが出場する個人の種目確認よ!
向日葵
「向日葵は~。300メートル水泳リレ~!」
颯大
「僕も、300メートル水泳リレー!」
彩月
「向日葵と颯太は、決定ね!」
弘人
「俺は、棒高跳びとフェンシング!」
蓮華
「私は、300メートル水泳リレーと、500メートルリレーよ!」
彩月
「へぇー。私と同じなんて奇遇ね!」
蓮華
「そうね。お互いに頑張りましょ!」
彩月
「えぇ!どっちが勝っても、文句なしよ!」
彩月と、蓮華は、お互いにリレーには自慢の体力と、持久力で優勝間違いなしだとクラスの生徒達から、ウワサされているのだ。
祐希
「俺は、フェンシングと、500メートルリレーだ!」
彩月
「祐希!」
祐希
「ん?どうしたんだよ彩月?」
彩月
「あんたも頑張りなさいよ!」
祐希
「言われなくても、優勝してやるよ!」
彩月
「これで、後は全員参加の大玉転がしと、打ち上げバドミントンね!」
そう今年開催される体育祭の種目は、500メートルリレー、300メートル水泳リレー、フェンシング、棒高跳び、全員参加の大玉転がし、打ち上げバドミントンの6つなのだ!
割りと種目が少ないために、大まかに時間配分がされていた。
審査委員会
「えー。それではまず、500メートルリレーと、棒高跳びの種目に出場する選手は、各々種目場までお集まりください!」
グラウンドのあちこちに設置されているマイクスピーカーから、今回の体育祭で、特別に招待された審査委員会の女性の声が聞こえてきた。
あちこちに散らばっていたいた種目参加の生徒達は、2つの列を成して、種目場に集まった。
審査委員会
「さーて、それではまず、500メートルリレーを、始めます!」
「棒高跳びは、リレーの中盤から開始致しますので、暫くお待ちください!」
女子生徒達
「えー!」
男子生徒達
「なんだよ。せっかく集まったのに。」
女子生徒
「待つのめんどーい。」
男子生徒
「さっさと始めようぜ!」
「(なんで、中盤からなんだ?やるなら、今からでも……。)」
男性教師
「では、用意!」
パーン!!(ピストル発射音)
女子生徒
「キャーキャー!」
男子生徒
「ワーワー!」
「おい!見ろよ。あいつ速すぎねぇか?」
「キャー!隼斗くんカッコいい~!」
「あんなに、走れるなんて、凄いわ!」
「(ん?誰だあいつ…隼斗…?)」
「(だいたい、運動神経いいやつは、把握済みだけど、あんなやつ、この学校に居たか?)」
なんと、500メートルリレーと、棒高跳びに参加する生徒達は、2つの地点で並ばされ、セッティングも完了していたのだが、500メートルリレーの中盤から、棒高跳びを始めるという審査委員のアナウンスにより、棒高跳び参加選手は、皆、一斉に愚痴や文句を吐いたが、それを無視するかの様に、500メートルリレーが始まった。
ピストル発射音と共に、会場は静まり、選手達が、一斉に走り始める。
しかし、一人だけずば抜けて速い選手が居たのだ。
他の選手達も、追い付こうと必死に走るが、その差は縮まることなく、リレーが続く。
だが、祐希と、弘人は、隼斗なんて生徒がこの学校に居たのか思考するが、あんなに運動神経が良すぎる生徒がこの学園に居たのかさえも、検討もつかなぃままだった。




