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後ろのメリーさん  作者: 10.bi
着信アリ
6/34

1.6

「私にはね、住む場所がないの。だから住まわせて貰えると助かるわ」

「……ねえ、メリー。君はここをホテルのように使おうとしているだろう。いや住処だけでなく、食事も要求するつもりに違いない」

「よく分かったね。次にお願いしようと考えていたことはそれよ」

「だからね、念のため聞いておくよ。ホテル代わりに使おうとするが、ホテルは使わない。その理由はもしかすると無一文だからだったりするのかな」

「貴方、エスパー?」


 早苗の想像の通り、メリーは金を持っていない。だから住処を必要としたとき、こうして頼む他はなかった。

 悪びれるわけでもなく、むしろ胸を張る。当然と云うように言う。

 

「都市伝説たる私がお金を持っている方がおかしいじゃない。それは日本人相手にルピーを持っているかと聞くような物よ」

「それは、そうかもしれない」

 

 それでは住処の見返りとして何も示さない物かとメリーに尋ねたい。

 横暴な態度をとるにふさわしくはないだろう。泊めてくれと云うならば相応しい態度をとるべきだ。畏まることをしようとはしない相手に、早苗はどうした物かと首を傾げた。

 

「ねえ、それなら他に言うことはない?」

「言うこと?」

 対し、メリーは小首を傾げた。

 姿は見えずとも、メリーがそうして傾げる様を早苗は容易に想像できた。


「――ああ、そうね。貴方がホテル代を払えと云うのは分かるわ」


 しかし、そうして答えを示すことは想像出来しなかった。

 分かっていたのか。頷いた早苗に、メリーはでもねと反対に首を倒した。

 

「これはお願いよ。メリーさんから早苗へのお願い。分かるかしら?」

「脅しと云うわけ?」

「早苗、住処を提供して貰えるなら貴方を殺さない」

「……ずるいな」

 渋々と頷く他はない。


 早苗は首を縦に振るう。

 仕草はメリーを笑顔にさせるが、メリーの顔が早苗に見えることはない。

 

「早苗、私も悪いと思っているのよ。だからね、することはするつもり」

「へえ、それは助かる」

「本当よ? お風呂掃除とご飯をよそるくらいなら出来るつもり」

「するたびに100円を上げたら良いかな?」


 どうやらすることが少ないだろうことを察し、早苗は嘆息した。

 

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