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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

赦されない罪

作者: 蜂蜜



親の決めた相手との俺の結婚式が一週間後に控えた今日という日。


俺と康太が一緒に過ごす最後の日。最後のデートは、海沿いの散歩道。なんとなく離れがたくてずるずると時間ばかりが過ぎて…


目的もなく、ただ、歩く。歩く。


辺りはすっかり暗くなり、もう夜の匂いがしていた。

お互いなんでもないように振る舞っていたが、いつまでもそうしては居られない事は分かっていた。


もう、終わりにしようか。そんな空気が流れ出した時、小さな教会にたどり着いた。



「…入ってみようか。」



そう小さな声で言う康太はなんだか辛そうで。でも、抱きしめてやる勇気も、そんな資格も俺にはなかった。


「そうだなぁ。今まで犯した罪を赦してもらうか!俺、お前のプリン食っちゃったからさぁー」


俺のふざけたセリフにコイツは必ずくしゃっと笑いながら「バーカ」と言葉を投げる。だから呆れた声で言って欲しかった。安心したかった。



「…うん。赦してもらおう。」


俺の望みは叶わず、康太はさっきよりも更に小さな声で、絞り出すような声で呟き、教会の扉を押した。


中に入るとそこには誰も居なく、教会内はただロウソクが灯っているだけだった。


「夜の教会なんて初めて来たけど案外良いもんだなぁ?康太もそう思うだろ?」

「うん。ロマンチックってこういう事なんだろうね」


コツコツと靴の音が響く夜の教会。

世界には俺たちしか居ないのでは、なんて思えたりして。大分俺も参ってるなぁ…そうぼんやり考えていたら、急に教会内が暗くなり始めた。驚いて周りを見ると、康太がロウソクの灯りを消していたのだった。


「お、おい…どうしたんだよ康太?」


一つ


「んー…別に?」


また一つ


「勝手にんなことしたら怒られるんじゃねぇの?」


ロウソクの灯りはどんどん消えていく


「いいのいいの。…ここ僕のモノだしね」


そして最後の一つ…


「は?それってどういう…」


視界が真っ暗になった。


ロウソクの灯りが全て消えたからじゃない。

俺は…


刺されていたのだ。


他でもない、康太の手によって。


「大丈夫。僕もすぐ行くから。

僕の、僕たちの罪を赦してもらおう」


そう言って微笑みながら最後のロウソクを消す康太の姿が最後に見えた。





ここまで読んで頂きありがとうございます!

ハピエンにした続きを書くか迷い中…

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