2.5
早苗は面倒見こそ良いが、面倒を嫌っている。
面倒な相手を見ようとはせず、それが知らない相手となれば尚更だ。玄関に少女を置き去りにしたまま、部屋に戻ってしまう。
「良いの?」
「良いの」
何処からかメリーの声が聞こえた。
発声源を何処か把握することは出来ない。天井裏にでもいるのだろうか。
部屋を見回しながら早苗が頷いたのを聞くと、メリーは肩を竦めた。
「そう、全く非道ね」
「そうかい?」
「女の子を泣かせた。それはきっと、重罪と云う物でしょう?」
「泣きたいのはこっちだよ。見知らぬ相手にビクビクと応答すれば、そいつにからかわれたと来た。指摘してみるとどうだ? 泣かれたよ」
全く面倒なことこの上ない。一体どうしてこうなったと投げやりに尋ねた。
答えはない。励ます声もなく、どうしたとまた部屋を見回す。
すると、トンと扉が叩かれた。早苗に答えようとするのは、どうやら泣きはらした少女らしい。メリーは気配を感じ、黙ったということだろうか。
視線を向けた先、扉を開けた少女はまだ泣いていた。
目を擦りながら少女は頭を下げる。頭を下げたまま口を開いた。
「すみません……」
「うん?」
「久しぶりに会って、それで気分が上がって、ね?」
思いがけず、謝られる。
どうした物か。どうしてこうなったと視線を逸らした。
少女は背中を丸め、自信なさげに、そして呟くようにして言う。
「お姉さん。分からないって言ったよね。ほら、私。従妹の友だよ。覚えてる?」
「…………ん。あー、あー。友ちゃんか」
何年振りか。久しぶりに会った従妹と知ると、早苗は視線を和らげた。
「あー、友ちゃんね」
成長を祝うことは出来ず、早苗は言葉を濁す。
かつて自らよりも少女らしく、人形遊びが良く似合っていた少女が成長してみればこれだ。
扉を開けてすぐのことを根に持ち、早苗はわざとらしく嘆息して見せた。
「変わったね。本当に、変わったよ」




