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汝、不屈であれ!  作者: Allen
第9章 黄衣の風神
182/182

総括












 ども、お世話になっております。

 毎度ながら総括であいさつとなります、作者のAllenです。

 恒例行事、名前は全角。


 今作、『汝、不屈であれ!』を最後の最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

 最後から読んでみる派の方は、色々とネタバレにご注意ください。

 さて、何だかんだで主人公として本格的に描くのは殆ど無かった転生主人公もの、色々と難航はしましたが、今回も完結まで持ってくることが出来ました。

 ここまでの応援、ありがとうございました。


 総括では、いつも通り以下の内容についてちょっとした話をして今作を締めくくりたいと思います。


・ストーリーに関するコメント

・キャラクターに関するコメント

・次回作の話


 恒例の話ですね。では、ストーリーに関して話をしていきましょう。











・ストーリーについて


 コンセプトは『老練な主人公』、『出来損ないからの成長』、『周囲の問題解決』。

 転生する人物として選んだのは、50代も半ばを過ぎた男。本来であれば、ライトノベル類の主人公としては選ばないような人物です。

 それをあえて選んだのは、それだけの経験や判断力を持った主人公が欲しかったから。

 それ故の、主人公から見た周囲のキャラクターたちと、逆に周囲から見た主人公への印象に温度差があったかと思います。


 超越者シリーズであるため、今作の舞台も《白銀の魔王》こと九条煉の支配する世界の一つでした。

 しかし今回は、彼ら一派の支配力はそれほど及んではいない世界です。

 その原因は他でもない、《這い寄る混沌ニャルラトテップ》ですね。


 クトゥルフ神話を題材にすると決めた時から、ラスボスはこいつであると決まっていました。

 まあ定番と言えば定番なんですが、他の邪神だととてもじゃないですが世界を運営できるとは思えないんですよね。

 最悪の愉快犯ではありましたが、だからこそ世界を運営する能力はあったという訳です。


 しかしながら、《這い寄る混沌ニャルラトテップ》の運営方針は、あくまでも自分の欲求を満たすこと。

 好奇心のまま世界を好き勝手にいじくり回し、その後の過程と結果を楽しむことがこの管理者の目的でした。

 当然ながら、それは《黄金の女神》の望むところではありません。

 それを諫めることこそが、今回のストーリーの始まりだったといえるでしょう。


 巻き込まれた主人公からしたら堪ったものではありませんが、彼の精神性はそれでも立ち止まるようなものではありませんでした。

 何しろ、諦めるという選択肢がそもそも存在しません。彼は、最初から『諦めることを諦めていた』からです。

 そんな彼だからこそ、《白銀の魔王》の無茶振りに応え、最終的に超越者にまで至ることが出来ました。


 主人公の精神性は、これまで描いてきた主人公とはまた異なるものでした。

 願望そのものは他のキャラクターにもあったものでしたが、彼の精神は常に己に対して向けられています。

 自己依存と他者依存の二種の在り方は、前者は九条煉、後者は神代誠人をイメージすると分かりやすいかもしれません。

 灯藤仁の場合、願望そのものは他者依存に近い物でありましたが、その精神は常に己の内面へと向けられていました。

 つまり、強い自分自身に対して価値を見出しており、他者の存在は究極的にはどうでもいいものだったということです。

 その特異な精神性は、《這い寄る混沌ニャルラトテップ》にすら読み切れないものとなっていました。

 ある種、狂人よりも狂人らしい、理性を持った狂人であると言えるでしょう。











・キャラクターについて


・灯藤仁


 今作主人公。絶対不屈の戦士。妄念を燃料に歩み続ける壊れた機械。彼の名前は、『二人目の人』という意味を込めて仁の文字を当てました。

 後悔と共に己自身の在り方を定め、その妄執のままに生き続けて壊れてしまった老人。

 本来であれば終わっていたはずのその生を転生という形で続けてしまったがために、理性ある人間でありながら超越者へと至った存在です。


 彼の願いは、家族を護ること。正確には、家族を護れる自分であること。

 故にこそ彼は護るという行為に固執し、失うことを忌避し続けていました。

 若さから生み出された歪みではなく、長年の積み重ねにより生み出された精神の歪みは、狂人と呼ぶにふさわしい物であり、ある種この物語の主人公として相応しい物でありました。


 『家族を護れる己でありたい』という願いから生み出された力は、自分自身を強化するためのものでした。

 本来であれば順当に強化されるはずの力は、しかし《魔王》によってもたらされた《王権レガリア》によって変質しています。

 本来の力は発現せず、その大半が《王権レガリア》の制御のために割かれていましたが、結果としてはそのおかげで、過去に類を見ない超越ユーヴァーメンシュを発現させました。


 エンディングの後、仁は世界を護る存在として、《這い寄る混沌ニャルラトテップ》のシナリオと戦い続けることとなります。

 とは言え、細かいものに関してはその超越ユーヴァーメンシュによって力を与えられた『誰か』が戦うことになるため、年がら年中戦い続ける、ということにはなりませんでした。






・水城初音


 今作ヒロイン。水城一族のお嬢様。主人公と共に歩くことを選んだ少女。一途にして純粋な、水の乙女。名前の由来は某有名キャラ。どのような色にも染まり、性質を変える様を序盤のイメージと合わせた結果です。

 とにかく主人公のことを信じ続ける彼女は、しかし依存するばかりではなく、己自身で成長できる人物でした。

 最終的には主人公の根本にまで踏み込んで、無くてはならない存在にまで上り詰めました。


 仁と共に生きたいという願いを抱き続け、それにふさわしい自分であろうと努力し、願いを叶えたシンデレラガール。

 流されるままに生きていれば、彼女は願いを叶えることは出来なかったでしょう。

 また同時に、彼女でなければ仁も己自身と向き合うことが出来なかったでしょう。


 魔力や出力という点では凛に及ばず、精霊を持たないが故に仁と並び立つことは出来ません。

 しかしそれに腐ることなく、彼女は己に出来ることを突き詰め、その果てに幻術を操る術を身に付けました。

 何だかんだで護られるばかりのヒロインにはなりませんでしたね。


 エンディング後は、宣言の通り仁と共に歩み続けることになります。

 無論、それで終わることを良しとせず、死後の全てまでも仁に預けました。

 《魂魄ゼーレ》の力がありますので、仁が人の領域から外れた後も共にいることになったでしょう。






・火之崎凛


 主人公の双子の姉。火之崎一族の異端児。天才にして努力家。名前は、仁に対応するような名前として韻を踏むようにつけました。

 仁から力を奪ってしまったことを悔いていた彼女は、その想いをも原動力に、若くして父と同じ魔法を一部とはいえ発現させるに至りました。

 仁が信頼して背中を預けられる、数少ない人物です。


 凛の原動力となっているのは、仁を護りたい、その隣に立ちたいという願望です。

 偶然に手に入れてしまった強大な力を、凛はその為に使うと幼い頃から決め、強くなることこそが己の義務であると認識しています。

 結果的には火之崎として正しい在り方だったとも言えますが。


 純粋な実力で言えば、凛は火之崎の中でもかなり上位に位置します。

 また、仁と比較した場合、『黒百合』を使っただけの仁が相手であれば、まだ優位に戦えるだけの実力を有しています。

 人間でありながらそこまでの実力を得られたのは、偏に彼女の努力があったからこそでしょう。


 エンディング後もその人間関係は変わらず、仁が僅かに身近になったことは彼女にとっても嬉しいことだったでしょう。

 しかし仁がさらに強くなったことは彼女にとっては悩ましい事態だったでしょう。

 最終的には、彼女もまた十秘跡の一人として名を連ねることになります。











・次回作について


 次回作については、一度超越者シリーズから離れようかと考えています。

 というのも、最近の己の作風が、超越者シリーズに縛られ過ぎていると感じたためです。

 いい加減これだけだと少々書きづらくなってきたので、この辺りで一度シリーズ外の作品を書いてみたいと思います。


 そこで何を書くかというと、今度はVRMMO系作品を書いていきます。

 以前も書いていましたが、あれはぶっちゃけなんちゃってSFだったので。というかジャンルはファンタジーでした。

 次の作品は普通にSFです。ファンタジーとは異なる世界を描いて行きます。


 作品傾向としてはリアルチート系になります。本作で例えるなら、戸丸白露がゲームやってるような感じです。

 個人的には、ゲームの仕様そのものはフェアでなくてはならないと思っています。

 先着順のような制限こそあれ、誰もにチャンスがあり、偶然手に入れたものがゲームバランスを崩すほど強力なものであってはならないというのが持論です。

 その結果、主人公をリアルで強くしよう、という結論に至りました。

 生まれた時代を間違えた系主人公が、何か人間離れした動きで、技名表示しながらバッサバッサ斬り倒すような爽快バトルアクションを目指していきます。


 連載は一月からの予定となりますので、次回作も読んでいただけるという方はご期待ください。











 では、色々と長話をしてしまいましたが、この辺りで『汝、不屈であれ!』を完結としたいと思います。

 ここまでご愛読いただき、まことにありがとうございました。

 縁がありましたら、また次回作でお会いしましょう。


 ではでは。





















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― 新着の感想 ―
[一言] 最後まで、読み切りました。ありがとうございました。
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