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後ろのメリーさん  作者: 10.bi
Life
23/34

2.5

 早苗は面倒見こそ良いが、面倒を嫌っている。

 面倒な相手を見ようとはせず、それが知らない相手となれば尚更だ。玄関に少女を置き去りにしたまま、部屋に戻ってしまう。


「良いの?」

「良いの」

 何処からかメリーの声が聞こえた。

 発声源を何処か把握することは出来ない。天井裏にでもいるのだろうか。

 部屋を見回しながら早苗が頷いたのを聞くと、メリーは肩を竦めた。

「そう、全く非道ね」

「そうかい?」

「女の子を泣かせた。それはきっと、重罪と云う物でしょう?」

「泣きたいのはこっちだよ。見知らぬ相手にビクビクと応答すれば、そいつにからかわれたと来た。指摘してみるとどうだ? 泣かれたよ」


 全く面倒なことこの上ない。一体どうしてこうなったと投げやりに尋ねた。

 答えはない。励ます声もなく、どうしたとまた部屋を見回す。

 すると、トンと扉が叩かれた。早苗に答えようとするのは、どうやら泣きはらした少女らしい。メリーは気配を感じ、黙ったということだろうか。

 

 視線を向けた先、扉を開けた少女はまだ泣いていた。

 目を擦りながら少女は頭を下げる。頭を下げたまま口を開いた。

「すみません……」

「うん?」

「久しぶりに会って、それで気分が上がって、ね?」


 思いがけず、謝られる。

 どうした物か。どうしてこうなったと視線を逸らした。


 少女は背中を丸め、自信なさげに、そして呟くようにして言う。

「お姉さん。分からないって言ったよね。ほら、私。従妹の友だよ。覚えてる?」

「…………ん。あー、あー。友ちゃんか」


 何年振りか。久しぶりに会った従妹と知ると、早苗は視線を和らげた。

「あー、友ちゃんね」

 成長を祝うことは出来ず、早苗は言葉を濁す。

 かつて自らよりも少女らしく、人形遊びが良く似合っていた少女が成長してみればこれだ。

 扉を開けてすぐのことを根に持ち、早苗はわざとらしく嘆息して見せた。


「変わったね。本当に、変わったよ」

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