2.7
「変わった人ね」
「そうだね。いやはや時の流れは残酷だ」
友が去った部屋の中、そうして二人は言葉と共に苦笑した。
客人が部屋に訪れるまでは共に話をしていた。言葉を交わすことが出来なかったのはたった20分程度と言うのに、どうしてか懐かしさを感じることに早苗は違和を覚える。
もう共にいることを当然のように感じているのだろうか。それは決して良いことではないだろう。
「メリー。どうしようか」
「どうしようかと言うとどういうこと?」
「聞いていただろう。これから友を泊めることになる。その間は君と話せないことになる」
「寂しいと泣かないことね」
「間違っても泣くものか」
事実泣くことはないだろう。
茶化すようなことばかりを言い、メリーはろくに話を聞こうとしない。
気遣っていると言うのに。友を泊めている間はメリーと話せないこと、それだけでなく、食事や風呂を与えることが困難であること。早苗は都市伝説をまるで人間のように扱い、心配を抱いていた。
しかしメリーは大丈夫と言葉を続ける。
「そう言うには勿論根拠があるんだろうね?」
「大丈夫だよ、きっと大丈夫」
返答は頼りない。
「何か簡単に食べられる物を棚に入れておこうか」
「うん。そうして貰えると助かるかな」
「はあ……。親に隠れて捨て猫でも飼っている気分だよ」
「まあ拾ったことはないけれど」空想であることを打ち明ける。
拾ったことはない。故に対処の方法が分からない。
ばれずに食事を与える方法がせめて分かればと考える。が、限定的な情報が転がっているわけはなく、また情報が在ったとして見つけ出すまでの時間は許されてはいない。
外で待たせている。あまりに長い時間を待たせることは出来ないだろう。
「ところでメリー、片づけを手伝って貰えないかな?」
「嫌よ」
酷い、早苗はぶうと文句を言う。




