表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

009.

その頃、国王を乗せた馬車は城下へ向けて出発していた。


王太子の率いる騎馬隊がパレードを先導し、国王夫妻の馬車がそれに続き、王弟夫妻や王妹夫妻、その子女を乗せた馬車が次々と連なる。


また、その後をついて行く鼓笛隊が盛大な楽を奏でながら歩き、最後尾にはショーノン王子の率いる騎馬隊が護っていたので、蛇のような長い行列となっていた。


現在、世界中で魔法の力を込めた〈魔石〔ませき〕〉を動力源とする自動車が隆盛している。


ルガウヌ王国でも当たり前のように皆利用していたが、式典などの際には、伝統的な馬車を用いるのが習わしとなっていた。


市民も日常とは異なった、その華やかで威厳ある雰囲気を愉しみに見物に来ているのだった。


サンナ川の沿道では、重なり合った人々が行列の来るのを待ちかねていた。老若男女様々いたが、特に少女や若い女達が目立って多かった。


目当ては国王の二人の息子である。


王太子も弟のショーノン王子も共に若く、その姿は特に美しかった。


王太子の方はいずれ王位を継ぐに相応しく、堂々とした態度と優雅なふるまい、凛々しく整った顔立ちに長身のしっかりとした体躯といった容姿が、全ての人の眼を留めないわけにはいかなかった。


ショーノン王子はその兄の大きさに負けない別の魅力があった。


王太子と同じくらいの長身であるが、やや細身で物腰は柔らかく常に控えめな態度でいた。


繊細そうな眉の下方にある、憂いを帯びた形の良い瞳が、何かに耐え忍ぶようでいながら小さな強い光を放ち、それが彼の美しさをより引き立てていた。


少女や若い女達が彼らを好んでいたが、それ以外の人々も彼らを王族に相応しいと認めていた。


国王一族は民衆から愛されていた。


それはひとえに王を初めとした一族全員が、法を守り、規律を守り、何より品格を重んじ、日々努力を続けている結果だった。


彼らは民から尊ばれ、また守られた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ